午前中はほぼ無雲。昼過ぎから徐々に積雲が増えていく。
月島。ぐるっと一周。途中で中古カメラブームの火付け役とすれちがい、あいさつしようかと一瞬思ったが冷たい目で一瞥されたのでやめておく。黒のM型ライカを下げていた。靴音も高く颯爽と去っていった。あのへんだけでも相当回数まわっているだろうによく飽きないなとも思うが、ともかく撮りつづけているということは評価すべき。たとえ散歩のアクセサリーに過ぎないとしても。おそらくああした近所のスナップが、ただのカメラコレクターではないという自己同定の支えになっているのだろう。カメラの情報は10年以上前のこの人物の発言から多くを得ているし、それにもまして機材への態度についてはいろいろ与えられた気がする。写真の中身がどうあれ斬って捨てられるものではない。月島や佃島の南側は古い町並みで、東京の脇道の湿った風情を残しており、海沿いの気配をまったく感じさせない。
晴海へ。10年ほど前にその人物とY氏の二人展に行ったら搬出していたというとき以来。さらに前に晴海通りの突き当たりの埠頭へ日暮れに行った記憶があるが、もう半分くらいは造成中。東京国際貿易センターは解体され、わずかに残った部分もすすけている。「国際見本市会場の恒久施設として建築技術の粋を集めて計画された施設群」だそうだが、なんともうら寂しい。1959年。この頃の建造物に妙に反応してしまう。
客船ターミナルに行くとアニメかゲームか知らんが単純で高コントラストな配色の扮装をした坊ちゃん嬢ちゃんが集結しており、さらに手足を出して寒がっている彼女ら目当てとおぼしき地味な出で立ちのデジタル一眼レフ所有者がうろうろしており、非常にやりづらいが臆することなく青海へ展開。虹橋が邪魔。遠すぎ。まあこんなのもあってもいいか。しかしまだ先。降りられるならターミナルより下の埠頭のほうがよい。
晴海もだいたい回って勝どきへ。この一帯は土建屋が盛んにのさばっていて、だいたいは集合住宅をこしらえているらしいが、あんな埋め立て地の高層建築をついのすみかにしようという神経はとうてい理解できない。いや神経細胞の組織構造は一緒だろうがね。昨日の対岸は月島ではなくこの先の豊海。そこまでは行きつけなかったが勝どき橋の下流から汐留へ日没後ながらも展開。築地市場が邪魔。これもたまにはいいかとも思うが、当初思いえがいていたのからは遠い。夜景ねらいか華奢な三脚があちこちに立っているのが撮影意欲をさらに減退させる。築地から帰投。背負子の足がまたはずれる。