海外ネットショップ

朝巻層雲がたなびいているので様子を見ていたら一面曇に。器づくりなど。
去年の秋頃ほどではないがドルが安くなってきたので、個人輸入の算段。もっとも、これまでVISAで決済した限りでは、直近の為替レートよりかなり高く、いつのレートなのかよくわからない。だから円が高くなったからといって輸入しても、円高の恩恵にあずかれるのかまったく不明。この点について以前問い合わせたが明確な返答は得られなかった。手数料分上乗せしてあるということだろうが、それはいい。商売だから手数料くらいとるだろう。しかし、そのしくみが明確になっているならともかく、うやむやにしている点で、パリの街中で観光客を食い物にするうさんくさい両替屋並のアコギな商売といわざるをえない。いや、そういう両替屋ですら日々の交換レートは事前にきっちり表示しているのだから、購入後時間が経過した請求時にようやくレートが判明する日本のVISAはそれにも劣る。カード会社によって違うのだろうか。MasterとかAmexはもっと相場のレートに忠実なのだろうか。もともとこういう商売をあんまり信用してないのでクレジットなのに!いろんな機会にくっついてくる他のクレジット契約もあるけど使っておらずよくわからない。基本的に外国での買いものの決済手段としてしか使っていないので。
これまで写真用品の海外からの取り寄せについて書く際には、具体的な手段を伏せておいた。印画紙やフィルムの購入者が海外に流れてしまうと、国内の市場の縮小につながり、販売にも製造にも悪影響を与えるのではないか、と怖れたからだ。むろんこの日誌にたいした影響力はないけれど、狭い大判写真市場にマイナスとなるようなことはしたくない。
でも、どこで買おうとメーカーの売り上げは売り上げだし、感材が安く買えてその分みんながたくさん使うようになれば、業界にとっていいことなんじゃないか、そう考えて隠すのはやめた。
海外の総合写真用品店でよく見ているのはAdoramaB&HCalumetFreestyleの4社。もう1つあったがつながらなくなった。Calumetはこの手のはしりだが、売価も送料も高くてただ見るだけ。Freestyleはよく知らないがちょっと高めだと思う。AdoramaとB&Hは売価ほぼ同じ。仕入れ値が同じか、街中のスーパーのように価格競争して結局同じになっているか、あるいは母体が一緒かだろう。ただB&Hのほうが送料が安いのでこれまで3回の買いものはB&Hを使ってきた。発送も早いし、梱包も緩衝材をこれでもかと入れていてこれまで問題はなかった。
で、今回購入を考えているのはフィルム。でも、金銭に余裕があって、特殊な製品を使うこともないなら、感材の個人輸入はあんまりおすすめしない。途中でどんな扱いを受けているかわからないからだ。Kodakのフィルムの場合、日本コダックが輸入する品物であれば、量も多いし素性が明らかなので、むちゃくちゃなX線照射などはしないだろう。しかし弱小ショップが発送し受取人が個人であるような小口の荷物は通関で何やられるかわかったもんじゃない。外装の段ボールは開封されているしボコボコになっていることが多い。だから、安心できる感材が使いたかったら、正規に輸入されたものを街中で買うのがいちばんだと思う。個人輸入はどうしてもバクチの要素がある。
それに、印画紙はともかくフィルムはあんまり安くない。今は円高だから安くなるが、円安に振れると、Kodakのフィルムに関しては国内で買うのと変わらなくなる。Fujiはかつてダンピング訴訟食らっただけあって、アメリカ生産になった今でもまあ安い。
以下、今日時点での4x5カラーネガの売価一覧。

  • Adorama
Fujifilm
Fujicolor Pro 160S 4x5" 10 sheets $16.95
Fujicolor Pro 160C 4x5" 20 sheets Quickload $59.95
Fujicolor Pro 160S 4x5" 20 sheets Quickload $64.95
Kodak
Portra 160VC 4x5" 10 sheets $22.95
Portra 160NC 4x5" 10 sheets $23.95
Portra 160NC 4x5" 50 sheets $89.95
Portra 400NC 4x5" 10 sheets $24.95
  • B&H
Fujifilm
Fujicolor Pro 160S 4x5" 10 sheets $16.95
Fujicolor Pro 160C 4x5" 20 sheets Quickload $59.95
Fujicolor Pro 160S 4x5" 20 sheets Quickload $64.95
Kodak
Portra 160VC 4x5" 10 sheets $22.95
Portra 160NC 4x5" 10 sheets $23.95
Portra 160NC 4x5" 50 sheets $89.95
Portra 400NC 4x5" 10 sheets $24.95
  • Calumet
Fujifilm
Fujicolor Pro 160S 4x5" 10 Sheets $18.99
Fujicolor Pro 160S 4x5" 20 sheets Quickload $77.99
Kodak
Portra 160VC 4x5" 10 sheets $23.99
Portra 160NC 4x5" 10 sheets $23.99
Portra 160NC 4x5" 50 sheets $112.99
Portra 400NC 4x5" 10 sheets $27.99
  • Freestyle
Fujifilm
Fujicolor Pro 160S 4x5" 10 sheets $18.99
Fujicolor Pro 160C 4x5" 20 sheets Quickload $49.99
Fujicolor Pro 160S 4x5" 20 sheets Quickload $74.99
Kodak
Portra 160VC 4x5" 10 sheets $23.59
Portra 160NC 4x5" 10 sheets $22.99
Portra 160NC 4x5" 50 sheets $102.99
Portra 400NC 4x5" 10 sheets $25.49

