透明度低いが晴れ、しかし10時頃にはまたも雲が出てきて大崎でひきかえし、中野で下車。ぶらぶら。眠い。
このまま天候不順が続くのだろうか。こんなことならもっと早くカメラを完成させて冬のいい条件のうちに撮影しておくんだった。そんなのはわかりきっていたことだし今さら言っても。
ふとSuperAngulon5.6/47mmXLを覗いてみると前玉の絞りと向かいあう面にくもりが出ている。レンズエレメントの外周から浸蝕してくるような、典型的なやつ。あわててシャッターユニットからはずして拭いたらとれたので、バルサムか何かがにじんだだけだろうが、シリアルから察するに製造後11年経過していることになるので劣化が目立ってきてもおかしくはない。所詮は消耗品。ところが前玉をはずしたまま光にかざすと、手前のレンズエレメントのまわりがぼんやりと明るくなっている。途中のレンズエレメントのフチが鏡胴に覆われずに露出しているようで、コバ塗りはしてあるのだが光を透過しているらしい。後玉も同じ。これはどうなのか。絞りで遮られて直接は入射しないだろうが、回折もあるし内面反射も対策もしてないようなので、影響がゼロとはいいきれないはず。構成図も見てみるが大雑把なガラスの配置しか書いてないし、だいたい実物とかけはなれているとしか思えない。実際は絞りの前後の面は驚くほど小さい。最後面は絞りぎりぎりまで近接しており、そのまわりは鏡胴の枠はなく浮いている状態。エレメントの貼りあわせだけで組みたてているのだろうか。だとすると精度の安定性も疑問。
120°を超えるきわめて広い結像範囲を持つこの製品は、シュナイダー社としてもそれなりに威信をかけた、現在の写真用レンズの精華のひとつだと思うのだが、こんなものでいいのだろうか。問題は、予算の理由で頓挫しているレンズの改造でこの点が障壁になるのではないかという懸念である。
世間の人びとが機材に対して求めるような絶対の信頼などという幻想は抱かず、写真というシステムの構成要素からいくらかの距離を置き、つねに何かしらの疑問を保ちつづけるところから着想しているふしはある。とはいえなけなしの金をはたいて購入したものなのだから、ある程度しっかりつくってあってほしいと期待したくなるもの。