特快晴。日暮里。東京で寺といえばここだ。浅草寺って方向もあるが。まずは谷中銀座にいたる道の北側。本行寺、経王寺。谷中在住の知人によると寺によっては出入りをうるさくいわれるらしいので、経王寺の門前で落ち葉を拾ってる坊主頭の人に撮影の可否をたずねるとOKとのこと。三脚に乗っけたところで落ち葉焚きをはじめられ、煙がもくもく。左下から見上げるのは悪くないのだが、日暮里駅北に建設中の高層住宅のクレーンも目障りだし、早朝のほうが光が回ってよさそうなのでそのうち。それにまだUVカットフィルタを装着してない。なんたる泥縄。延命院、啓運寺、南泉寺あたりをみて、たぶん養福寺の裏に回ったら灯籠がまずまず。陽の影がかかるので時間をおいて出直すことに。写真を激賞してくれたM氏のパーティで以前行ったことがあるトルコ・イラン・ウズベキスタン料理の店で昼食ついでにハサミを借りてフィルターを切り、黒パーマセルがなかったのでありあわせのセロハンテープでピンホール前に装着。弓なりにたわんでいるが問題なかろう。養福寺に戻って、住職らしき身のこなしのしっかりした年配の人物に撮影許可を求めると、どうぞご自由に、とたいへん快く応じていただく。若い、とは言わないまでも現役世代の人間がともかくも仏教に関心を示すのは彼らにとっても悪いことではないのだろう。「観光寺院ではないので無断撮影はお断り」とか「関係者以外立ち入り禁止」と宣言している寺もあるけれど。ポラ2枚切り、2枚目と同位置で1m程度。EV15.0。上が切迫気味なので少しだけ余白をつくっておさえにもう一枚と思ったら動かしすぎてしまったので打ち切り。やはりManfrottoのギアヘッド買わなきゃ駄目か。それよりGitzo雲台の動きが堅すぎ。それから北上し法光寺、修性院、青雲寺、諏方神社を覗いて西日暮里駅を過ぎ田端へ。八幡神社、東覚寺、日枝神社、月休で入れなかったがちょっとおもしろそうな大久寺、光明院。もう一つ八幡神社と大龍寺。山手線を渡って圓勝寺。戻って与楽寺。佛立寺はかなり探したが発見できず。おそらくはじめて利用する田端駅から帰還。
回っての印象としては、駅前の地図などに名跡として載っているようなところはそれなりに本堂が大きく風格がある。歴史上の人物の墓があったり故事来歴に富み、自治体の扱いも格上。田端でいうと東覚寺、与楽寺がそれにあたる。もうひとつは大龍寺だったか。神社より寺のほうが好ましい。それは神社に偏狭なナショナリズムが漂っているということよりも、単純に見た目の問題で、寺のほうが立派であり、金がかかってそうに見えるからだ。寺は基本的に瓦葺きの屋根だが、神社は板金の屋根が多く、寺にくらべ見劣りがする。総じて神社より寺のほうが敷地が広く、建物も豪壮、幼稚園などの付帯事業も盛ん。江戸期に優遇されたことや、もともと墓地として不動産を持っているせいもあろうが、やはり仏事という収入源が大きいのだろう。都内で他に大がかりな日本家屋を見る機会は乏しいし、寺にもよるけれどわりあい広々としていて静かなので落ちつく。晴れた日に寺を回るというのはなかなかいいものだ。