カラー印画紙のバット現像では、乳剤面に処理液と空気以外の何も接触させずに処理を終えることができる。これは利点なのではないか。自動現像機を使う限り、どのような規模の機器であれ必ずローラートランスポートを通る。ここでのダメージは少なくないような気がする。ローラーを通さないためには、バットか深タンク、あるいはJOBO型のドラム式かさもなくばNOVAくらいしかない。NOVAは製造中止だったような。乳剤面に触れる可能性が低いのはバットであろう。
水滴防止剤を使えばスクイジーをかけなくてもいいはず。モノクロフィルムは水滴防止効果のあるAgガードに浸すだけで、スクイジーもスポンジも使っていない。液だれもない。むしろラボに出したカラーネガのほうがしばしば液だれあとを喰らっている。だいたいRCでもバライタでも印画紙にスクイーズなんてかけたのはほんの初期だけで、あとはかったるくてやってない。印画紙より一回り大きいガラスの上でかけろということになっているのだが、20x24より大きいガラスなんてもてあますだけ。
展示されている光沢印画紙にはよく傷がついている。すり傷は出し入れや印画紙どおしを重ねたときにつくこともあるだろうが、乳剤面を下にして搬送するタイプのプロセッサ、WORKSのノーリツ製やCP51では、プロセッサの入り口のガイド部分では乳剤面をこすることになるので、どうしてもキズのリスクが高まる。それに温風乾燥など熱も加えるので、プロセッサーでの処理は効率的ではあっても印画紙にとって最上とはいえない。バットの室温現像のほうがダメージは少ないはず。色が出るかどうかはわからないけれど。
タイプC印画紙で保存性をもたせるためにはフォトアクリルなどの表面処理が考えられるが、スタビライザー処理では安定液が残っているわけで、閉じこめて悪影響はないのかという懸念もある。その点は水洗のほうが好ましいかもしれない。ただ、WORKSのように大がかりなイオン交換樹脂膜型フィルターなんぞついていない水道水では同じことだろうか。できるのは水洗の最終段階で家庭用浄水器を通した水に浸す程度。