6時過ぎ出発。まだ暗い中地下鉄へ。名城線を2、3周して8時過ぎ名古屋港へ。ややヌケは悪いが特快晴。だがここにはやや早い。昨日、背後のアンテナが消えない消えないと思っていたが、考えてみたら高さを下げたら簡単に隠れるのだった。2年前にはそれでいともたやすく解決したのを思い出した。昨日は前後しかしてなかった。しっかりしてくれ。1枚だけでも撮っておくかとも思ったが、光源が低すぎて影が長すぎるのと、本山に行くのが遅れると元も子もないので見送り。余裕があったらまたこよう。でもこういう場合に余裕があったことはほとんどない。
9時前だったか本山。日はまだ低いが、目に光が反射しているかというと、あたってはいるようなのだが輝きが鈍い。こんなもんなんだろうか。2年前のネガからのプリントで見る限り以前はもっと光っていた様子。耳や口のように紙白までのハイエストライトではないが、もっと反射率が高いように見える。この2年で汚れて輝きが落ちただろうか。でも耳や口のほうがより直接に雨風があたるのではないか。それらの部位は雨があたるから洗い流されるが、目は下向きだから汚れが流れる途中で固まってしまいこびりついているとか。いや単に下向きだから照り返しがないだけじゃないのか。でもすぐ下まで行っても反射していない。どうなってるんだ。とにかく10時くらいから撮影。このへんから両目に光があたる。早すぎると光源の逆側が隠れてしまう。ところが背後の集合住宅を隠そうと寄ると右が切れてしまう。これはいかん。垂直も出ず悪戦苦闘。引きながら何枚も露光。今日はすべて45s。露出計らず。どうしても写り込んでしまう。正面に執着しなくてもいいんじゃないか。右からあおってみる。集合住宅はきれいに隠せる。右の鼻が極端に誇張される。これはこれでありか。これも何枚も撮影。インスタントフィルム4x5QLネガも、もう使いきれないんじゃないかというくらいあるんだからと調子に乗って使いまくっていたら足りなくなる。こんなに使うつもりじゃなかったから、軽くするため少なくしたのだ。粘りすぎてしまい正中直前の11時半頃正面に復帰。目の輝きは下がったような気もするがよくわからない。途中で住職来る。撮影の報告をすべきか迷ったのだが、断られるとかえってヤブヘビなので無断で強行したのだった。まずいなあ。バツが悪いのでお邪魔してますと言ったが特に反応がない。これは黙認だと解釈。何回か来るが何もなし。寺男にも咎められない。いずれ連絡しないと。最後のポラでようやく決まって12時過ぎの明らかに正中を過ぎた時点で1枚。待つとどうなるかと13時近くまで粘って最後のネガを露光。これで全部。もう居続けても無駄なので引き上げる。無駄などと言いだせば、結局2年前のネガを使うかもしれず、今回の撮影はすべて無駄かもしれない。それどころか、公共性という尺度に照らせばすべて無駄なのかもしれない。でも、そのときあった条件下でできる限りのことはすべてやった。空も申し分ない。ときどき飛行機が入っていたけれど。合掌してごきげんよう。そういえば、日曜ということもあろうが参詣者が多かった。東京大仏もたしか日曜だったが参詣者が途絶えなかった。巨像というのは信仰心に訴えるものがあるのだろう。しかもどちらも露天で無料、気がねなくお参りできる。
ネカフェで天気予報チェック。今日の太平洋側はどこも晴れ渡っていた様子。でも明日は全国的に下り坂。帰ろう。かえってほっとした。これで明日も晴れだったらフィルム買って名古屋港に行かなきゃならない。正直それはちょっときついなと思っていた。あれでいいです。たぶんどれかはそこそこ使える。アンテナがちょっと出てたって気にしない。
あとは、時間の許す限り見ていこう。金山からバスでワイルドフラワーガーデンへ。名古屋港よりももっと南、橋をいくつか越えた陸続きでない埋立地。ワイルドフラワーガーデンは東電の敷地内につくられた植物鑑賞施設。冬場は休み。行く必要もなし。ここが終点だが、さらにその先5駅を走る路線もあり、塩見町南まで行くのだが、日曜の日中はまったく便がないので、この埠頭はここまでと見切りをつけ戻る。この時点で15時過ぎ。18時半には金山に戻らないと東海道在来線で帰れない。でも強気で別の埠頭も攻める。東京とも京都とも違い、バスの本数が少ない。地下鉄と自家用車で足りるのだろう。客も少ない。市バスのバス停には、100円の利益のために要するコストが書いてあって、117円とか145円とかみな100円を超えている。ほとんどは人件費だろうと思うがね。そういう批判もあるのだろうか、名古屋は地下鉄も市営バスもやたらと物腰やわらか。待って乗り換えて稲永スポーツセンターへ。どうでもよい。その先はラムサール条約保護下の干潟。17時半。待って築地口から名港線で金山へ。15分早く着いた。でも接続悪く結局同じだったけど。最果てのフェリーふ頭には行けなかったが、あおなみ線で前に行った金城ふ頭の近くなので、あえて行く必要もあるまい。市営の公共交通機関で行ける海沿いはだいたい行った。名古屋はこれでいいだろう。
東京で写真をはじめたのは幸運だったのではないかとふと思った。人間嫌いで自然も苦手な人間が、人工物とか都市部固有の対象でやっていったら、たとえば名古屋だったらたちまち一通り回ってしまい、何かを見つけるところまでたどり着く前に「やりつくした感」にまみれきって続けられなかったことだろう。