8時前出発。ところがうっすら巻層雲。名古屋港8時半着。巻層雲が増えてきた。昨日は無雲だったのに。様子見ることにして名港線名城線をホテルにし、9時50分頃戻ったらそこそこ晴れている。遠くに薄く雲があるがこれくらいはよしとする。ようやく撮影できる! 10時20分頃、寄り目からはじめる。下がインスタントフィルム上では入りきらず切れているのだが、下のほうは今までほとんど気にしたことがないので、実際はどの程度余裕があるのかデータをもっていない。そこで、そのまま1枚、後退して下げていき3枚、さらに後退して下げて2枚。水平が狂っていたので直してティルトも上げて1枚。これを炉濃くしてから雲が出てきたのに気づく。11時くらい。みるみるひろがり撤退。すべて45s。露出は図らず。これだけ撮ったら充分だろう。でも明日も行って念のため寄り目をもう少し撮ろうと考える。
西から雲が広がってきているので見込みは薄いが、とにかく現地に行かないことには話にならないので11時半頃本山。巻層雲が北にしっかり。ちょうど正中。ところが目にキャッチライトが入らない。そうか冬至どきじゃなきゃ駄目だったのか。なんでこれくらいひとめ見て察することができないのか、つくづく悲しくなりますよ。今は冬至から一月半経過しており、冬至春分の中間くらい。すでに日が高すぎる。2年前に撮影した時は1月15日。このときには、正中よりちょっと早いけれど、きっちり目に光が当たっていた。今年も同じ1月15日に行っていたのだった。あの時地下鉄を逆方面に乗り間違えたりせず、早く着いてきっちり撮影していれば。去年の12月18日にも行ったのだった。19まで粘っていれば晴れたのに。後悔の種は尽きないが、当然ながら今さら。来年の冬至まで待つのか。いつまでこれやらなきゃならんのだ。2年前のプリントを見ても雲はさほど目立たないし、北側に8階建の集合住宅が建つ前だという条件のよさもある。フレーミングもまずまず。正中からはちょっとずれているけれど、これでもいいんじゃないかという気がしてくる。さすがにもうつっぱれなくなってきたか。限界なのか。
巻層雲がいっぱいに広がっておりどのみち無理なので引き上げ。矢場町に着くころ晴れてきた。戻ろうとしたらまた雲。別に正中に執着しなくてもいいか、無雲と正中とアイキャッチで優先順位をつけたら無雲とアイキャッチになる。もっとずらして斜光線にし、斜めにハイライトが入るのでもいいのではないか、そう思い直す。
午後の天気予報をネカフェで見ると、名古屋も、京都奈良、東京、日光も、いずれも明日は晴れ。だったらもう1日名古屋に残って撮影してみよう。それでも駄目だったら、2年前のネガで妥協するなり考えよう。
土日エコ切符は地下鉄と市バス全線が使えてお得。地下鉄が走っていない埠頭にバスで行こうとするが、接続が悪くて断念。もうすっかり空は巻層雲で覆われる。こりゃ明日は駄目かもわからんね。ギャラリーをいくつかまわり、さて夕食と矢場町矢場とん本店に。みそかつは有名店で食べておこうと思っていたのだった。岡崎出身の元同僚が、みそかつやきしめんをやたらと嫌っていて、いやほとんど憎んでいて、なぜあそこまで目の敵にするのかと気になっていたのだ。もっとも彼はウスターソースやとんかつソースも嫌いで、フライには塩をかけていたし、名古屋文化全体を嫌っており、味の好みの問題とはちょっと違うのかもしれない。今では家業を継いで社長になった彼は、あいかわらず中日新聞が嫌いでアンチドラゴンズ、地元が国内で教育程度も治安状態も最悪だとボロカスに言う。でもそのわりにはトヨタの新車をうれしそうに自慢するのだが。どこかでみそかつを食べて甘いと感じたが、地元の人に支持されている店で食べた上で判断すべきだろう。ところが矢場とんの前を昼頃通ったら長蛇の列、15時頃もまだ並んでいた。並んでまで食べる習性はない。
だいたい立ったままじっとしているなどというのは人間様のやることではない。獣の行いである。なぜか。ヒトの体は立つようにはできていないのだ。立ったまま静止するというのは四つ足の動物に向いている。馬は立ったまま寝る。立つのがもっとも体のつくりにかなっているからだ。じゃあわれわれはどうすりゃいいのか。ヒトは歩くようにできあがっているのである。二足直立状態というのは不安定で、静止にはまったく適さないが、不安定なぶん移動にはたいへん適している。ヒトが二足歩行で得たのは手の能力だけでなく移動能力である。ヒトのかかとの骨は全哺乳類の骨の中でももっとも分厚くて頑丈だという。そしてこれだけ長距離を移動できる陸上生物は他にいないのだそうだ。四つ足よりも速度は遅いが、1日に100kmといった長距離を動けるのは人間だけ。長期にわたって歩き続けることで、渡り鳥よりも長く移動できる。これも人類の覇権に大きく寄与しているだろう。だから立つのは大嫌い。立って待つくらいなら同じ時間かかっても歩いて他を探したほうがいい。
そういうわけで昼は他に行き、ギャラリーめぐりなどして19時頃また通りがかったら並んでいないので、10分後くらいに戻ったらもう列をなしている。なんなんだ。こうなりゃ意地と、名駅地下街の店なら並んでないだろうと行ってみたらこっちも並んでいる。他を探すもめぼしい店はなく、戻ってきたら待っている客がいないのでようやく入った。ロースかつ定食1,155円。結論としては、並んでこの金額払ってまで何度も食べたいというひとの気が知れない。みそは甘いとはいえ田楽味噌ほどではなく、こういう味つけもありかなとは思うが、どっぷりかけられて、いやほとんどひたされて出てくるので、食べ終わるころにはカツの衣がすっかりしっとりねっちょり。カツや天ぷらをおにぎりの中身にしちゃう食文化だから、きっと揚げ物のサクサクした歯触りは重視していないのだろう。ここここで述べたように、カツ丼の調理法からして、東日本の人間よりもカツのさっくり度合に対する要求水準が高いと思われる京都のひとにとっては、かなり受け入れがたいものなのではなかろうか。ましてみそかつ丼は下からもご飯で湿らせるんだから、もう何のために揚げるのかよくわからない。肉質も、どうなんだろう特にたいしたものでもなさそうな。みそ汁が濃いのはまあいいとして乾燥わかめが固い。時間がたっても広がらない。そしてごはんのおかわりは有料。しかも盛りも少ない。トンカツ屋がおかわり自由というのは東日本だけのローカルルールかもしれないが、あんなに少ないのはどうなのか。結局、千円以上するのに満足感なし。あの大挙して押しよせる人々はみな観光客なのだろうか。いや地元人に見える。慣れるとあれがおいしいのだろうか。
あと有名な名古屋のモーニングなるものを食べる機会にいまだ恵まれていない。
それにしても名古屋には昔ながらのぼろっちい店が密集する飲み屋街はないのか。名駅周辺にしても栄や矢場町や金山にしてもみんな再開発で追い出されちゃった風情。新宿ゴールデン街は気をつかわなきゃならなくて苦手だけど、東京でも神奈川でも……長くなるのでこれにて。