雲10%未満。青春18にて東海道線新蒲原。静岡県は10年ほど前にやはり1月頃青春18身延線に入って以来。3時間ほどで到着。静岡県は房総よりもはるかに優遇されている。無人駅ではないが駅員がいない。自動改札でもない。日本軽 金属工業を東側から1号線沿いに回り込み。富士川河口の砂嘴でパワーショベルが窪地から抜け出す際に、ショベルを頭上の砂に伸ばしてよじのぼるかのごとき恰好で這い上がっている。まさしく手足のよう。新富士川橋を渡り、たもとの駿河興業?興産?とかいうセメント会社でTMY135-361本、1/200、f11、+1、∞。かなり惰性。昼休み時間だったのでひとけがないのも不自然ではないとはいえ、そもそも操業してそうな様子がない。
工場団地を抜け海岸線へ。防波堤がやたらと高い。海抜10m以上。防潮林もある。駿河湾の奥なのだから高波リスクは太平洋にじかに面している海岸よりも低いように思えるのだが。実際海原は穏やか。それでも営々と作業車が動き続けている。
防波堤の高台から見ると富士市は煙突が林立しており、モクモクと煙を上げている。住宅密集地でこんなのは東京近郊では見た記憶がない。
前々から思っていたのだが富士山というのは不格好である。南側から見ると左にかしいでいる。全体に軸が曲がっているのだが、思いきって崩れていればまだしも中途半端な傾き具合なのですわりが悪いことこのうえない。遠ざかるにつれてだんだん地表がせりあがっていくふもとまでの様子や、雲が中腹にかかるさまは珍しいけれども、特に目立った特徴があるでもなく、そのくせ安定感にも欠けているようではおよそ何の取り柄もないといわざるをえない。結論としてはどうでもよい地形。
リプラス チックス工場で邪悪なまでに煙を放出している煙突二本を南、北、東から。TMY20程度。おもしろくない。田子の浦を延々歩いて埋め立て中の突端近くまで行き、田子の浦港沿いにぐるっと戻って旭化 成をかすめ、停泊中の巨大タンカーを横目に過ぎ、日本製 紙と東 芝の工場を遠巻きに眺める。製紙会社がやたらと多い。
富士駅から東海道線で吉原へ。自動改札はあるが駅員がおらず窓口にはカーテン。JR東 海はこんな調子らしい。埠頭の海沿いに歩き、石油団地を抜けてまたも高い防波堤。宗教施設にも見紛うような6X12好適物件を確認しに日本製 紙へ。構内からでないと位置どりが難しい。ここはすごい工場。煙が上空でもなかなか消えず、水蒸気だけとは思えない。配管剥き出しの恐ろしく老朽化した煙突。敷地外でも気分を害するような異臭が漂う。「苛性ソーダ」やら「過酸化水素水」の巨大タンクから漏れてるんじゃないのか。ここでこれまでいったい何人が労災死してきたのだろうとまで想像させるまがまがしい雰囲気は、夕暮れ時だったせいだけではあるまい。合併前は大昭和製 紙だったようだが、その名前こそがふさわしい。近代日本の負の遺産を今に伝えるかのような施設。パルプチップが山と積まれている。きわめつけは土管の親分のような数十mにおよぶ赤錆の鉄管。延々と回転している。根元は衛星打ち上げロケットのように数本のパイプが束ねられており、何やら燃えさかっている。10mは離れた道路にまで放射熱が伝わってくる。あれが製紙工場の設備なのだろうか。製鉄所にしか見えない。京浜京葉工業地帯はそれなりにまわってきたが、あんな代物は人目から遠ざけてあるのだろうしふきさらしになっているとも思えない。あけっぴろげ。地元に許容されているのか、警戒意識に乏しいのか。あれが道路のすぐ脇で目隠しもせずゴロゴロ転がっているようでは、中で何をやっているのか知れたものではない。ともあれ圧倒される。写真なんぞつくづくへなちょこ。
古ぼけた建物には「頭上注意 コンクリート落下の危険あり」の警告。そのくせ「避難区域」でもある。工場の門の前は東海道線の踏切で「東海道」なる道路表示。
左足のつけねの関節がかみあっていないのを20年以上放置したままだが、そろそろ何とかしないと。こっち側だけ痛くなってくる。
帰りの電車が沼津どまりで、接続電車が混んでいたので沼津で下車。普通にひらけた地方都市。熱海より都会。港町だし観光地よりはましだろうと降りてみたのだが、気どった店が多い。しかも高い。都内の古くからの駅前には必ず一軒はある、質実剛健の関東労務層たちがつどう実質本意の大衆居酒屋のような店がまるでない。港まで歩く気力もなく、疲れた足を引きずって駅裏を探し、生ビール100円にひかれ適当な店で妥協。アジの開きが活け作りなんだがなかなか往生してくれない。しめようと思ったが串では困難。あれで食べられなくなる人も多いと思うんだが。そこまでやってるくせに味はさえない。
そういえば鮮魚店も見あたらなかった。魚を食べるなら小田原のほうがよさそうだ。ところでNT Tはすでに西日本。区分上どっちつかずの地域。