やっと終わった。後半やっつけだったが、それまでが過剰品質だったと考えるほうが常識的。
気がついたことを。カバーシートは長めに切ること。ぎりぎりだと時間が経つにつれ気泡が入る。流動パラフィンの粘性が低くてさらさらなためもある。
EZ colorが作成するプリンタプロファイルは、Photoshopからの出力にはさむ限りではおよそ使いものにならない。EPSONのプリンタドライバまかせで見た目で調整したほうがはるかにいい結果。こりゃひどい。金払って買うような代物じゃない。開発終了も当然。
それにしてもほこりだらけ。ホコリの付着する面が、通常の原稿台のガラスと光源側のガラスの2面にフィルム表裏の2面の計4面に加えて、フィルムをマウントするガラス両面とカバーシート両面の4面が加わり、全部で8面にもなるのでとてもとりきれない。
赤外線でほこりを検出して補正するとかいう「ホコリ除去」とか「Digital ICE」機能は意味がないだろうと思っていたが、念のためテストしてみる。「ホコリ除去」ではほとんどが残るが一部だけ消えている。ガラスの下面についていたゴミと考えられる。ただ同じ条件でも作動したりしなかったりする。それに、ホコリ除去が関係していないと思われる箇所で著しい画像劣化が発生する。極端なjpgのブロックノイズ状の過剰補正。「Digital ICE」はKodakの技術らしいが、ホコリの存在を関知するのではなく、画像内容からホコリと判断して消去するらしい。なのでガラス最下面以外のホコリも消してくれることがあるが、おおむねやりすぎ。いらん場所が盛大に改変される。時間もかさむし無用の長物。
スキャン結果でトーンカーブを極端に立てると、長辺の片側に流れ痕のようなムラが現れる。この配置は……フィルムハンガーの下側の穴の位置だ。あのハンガーでもムラが出るのか……。静止中は影響しないだろうから、攪拌の持ち上げと戻しの動作中の液の流れで、部分的に現像が活性化しているのだろう。攪拌回数を減らせば抑えられるだろうが攪拌が少なすぎると別のムラが出るだろう。自家処理では限界があるか。やはりラボに外注すべきだろうか。でもラボの現像ではネガを吊すクリップ周りに盛大にムラが発生する。それはクリップの付帯物として見た目として許容できるかもしれないが、ムラの濃度差としてはこっちのほうが大きい。液体を使って攪拌している以上、ムラは避けられないということか……
どのスキャン結果にも、ネガの濃い側の長辺のエッジ近辺に、エッジと平行に2本の筋が入っていて、何だろう、これもネガの現像ムラかなと思っていた。じきに、外側の隙間の光がホルダのガラスの下面に反射しているのだと気づいた。参った、やりなおしか湖塗でごまかすか……。ノッチや富士の吊り穴にも出ていて、エッジはどうにかできてもこちらはどうしようもない。そういえばUMAXでも出ていたような。10数年気づかなかった。原稿台ガラス面には反射を抑制するコーティングが施されているが、ホルダのほうはただのガラスなのでそんなものはない。
マスクを濃くしてみるが、さして変わらない。エッジ部分が反射している。これを消したかったら反射防止コーティングのある原稿台ガラス面に直接フィルムを貼るしかない。ガラスに密着させ浮かした状態で高解像度レンズによりスキャンするというこの方式でフィルムスキャンするなら、ガラスにマルチコーティングするくらいしか対処法は思いつかない。あきらめるしかない。
カラーネガフィルムの階調情報の豊かさにはあらためて驚く。こんなヒドイネガでさえ、すばらしい階調を蔵している。しかも色はどこまでも飽和しない。途方もない色域の広さ。HDRを使えばデジタルカメラでも露光域を広げられるが、色がたちまちつぶれるのはいかんともしがたい。
カラーネガで色つぶれなんて見たことがない。反射光ではまず出ないだろう。直射日光下の原色塗料だろうが蛍光色材だろうがびくともしない。ちょっと赤いとたちまちぶっ飛ぶそこいらのデジタルカメラなんぞ勝負にならない。カラーネガで色が飽和するとしたら、レーザ光やLED光源など彩度100%というべき光を直接に高輝度で受けるという極端な条件くらいか。それでもLEDの像にはきっちり3次色まで情報が載っている。カラーネガすごい。この点に関しては、現状のあらゆる民生用デジタルカメラがまったく太刀打ちできないと考えてよかろう。