先週お越しいただいたあるかたに写真器を見せてひとしきり説明したところ、理解いただけて評価もしてくださったのだが、自分は説明を受けられたからいいが、制作者がいないときに見たひとはどうなのか、と問われ、虚を突かれた。
当初展示空間の中央か角あたりに、三脚に据えた写真器を置くことも考えたのだが、引きがとれなくなる、見る邪魔だ、と他の参加者から不興を買う予感もあった。最初は好反応だったが、結局企画者に却下されかなわなかった。
撮影機材を会場に設置したほうがよかったのかどうかわからない。出したとしても、説明なしに写真器を見ただけで仕組がわかるひとがどれだけいるのか、見ただけでわかるひとならもともと察しがついているのではないか、そもそも懇切丁寧な説明がはたしていいことなのか、との疑念もある。それでも、やっていたらどうなったろうか、との思いは残る。
 
写真を見るひとと絵画を見るひとがすみわけている。写真を見てくださるかたはしばしば絵画の前を素通り。そして絵画に通じているとおぼしきお客さまは逆。当初の展示案からずれて、絵画ではない唯一の出展者である自分の展示は端の一角に固まることになったのだが、間に壁ができてしまったろうか。毎日のように展示を見ていて、お三方の絵画を自分なりに理解しようと努めたつもりなのだけれど、ああした絵画を見るひとびとに訴えきれなかったことは認めねばなるまい。
あと2日。