午前中曇。14時頃に一時晴れるもまた西から雲。
低反射布届く。箱内部に貼りめぐらし、底部に刻んだV字型の谷にもその通り貼っていくが、肉眼で反射の度合を観察したところではほとんど効果がないのではないか、むしろ平らに貼ったほうが反射率は下がるのではないかとの疑念が湧き、時間もないので3畝貼って以降はべったり平面で貼りつけてしまう。穴は十数枚開けて.24φから.38φまで揃った。本来ならこれ全部試すべきなのだろうが、どのみち大して変わりゃしないしめんどくさいしこれをいちいちネガでテストなんぞやってられん。さんざ迷ったあげく無難な.3φでいくことにする。仮どめでなくセメダインスーパーXのブラックで接着+遮光。スーパーXは光沢があるので#240紙ヤスリで光沢消し。つや消し塗料よりはずっと反射率が低い。反射率低減加工を本気でやるならめっき処理のブラックステンコートだろうが、木やアクリルにできそうにはないしコストがかかりすぎ。まるで現実味なし。撮影穴と2.8φビュー穴との切替機構をアクリルでつくる。アクリルは元が透明の素地に顔料を混ぜてあるだけなので遮光性は低い。たぶん赤外線は素抜け。なのでパーマセルで極力ふさぐ。現状可能な範囲内のことはやった。
15時半。飯田橋ガーデンエアタワー。積層雲が行き来し、雲間から高層雲を通して時おり日が差すのだが続かない。日が顔を出せばEV14、隠れるとEV11。雲は速いがなかなか時機が読めない。待たずにすぐさま露光したほうがいい時にもっといい条件になるのではと期待して待ち、あとから見たら待ったほうがいい時に待たず、結局好機を逃してしまう。これまでの半生の縮図のよう。明るさが一定しないのでまったくのあてずっぽうで5m。一枚しか装填しておらず、もう一枚と思いダークバッグで詰めている最中に日が覗き、完了してセットしたら隠れるというありさま。結局濃かったので、もっと露出を切りつめればもう一カット撮影できたものを。ビューホールは何となくわからんでもないがほとんどあてにならない。
水道橋クリエイトで3h。浅草橋、西日暮里、日暮里経由で戻り回収。鉄骨は半分以上工事が進んでいた。当然か。
カブリは多少減ったような気もする。しかし露出がオーバーなのでよくわからない。シャープネスはいいような悪いようなだが、これも濃度次第で見え方が変わるのであてにならない。カブリの原因については反射と回折が考えられるのだが、ホコリの影のヌケがいいことやホルダで遮光されている部分の濃度ののり具合の印象から、反射成分よりも回折成分のほうが多いのではないかと推察するに至る。反射防止対策に血道を上げてもほとんど効果はないのではとの結論。回折ということだと、単波長ならキャンセルするすべはあるかもしれないが可視光全域では手の打ちようがない。強引にこれでよしと結論づけたような節がなくもないがこの箱でしばらくやってみることにする。しかし天気予報はかんばしくない。
かれこれ3カ月以上あれこれ思案しては実験しているだけで、本人は苦心惨憺しているつもりなのだがそのわりには成果は何ひとつなく、対外的に示せるものといえばただ現実的な諸障害と格闘しているというこの経過報告くらいしかない。まあこの15年間全体がずっとそうだったのかもしれないけれども。対価を払って借りるつもりもないので「発表」なるもののあてもない。結局何のためにやっているのか。つまるところ、かつて霞ヶ浦や元加治や船橋保土ヶ谷で経験したあの昂揚をふたたび、というその一念なのだろう。興奮ではない。没我や恍惚といったものからはおよそ縁遠い。醒めきっていながらの昂揚。あんなひとときはまた訪れるのだろうか。