曇のちうっすら晴れ。今日はフランスとドイツに行ってきた。ちょっくら自転車で。
投宿先はライン川沿いのエラスムス広場の知人宅。世界史の教科書に出てくる、かのエラスムスが住んでいたという街。少なくともここの知人宅を見る限りでは、生活水準は東京に比較すると数段高い。それでも当地では下層だそうだが。
そこで自転車を借りたのだが、乗ってみるとえらくサドルが高い。サドルに座ったままでは地面に足がつかない。サドルを下げようと思ったら、すでに目一杯下におりている。なんとも屈辱的ですなあ。しかもこれの所有者はたいへん小柄。これしか手に入らなかったんだろうけど、どうやって乗ってるんだろう。ギアがシマノ製なのでしてやったりと思いきや、壊れていて変速が使えない。だめじゃんメイドインジャパン
バーゼルの街なかをうろうろ。右側通行。自転車は車道を走る。たまに自転車専用レーンもあるが、どこを走ったらいいのかしばしば迷う。歩道を走らざるをえない日本より速度は出せるが怖い。加害者になる危険度の低さとひきかえに加害者になる危険度が高い。ひくよりはひかれるほうがいいというひとがいるが、ひくほうがよっぽどいい。自分本位なのは否定しないけれど、自転車が歩行者をひく事故より、自動車が自転車をひく事故のほうが生命に関わる可能性が高いとの合理的判断。成田空港で通関後に、まるで券売機のような損保各社の旅行保険自販機が一列に並んでいて、吝嗇なくせにこわがりなものでつい8,000円も出して旅行保険に加入してしまい宿主になじられたのだが、これで1千万まで保険がきくのできがねなく自転車に乗れる。とはいえ左折が難しい。けっこうみなさん道を譲ってくれる。なんでも車が突っ切ると違反になるんだとか。
で、南行ってムテンツあたり、戻ってユーロエアポートへ。ただの野っぱら。鉄条網で囲ってあって道の外に出られない。離着陸の便は少ない。羽田の1割くらいじゃないか。戻ってフランスのサン・ルイへ。急に諸表記がフランス語になる。田舎っぽい。いったん戻ってサンクト・ヨハン側から入ったらバーゼル側とそんなには変わらない。
それから東に行って林を抜けてオッターバッハ。ドイツでは自転車は歩道を走るものらしい。ヴァイル・アム・ラインへ。もっと田舎。というより田園。山にお菓子の家みたいのが建っている。
バーゼルはすぐ隣なのにずっと都会的。でもこじんまり。市街地の広さは仙台くらいか。行政管区は合併後の仙台のほうがずっと広いが。北のほうは工場が多い。
たいへん整っており絵になる街並なのだが、いや、だからこそ、なのかもしれないが、撮影しようという気が起こらない。
高層建築はほとんどない。ゴシック様式の教会がいたるところにあり、その尖塔が周辺で最も高くそびえている、というところが多い。でなければ煙突。高いビルおっ建てて喜ぶようなのはアジア人あたりにやらせておけってところだろう。しかし、そういう下品な建築が、この際物写真にはぴったりなのだ。このあたりの瀟酒な建築には目をむくあざとさがないのでどうも向かない。
あたりまえの観光写真を撮る気もしない。画像のひとつもないと4月なんちゃらがらみのホラ話と思われそうだが、そう思われるくらいのほうがかえっておもしろい。そうそう、みんなでまかせですよ。