明日最終日

冷凍してあった2本のNPCは2005年8月期限だった。よくもこれだけほっといたものだ。しかも、冷凍フィルムは冷蔵室に移してしばらく解凍し、徐々に室温に戻さなきゃならないのに、そのままポケットに入れて持ち歩いたらガスがふくらんで内袋がぱんぱんになっている。でもネガだし展示会場撮影程度なのでどってことなし。考えてみたら時間をかけて常温にならすなんてやった記憶がない。ともあれこれでNPCは使い切り。奥に隠れてなければ。コニカImpresa50の120はまだ数本ある。AgfaのUltra50も。
6x12ホルダでは対角線画角が120°近くになり、狭い部屋では有利なはずなのだが、ここは通路で分断されていて広い画角があまり用をなさない。
Manfrottoのギア雲台と三脚の組み合わせで水平がすぐに出る。Ebonyの水準器ではあてにならないのでギャラリーにある水準器で確認。SV45に47mmだとフロントかバックをベースティルトとセンターティルトの組み合わせで寄せなければならない。ビューカメラなので絞りもシャッターチャージも引きぶたもすべて手動で効率は悪い。時間がかかる。それでもMamiya7より会場撮影はやりやすい。なぜか。どこまで入っているかがMamiya7に43mmでは当てずっぽうになってしまうが、ビューカメラならピントグラス上でしかと確認できる。また、プリントの天地の中心に画面中心を合わせるのが、斜めの展示写真の奥行きを自然にするには基本だが、Mamiya7ではたいへんやりづらい。目分量でレンズとセンターが合っているか見る程度。もうちょっと確信を得たかったら、ビューファインダーでセンターを出し、ビューファインダーとレンズ光軸の縦方向の距離の分を三脚で上げて補正する、という手がある。しかしこのビューファインダーがまたあてにならない。ビューカメラでピングラに方眼が入っていれば一発で確認できる。結果としてビューカメラのほうがレンジファインダーカメラよりきっちり撮影できて安心感がある。もっともビューカメラならではの失敗のリスクもあるけれど。それにMamiya7よりずっと時間がかかる。追い込もうとするといくらでものろのろやれてしまう。来客の対応で4度中断したということもあったが、結局閉店の23時過ぎまでかかってしまった。
自分が撮影したネガを自分で焼き付けた写真、レンズを通してすりガラス上にその像が投影されているのを眺めるのは不思議な気分。Mamiya7のレンジファインダーやビューファインダーはただレンズが入っているだけで、眼鏡なり、極端にいえば空気を通して写真を見ることの延長とも考えられるが、ピントガラスというスクリーン上に投影された実像というのは、脇からでも見える、条件によっては側面からのほうがよく見えたりもする像であり、それ自体がまぎれもなく光学的な現象である。そう考えていくと光学的な現象はさらにわれわれの角膜と水晶体と網膜、つまり眼球内でも起こっているわけなのだが、そのように光学的結像を次々と重ねていく、いわばカスケード状に連鎖させることに、いわくいいがたい感興をそそられる。
6x9でポジとネガと各1本、6x12でネガ1本。一式背負って帰る。Ebonyが入っていると、自作の箱より歴然と重い。
今回もDMを使い切れなかった。銀座にまきに行く時間がなかった。前回は大判のほうは足りなくなったが、前々回にもまいている暇がなく、A4で2,000枚もつくったのに大半が残ったのだった。ずいぶん労力をつぎこんだんだが。あれは切なかった。終わっちゃえばただの資源ゴミ。