Sigma12-24mmのメーカー保証が今月いっぱいで終わるので、その前に調整してもらうべく片ボケありという名目でフジヤへ修理依頼。今頃になって、これで会場撮影すればよかったと思いいたる。関心はすっかりビューカメラに移っているので、あと何回使うかわからないし、遠からず処分するかもしれないが、その場合でもメーカーでの調整票があったほうが有利だろう。
フジヤ二階に上がるとSuper-Angulon47mmXLが63,000円で出ている。AB-ランク、後玉にアタリがたくさんある。建築撮影向けの仕様の製品なので、コンクリの床に直置きでもしていたのかと想像される。使用感はあるがレンズ面はきれい。Schneider製品につきもののコバ落ちも見あたらない。21ミリ前後へこみのリンホフボードつき。エンブレムがはがれているがWest-Germanyとあるのでリンホフ製と見なして間違いあるまい。時代を感じさせるがリンホフ製品ならある程度古いほうが作りはしっかりしているらしいし、痛みは少ない。ウイスタのへこみボードはカタログ落ちしており、このボードだけで数万するはずなので、あとからへこみボードにつけかえることを考えると異様に安い。しばらく前にフラットボードつきレンズがヤフオクでも10万あたりで競り落とされていたのだから。しかしへこみボードが有用なのはエボニーを使う場合で、ジナーを導入すればむしろ使い勝手が悪いのが気になるところ。シンクロソケットと絞りリングとシャッター開閉スイッチにへこみボード対応の加工済なのだが、この加工のせいでかえって安く査定されているのかと尋ねたら、フジヤの相場表を出してきてあまり関係なさそうだという。SかAランクで78,000円だったように見えたので、これでフジヤの相場並なのだろう。ずいぶん安くなったものだ。テストしてみたらシンクロが死んでいる。記載がないからと値引き交渉したら3,000円まけてくれたので則購入。
後玉のねじこみ部分の塗装がはげている。前所有者が何回も分解したのだろうか。しかし新品のCompononで留め金に指紋状のサビらしきものがついていたということもあったので、Schneider製品にははじめから仕上げの悪いものがあるのかもしれない。
SV23に自製長尺袋蛇腹をつけた状態では結像範囲いっぱいまであおれる。しかし後玉に蛇腹が接触してしまうし、センターティルトとベースティルトを併用してフランジを出しているので、撮影できないこともないという程度であって、まともに使うためにはやはりモノレール式ビューカメラが必要。SV45では万能蛇腹でアオリに限界がある。カタログスペックでは∞f22時に4X5でライズ9mmシフト8mmとなっているが、結像範囲はもっと広い。f16で30ミリライズしてもとにかく像は結ばれている。これなら38mmでもよかったかもしれない。おそらくSW45あたりでも蛇腹に無理が出るシフト量。ともあれカタログ上の包括角度120°よりも結像範囲の見込角度ははるかに広い。上記のシフト30mmから乱暴に算出してみると132°以上となる。結像品質を考えなければ、Sigma12-24よりもずっと広いし、おそらく一般に流通しているフラットフィールドタイプのレンズとしてはSA38XLと並びもっとも視野角の広いレンズと考えてよいだろう。周辺光量低下を風車で補正しようという現実味に乏しい仕掛けで知られるGoerzのHypergonは135°とかいうことになっているが、1914年製の稀覯品に周辺の描写性など期待できそうもないし、それ以前にシャッターすらなく開放でf22ではおよそ実用に耐えない。ライトテーブル上でSuper-Symmar110mmXLと見くらべるとケラレ限界の角度がずっと深い。Super-SymmarXLのほうが最新設計の光学系であり優秀だと思っていたのだが、イメージサークルはカタログスペック通りSAXLのほうが広いらしい。新しい設計とは軽量化・コンパクト化・低コスト化を旨としていて、広角レンズとしての性能は二の次だったのか。非対称型超広角レンズの技術的革新とはダウンサイジングでしかなかったのか。モノクロバライタ印画紙の近況と重なって見えてしまう。結局のところ旧来の対称型アンギュロンのほうが高性能だったのだろうか。しかも47XLは前玉より後玉経のほうが大きいという珍妙なるレンズ。SS110XLは近接撮影性能が高いだろうが、やはりSA90XLにしておいたほうがよかったかもしれない。でも、両方買えばいいじゃないか。SS80XLよりはSA72XLだろうが。
47mmとなると本来の広角レンズとして使うことになる。150mmなり110mmのように遠近法ではなく、単純に視界の広さが問題化する。