曇。7時過ぎバーゼルを出発しミュールーズでTGVに乗り換えパリへ。2等席は異様に狭い。ずっと安い普通列車は2等でもゆったりなのに、なんでTGVはこうなのか。2等席の数も少なくほぼ満席でなお狭くなる。11時過ぎパリ東駅到着。まずカルト・オランジュを買う。その週の日曜日まで有効のフリー切符。火曜日ならそこそこ使える。でも金曜以降に買うのは損だと思う。地下鉄だけでなく国鉄もバスもみんな使える。ゾーン1-3までとゾーン1-5までの2種類あり、38ユーロの広域の後者を買うが、飛行機で空港に発着してこの切符で往復とも行き来するのでない限り、パリ市内有効の1-3だけで充分であり、広域を買う必要は薄い。広域のほうにはヴェルサイユとかサンジェルマン・アン・レなどの郊外も含まれてはいるのだが、そこに行く日だけ別途切符を用意したほうが安上がりだと思う。ただ、ベルリンでは切符売り場や両替所などの職員がみな親切なのだが、パリではフランス人の接客係はことばのできない観光客に対してたいてい横柄なので、1回切符を買えばすべてまかなえるという楽さはある。いちいち自販機で切符買うのもわずらわしいし。
ベルリンは同じ路線に違う行き先の電車がいくつも乗り入れていて複雑で、いつも行き先表示と番号を確認しなければならないのだが、パリでは基本的に一つの路線は同じ経路だけなのでわかりやすい。でも隣駅などの表示がないのはベルリンと同じで、日本の地下鉄ほど親切ではない。日本でもベルリンでも、一つの路線では往復のホームが共有されていて、左右のどちらかに乗ればいいことが多いが、パリでは日比谷線などの多くの駅のように上りと下りのホームが隔たっており、反対の方角のホームに行ってしまうと逆方向に出るのが面倒。たぶんこっちのほうが複線の軌道間が一定ですみ、建設費は安く上がるのだろう。あと運転は荒っぽい。急停車はあたりまえ。しかもドアはボタン式の手動なのだが、完全停車する前にドアが開可能となり、電車が止まりきっていないのにドアを開けて乗り降りするのがワイルドで楽しい。よく事故が起きないものだ。日本なら事故が起きる前から非難の嵐になるところだが。それとパリでは席が空いていればみんな座りたがる。
オペラ座。西側正面からになろうが上のドームが見えないのが痛い。
午後、リヨン駅近くのホステルに入る。リヨン方面への路線のターミナル駅であり、いろいろ乗り入れていてそこそこ便利。駅からも近く場所はまずまず。近所にスーパーもある。しかし古い。予約では8人部屋だったが3人部屋。その階のトイレもシャワーも使えない。衛生的とはいえない。鍵は1つを共有し、その部屋の最後の人間が部屋を出るときにカウンターに預けるのが不便。これで28ユーロ。パリは高い。Hostel Blue Planetというんだがもう行くことはない。
ルーブルへ。ブランデンブルク門を小さくしたような門がある。とにかくだだっ広い。撮影できなくはないがうまくはいきそうもない。シテ島に渡りパリのノートルダム。正面からだと高すぎでうまくない。でも側面や北側はまったく駄目。ここは対象にならない。正面入口左の聖人列みたいのの中に、首がなくてもげた首を抱えているひとがいる。ここも魔除けが多いので有名で、エイリアンみたいなクリーチャーが壁からつきだしていて、これはこれで充分グロテスクな東照宮型だが、ストラスブールを見たあとではこんなものかという程度。すごい行列で中に入るのは見送り。近隣に裁判所、警察署。
サンルイ島に渡ると小さな古い建物ばかりになり、カフェが建ち並ぶ。東端へ。ライン川は流れが速いがセーヌはゆったり。
凱旋門では何やら儀式をやっている。ここは表裏はなく東からでも西からでも可能だが、正面に立とうとするとすぐ下になってしまう。まわりをとりまくエトワール広場のロータリーを渡るとやや離れすぎで、正面は両側とも道路なので斜めからとなる。東も西もいずれもクレーンやら最近の建築が入ってしまうが、どちらかといえば東側角から午前中がましか。形状としてはコの字型の門で造形におもしろみはなく、レリーフも魅力に乏しいが、パリの凱旋門だということに意味がある。それにしても、ブランデンブルク門に劣らぬ人出。雷門もそうだけど、何でこんなに集まるんだろう。ただの門なのに。ここは上に上れて展示施設もあるようなので、行き着くべき場所が他にあってそこへ行くために通過するだけの門というのではないのではあるが。
ラ・デファンスは副都心で高層ビルが建ち並ぶがつまらん。
パリではドイツ以上に冷えたビールが売られていない。ただ缶ビールはある。やむなく濃いビールを買ってきて室温のままホステルで飲む。ビールは安い。フィッシャーが1.6ユーロくらい。あとバゲットも安い。1ユーロちょい。クロワッサンはもうちょっと高かったりするので量を考えると格安。主食だからだろう。でもバゲットを半分にしてハムやレタスやトマトを挟んだ程度で4、5ユーロにはねあがる。あとミネラルウォーターは1.5Lで1ユーロ足らず。チーズや牛乳もわりあい安い。パテ類もそこそこ。200gで0.6ユーロとかいうポークレバーパテがあって、こわごわ買ってみたがまあ食べられた。日本だと輸入物になるからべらぼうに高い。あとはハム類。バーゼルで買った生ハムのにおいと癖がきつくて、1枚食べてまずいと思ったのだが、宿主は獣の味がしておいしいという。20年もこっちに住んでるとこうも変わるものだろうか。でも食べているうちに慣れてきた。特にライ麦だかの黒っぽいパンとはたいへんよく合う。パリの生ハムも癖があるが食べられる。安いのはこれくらい。いきおいこれらばかりを食べる羽目になる。あとは瓶詰めのトマトソースをバゲットに塗ったり。パスタや生肉は調理できない。外で食べるとなるとやはりケバブかピザ。どこでもトルコ人の店は安い。それでも6ユーロとか。そんなに出すほど食べたくもない。Mのハンバーガーやサブウェイやスターバックスはどこにでもあるが、そんなものに行くわけがない。オペラ座の近くには和食店もどきがたくさんあって、「オキナワ」なのにスシのサンプルが並んでいたりする。ラーメン屋も多く、赤いのれんが下がっていたり大勝軒があったり。そういう店にはワイシャツの日本人リーマンがいて7ユーロとか10ユーロもするラーメンをすすっている。ああいうのにだけはなりたくない。