誤算だったのは、Pro 160CがQuickloadだけであること。KodakのReadyloadが生産終了になったので、アメリカでは一般のカットフィルムのほうが売れているのかと思っていたのだが、Quickloadは売れているのだろうか。ReadyloadがFujiに食われたのか。よくわからない。とにかくPro 160Cのカットフィルムは製造されていない。これを買うつもりだったのだが。FujiUSA製のPro 160Cは富士フイルムのPro 160NCとほぼ同等らしい。データシートで特性曲線・分光感度曲線・MTF曲線・色素の分光感度曲線を見くらべる限りではほとんど違いがわからない。FujiUSA製のカラーネガは国産と階調が違うということでわざわざヨドバシあたりで輸入販売していたと思うのだが、あれはPro 160HだけでPro 160Sとかは関係なかったのだろうか。Pro 160Sは安い。これは輸入する意味のある安さ。しかしカラーバランス補正なしで使えるのは2sまで。国産160NSは4sまでとなっていてここはやや違う。露光量補正はどちらも4sで+1/3。いずれにせよ長時間露光適性は低い。Pro 160Cは2sまで、Pro 160Cは4sまでカラーバランス補正不要。4sでの露光量補正はPro 160Cが+1/3、Pro 160NCが補正不要、32sではいずれも+1。長時間露光にはこちらのほうが向いている。カットフィルムでこれを使うなら国産しかない。気になるのはFreestyleのPro 160CのQuickloadだけがなぜか$49.99と他にくらべて$10も安いことで、これを含めて買うならFreestyleが有利。まだ旧型器やるだろうか。やるだろう。
ではPortraはどうか。データシートによるとPortra 160VC、Portra 160NC、Portra 400NCのいずれも10sまでカラーバランスも露光量も補正不要という。これだけ見ると、Portraのほうが長時間露光適性はPro 160NCより高いように思えてくる。400クラスだけでなく160クラスも切りかえるか。でも日本で買うのとあんまり値段が変わらないんだよな。ただ400NCだけは国内で買うよりずいぶん安くて、これはもともと正規輸入されてないのをヨドバシが独自に仕入れているからで、日本での価格が高いのはやむを得ない。ヨドバシでも今のところ新宿西口フィルム館でしか確認していない。400NCは増感現像してプリントしてみてからでないと大量購入はできない。ISO160クラスについては国内でPro 160NCを買うか、あんまり安くない海外ネットショップのPortra 160VCを取り寄せるかのいずれか。Portra 160NCの50枚入りは安いのだが、これは低彩度で向かない。
一般的な話に戻ると、買うならまとめて買ったほうがいい。送料が安くなる。必要なものはなんでも詰め込む。ただ大全紙くらいの大きなものだと別便になったりでまとめてもあまり変わらなかったりする。それはショップにもよるだろう。注意点としては、税関で課税される。10万程度買って6,000円くらい。運送会社がUPSの場合、これを現金で用意しておかないと荷物を受けとれない。あと出発点として、クレジットカードがないと売ってもらえない。薬品は外国からは買えないらしいが、買えたにしてもリキッドタイプは重くて航空便では送料がかかりすぎるので、安い船便で運んできた正規輸入品をヨドバシで買ったほうがいい。カメラバッグのようなかさばるものも送料が高い。Schneiderあたりのドイツ製品は日本で買うのと大差ない。
ただ、商品になんらかの欠陥があった場合、交換とか返金してもらうのは日本の小売店よりかなり難しいと思う。利用するのであれば、そういったリスクは覚悟しておく必要があろう。それに円建ての領収証は出ない。しょうがないので、カード会社からその月の利用額全体の領収証を発行してもらっている。注意点はこんなところか。国内で買うとちょっと高いこともあるけど、手間はかからないし安心料と思えばさして高くない、という結論に達するひとも多いと思う。