雲だらけだったのが日の出とともにみるみる晴れてくる。しばらくなかった快晴。透明度はあまり高くない。
Sinar改造機でテスト撮影敢行。その前に蛇腹の漏光チェック。舞台用だといわれてもらったぶっといコードつきのエジソンソケットにセーフライト用の5W豆球をさしたのが蛇腹チェックツール。さほど発熱しないし小さいので蛇腹の奥に突っ込んで光らせて穴を探すにはちょうどいい。コードが太いから電球から離れたところを持っても自重で曲がらず棒のように突っ込める。何でももらっとくといつか役立つ。そしたら穴だらけ。ダイソーの両面テープではポリプロピレンに粘着しないのでHCPの値の張る両面テープを惜しげもなく使ってはがれた部分をくっつけ、それでも光が漏れるところは黒の製本テープをとにかくべたべたと貼りつけて糊塗をはかる。もうおよそカメラだなんて思えないモンスターの出現。カメラとは呼びづらいが箱ですらない。このぶざまな代物は写真界のドロロか。こんなキチガイじみたもんばっかこしらえてて俺の将来はどうなるんだ、と一瞬不安になるが、どのみちそんなもん手遅れだったと気がつきほっと安堵。でも元の蛇腹が角かどでほつれているゴミ同然のがらくたなのでごまかしきれない。埒があかないので露光時に黒の冠布で全体を覆っちゃえば文句ないだろコノヤロ。というわけでまたベランダに三脚据えてまずはポラでテスト。ポラを構図の確認でなく製作中のカメラもどきの動作確認に使うのは実ははじめてなのだ。そういえばこのSinarF2に使うのも初。これが今なおSinarF2と呼べるものなのかどうかはわからんが。ポラ何回も切るのはもったいないので、EV15.7下で30秒と2分の段階露光。といってもポラのスリーヴを抜ききらず途中で止めて一部を90s露光し、しかるのちに抜ききって全体をさらに30s露光しただけ。これが結構うまくいった。ちゃんと気温も確認して気温に応じた現像時間で処理するなんてのもこれまでやったことがなかった。で、30sは短すぎ、2分はほぼ適正。1枚のポラでわかる。そこで長らくほっといたKodak160VCの期限はるか昔切れジャンク装填の4x5ホルダで撮影。このSinarのなれのはてでまともに撮影したのもたぶん今回初。買ってもうすぐ3年なんだが。向きを変えて90sと150s。ところが、ポラはタイプ53で ISO400、その感度で適切な露光時間前後をISO160のフィルムに与えてしまった。1段と2/3オーバー。途中まではわりときっちりやったんだがなあ。カラーネガならそのくらい平気そうだけど、8年くらい経っててまともなカラーネガじゃない。でも、そこで感度低下もあるだろうしこれで結果を見てみることにする。
さて低天は白っぽいがせっかくの晴れ。4x5の現行の箱での撮影はできそうもないので、ひっさびさにEOS-1nと12-24mmをぶら下げて市川塩浜へ。2004年11月7日以来。しかし場所がわからん。それらしき場所に行ってみたら、その手前からして、連休だから休みだろうと思ったのに稼働している。そしてお目当ては……ない。貨物用クレーンがたくさん立ってるはずなのになくて、工事用の赤白トンボ型クレーンが数基。奥には建築中の建物。おかしいな場所間違ったかな。でまわりを歩く。埋め立ての護岸が昭和40年代につくられたとかで老朽化により地盤が流出したらしく海沿いの道路が陥没している。似た者同士だ。軽トラやドカバイクで乗りつける、日焼け指数松崎しげる比2.5の海釣りの人のなか、国***撃隊とかいう街宣車が2両。しかしごつい廃バスでなく奥ゆかしい乗用車。遊撃するには小回りきかないと駄目なんだろう。しかも街宣車とくれば全身黒塗りの押し出しで攻めるのが常道だが、こちらはそんな猿真似は排し、まだらグレーの迷彩色で渋く決めている。天井には街宣車たる所以であるところの拡声器が前後左右にとりつけられ、しかも街宣車だけあって大出力に耐える機材が搭載されているのだが、大音量で轟くは天下のTUBE。海には前田先生の歌声が合うなあ。夏を先どりだね。かたわらにはメタルフレームのグラサンかけた栄養状態がきわめて良好そうなアニキたち。やっぱ千葉いいわ。しばらく歩くうちに、ここがその場所だったとわかってくる。4年もほっときゃ変わる。そういえば以前はぼろい倉庫が並んでいたが、あれも昭和40年代築だったのだろう。それが今ふうのトレーラーが上れるスパイラル状乗降路つきの物流倉庫に建て替えられているらしい。クレーンもオレンジのを除きみな撤去。やむなし。去年から建ててたらしい。何をやるつもりだったのか。クレーンの撮影? そんな誰でもやるようなことをへそ曲がりの俺様がわざわざやるわけがない。クレーンに登るんだよ。4年前には登った。上にいると警備員が巡回してきても下しか見てないから気づかないんだな。でもあのときは雲が多くてうまくいかなかった。今日は落ちたらどうしようと案じていたが、命拾いしたってもんだ。何度か来ようとは思ったのだが、そのたびに土曜だから人がいそうとか考えて来なかったのだった。でも、来なかったのは結局やる気なかったからだ。もうあそこに行くことはあるまい。
京葉線は意外に混んでない。舞浜への出張組は早朝に来て晩まで粘るんだろう。
まだ15時前。もう一か所ずっとほったらかして気になっていた場所、金町の三******跡へ。こちらもクレーンが立ち工事がはじまっている。鉄錆の丸*ボイラーはまだあった。でも軸からは外されていた。やるなら早めにしないと。でも撮影許可が下りるかどうか。
そして柴又帝釈天。しばらくぶりのお寺。参道はたいへん気分がいい。ほどほどの混み具合で、普段着の人ばかり。観光客が少なく地元の人が来る場所なのだろう。寺は有名なわりにはこじんまり。区の指定文化財か何かで、都レベルでもない。意外に地味。その分偉そうでもなく、内部拝観は有料と表示されているが金とってなさそう。撮影はしないけど、なかなか気分のいいお寺。
江戸川沿いを戻る。矢切の渡しの船がある。こちらがわと対岸の千葉側とで川岸の風景が違う。あっちは川の流域のすぐそばに植樹してある。植えるんならもっと水辺から離せばいいものを、流れのすぐそばに植えてある。あれじゃ台風が来てちょっと増水したら根こそぎ流される。毎年流されては植え直すことを意図した事業なのだろう。さすが千葉。東京都もいい加減利権づくしだがもっと露骨でかえってすがすがしい。
やっぱり晴れた日にカメラ持って歩くのが一番。たとえ一コマも露光しなくても。持ってるだけで、ものをよく見るようになる。普段は用がなければろくすっぽ出歩かないが、行ったことのない場所にこそ進んで行くようになる。でも明るすぎてか睡眠不足かで目が痛い。明日も晴れの予報。