LPLあれこれ

LPLの引き伸ばし機で検索してここに辿りついて以来ここをご覧くださり、遡って過去記事まで読んでいただいているというお客さまが展示に来てくださったので、気をよくして機材話をば。
LPL745x系のカラーモジュールの減光器は、1/4出力側に回転させるとクリックストップで一回止まってさらに少し進むのだが、これは異常ではない。ヨドバシの展示機でも発生するし、LPLに聞いたら全部そうだとのこと。クリックストップ位置で使うのが正しい。その先にまで回すと1/4より絞られてしまう。絞りたければあえてそうするという手もあるが。
LPL7451以降のレンズボードは7700系とも共通だが、ぐるぐる回転して任意の位置で固定できる。これは大雑把なようだけど、どんなレンズでも絞り値表示窓を正面に向けられるので好都合。Lucky4x5は確か90°単位で位置を変えられるバヨネットマウントみたいなものだったと思う。Omegaはレンズボードを左右2本のネジでとめる形式。レンズのネジ切りの具合によって絞り値表示窓があっち向いたりこっち向いたりする。左右を逆にすれば180度向きを変えられるが、中間位置は選べない。どうしてもやりたければレンズをボードの奥までねじ込まず途中で止めるしかない。Worksではそうして使っていたが、半ば浮いた状態で気分のいいものではない。LPLも最初期の7450ではこれを踏襲した形式。富士はスライドインだったような気がする。レンズボードがプラ製なのがひっかかった。DurstはLPLと似た形式。凹ボードと凸ボードをひっくり返すだけで兼用できるという秀逸なアイディアはLPLオリジナルではないか。
カラーの全暗状態で覆い焼きをする場合、露光前にレンズ位置を全暗の中で把握しておく必要がある。そのためレンズに蓄光テープを貼ってあるのだが、フィルム暗室でもあるし、こういうものは必要最小限にとどめたい。レンズを正面に向けられればそこに短く貼るだけですむ。
LPLのレンズボードがついたままの状態でレンズを収納するのに使っているのがダイソーにあるプラ製のアクセサリーケース。レンズボードごとすっぽり入るが密閉度は低い。ただのホコリよけ。うちは生活空間なのでさほど支障はないが、本格的な暗室だと湿気がこもりレンズにカビが生えやすいので、引き伸ばし機から外して保管することが推奨されている。その場合にはもっと密閉度の高い容器に防カビ剤とともに封入したほうがいいかもしれない。

LPLの暗室時計が壊れた。ダイヤルを回しても分針が動かなくなった。台所でキッチンタイマーとして使うことのほうが多くて、さんざん落としたので壊れても不思議じゃない。もう一個あるので、駄目もとで分解してみる。ビスを外すが分針回転ダイヤルが抜けず本体をばらせない。ダイヤルが外れないかとぐりぐりやっていたら分針が動いた。あっさり直った。
この暗室時計は高いし、そこらへんで売ってる安いタイマーでいくらでもかわりはききそうで、実際セーフライトが使えるモノクロ暗室だけだったときには目覚まし時計で充分だったのだ。でも、全暗でシートフィルム現像をやるためには、秒針に蓄光塗料が塗ってある時計が必須なのだが、意外にそういう品物がない。結局これかアメリカのGraLabタイマーくらいしかなくて、GraLabなんか高くて買えない。とっくになくなってるのではと思ったらしっかり残っていた。写真だけじゃなくて版画とか医療用とか暗室には広く使われるから需要はあるのだろう。ということでこのLPLがある。ゼロ秒時の数十秒くらい前からアラームが鳴るのだが、何秒前に鳴り出すのかがそのつどまちまちであんまりあてにならず、なんのためのクオーツなんだよという気もする。60分の時計で1秒くらい狂ったって暗室用途ではまったく支障はない。むしろそっちを何とかしてほしい。ったっていまさらか。今見たら定価1万3千円以上になっている。うーむ……
4x5の引き伸ばし機の情報は少ないので、知ってることはどんどん公開するようにしよう。そのことでユーザが増えれば存続につながる。でも、そんなに熱心にお読みいただいているとは思わなかった。こんな垂れ流しでも人の役に立つなら何より。