朝快晴だったが次第に雲。空にも昨日より冴えがない。
木更津。初。やはり房総が神奈川より性に合う。11、2年前とまったく同様に、だんだん遠ざかっている。いずれ鴨川や銚子まで行くのだろうか。しかし半ば先が見えてはいるのだが。
かつて人と食事している時に、いつものごとく手当たり次第にけなしまくっていたら「じゃ何が好きなんですか」と訊ねられ、見たことのないもの、と答えたところ「そんなのいつかなくなっちゃうじゃないですか」と返されたことがある。見事な攻めだった。ディテールはたえず移ろいゆく云々とごまかしたけれど、それじゃ至るところ見たことないものだらけになるわけで何の意味もなくなる。
探検や登山というジャンルは、前世紀の中盤には地球上をあらかた踏破しつくし、可能性を食い潰してしまうという典型的なモダニズムの帰結にいたって以降、その場所に行くこと自体ではなく行き方のほうを問題にするというように、前人の仕事を参照することでなりたつ、コンセプチュアルともいうべき状態に移る。「清掃」のようなアイディア勝負。むろん往時の華はない。
しかし昨日の久里浜のようにまったく同じ場所に再訪しながら、以前は下を探したのを今度は上を仰ぎ、まったく別のものを見ているわけで、機材を変えればまた別の景色が見えてくる。6X12でも行ってる場所はさして変わらない。砕氷船で行ったり犬ぞりで行ったり、別の道具にして趣向を変えるのと似たようなもんか。
駅舎の格に比して駅前通りの規模が大きい。しかもさびれている。百貨店はもちろん閉鎖。『木更津キャッツアイ』や氣志團の看板がうら悲しい。港には砂の運搬船らしきものが多数停泊。ここである程度。f11、船体黒いため中央重点平均より1段程度アンダー。次に中の島大橋。島でもないし、大橋でもなし。人しか通れない。見るからにハマコーが票集めのために作りましたといわんばかりの、ほとんど何の役に立つとも思えない建造物。しかしながら海面を25メートル上から見おろせる機会はそうそうないので悪くない。風が強い。f11、500、1段オーバー程度、ピントは指標で2m程度。TMY残りと1本。太陽の角度はいいのだが、昼前で雲が多い。北には航空自衛隊の駐屯地。中を見たのは初めて。何もない。ただ広い。航空祭だから明日来たほうがいいとなぜか老人が教えてくれる。持っているのがカメラだとわかったのだろうか。西にははるかに新日鐵君津工場らしき広大な埋立地。世界最大級の製鉄所だけのことはある。霞むほど遠い。あそこまで全部埋め立てたのだろうか。三浦半島は見えない。
木材港に渡り砂置き場でキャタピラー製の重車輛各種。黄と黒なので空に映える。カラーでもよかったが配置がベストではなくTMYで。1本。奥行きあるためf14、320程度。中央重点とほぼ同じ。車輛は初めて。ここもまだ埋め立てる気なのだろうか。砂がうずたかく積まれ、さらにダンプカーが出入りしている。動いているところには入れない。日曜のほうがいいだろう。埠頭の奥へ向かうが砂ばかり。風で砂が舞いチクチクと肌にあたる。新日鐵には近寄れず(最新の地図では全域立入禁止の様子、その先の東電のある埠頭は先まで行ける)、雲が減ってきたので断念して中の島大橋へ戻る。橋の上の人が去らず写りこんでいるが、TMY1本。1.5m、f11、320。+1程度。東の果てにやや雲あり。光線は昼のほうがいいがそれぞれ。
ランプはMamiya7でアタリをつけていた時点から注目していた対象でもあり、低く障害物がなく、これ以上の条件の場所はあまり期待できないので、今日は徒労ではなかった、と思う。1999年や2000年ほどの昂揚はないけれど。3本も使ったのだし。
明日は天気が崩れる模様。やや安堵。