昨日仕上げた書類をFAXしようとしていたら、特許庁からFAXが来た。肩に「機密性」とあるが事前に電話で注意があるでもなく、受ける側の環境によっては秘密だだ漏れだろう。
説明に日本の登録には含まれていない内容があるので削除しろと。なるほど。
この部署は、国際出願の内容が国内登録の範囲内に収まっているか、国内登録との齟齬はないかを調べるだけで、英語のチェックまではしてくれないらしい。適当英語はそのままだが、特許庁審査員も英語ネイティヴではなかろうし、英語の言い回しの手直しは職分を超えるということだろう。
昨日つくった追加分に審査官の指示を反映させたものと、こちらの意見を述べた書面を2枚FAX。あちらもこちらもパソコンで書類作成してプリントアウトしてFAXしてるわけだが、これをEメールにするところまでは、現時点ではさばけてないらしい。
イタリア議会選挙の結果を受けて円が急騰。スイスフランも円同様に安全通貨で資金の逃避先とされているはずなんだが、CHF/JPYは98円台まで下がる。しまった待てばよかった。もう払っちゃったんだから見なきゃいいのに、つい気になって為替相場を巡回してしまう。
 
先日特許庁職員から教えられたのだが、米国USPTOには、どの国からでも、webを使って自分で出願できる。しまったこんなことができるんならわざわざ国内登録してから国際出願経由で米国に出願しなくても、直接出願すればよかったかも。なんといっても今回の主要目的は米国への出願である。米国直接出願ならさらに20万くらい節約できたかもしれない。
その場合米国以外の国は別途直接出願する必要がある。ただ、国際出願制度では勘所の国・地域が現状出願できないのだ。カナダだけでなく、インド・ブラジル・タイ・インドネシアなどの新興市場の多くは未加盟だし、アラブ圏も少ない。台湾や香港が地域としての加盟を認められるかは難しそうだ。EUに出せるのはメリットとしても、この制度、アジア側の観点からすると結構ヌケがあるのだ。他の国際機関と同様、これも欧米中心に制度構築されていると感じる部分がある。
中国は代理人を介してだが直接中国当局に出願しているし、米国へも直接出願という道があったか。もう出しちゃったけど。
この件については何回も検索したが、米国に直接出願できるなんて情報は得られなかった。せいぜい、米国弁理士資格を持つ日本の特許事務所に出願代行を依頼すれば、米国弁理士資格のない一般の国内の弁理士から米国の弁理士に依頼するよりも費用を抑えられる、という程度の情報だった。まあ、こんなこと弁理士くらいしか知らないし、弁理士が自分の仕事を減らすような情報を拡散させるわけがない。USPTOへの直接出願は出願人本人しかできない。米国以外の代理人は出願できないから、たとえば企業の知財担当部署にそんなことされたら弁理士は商売あがったりである。もっと調べておけば。
ただ、特許庁経由での国際出願には強いメリットがある。それは、特許庁がサポートしてくれるということだ。USPTOにwebで直接出願するというのはさすがにハードルが高すぎる。単なる語学力の問題ではない。日本語で書かれている特許庁の出願案内でさえ、ただ読んだだけでは理解しづらく、各方面に電話したり出向いて聞いたりしてようやく理解できるありさまである。公開されていないような微妙なさじ加減とか案配といった文化に関わるような部分への理解は、たとえ語学ができたとしても日本在住者には難しいところだろう。UPSTOにも、手続きには高度な法律の知識が要求されるので、専門家の助言を仰ぐことを検討すべきと書かれている。米国在住者にだってそう簡単ではないはずだ。今回、国内出願でもかなり調べあげていろいろ難儀したが、それと同程度には、米国在住の弁理士ではない者がUSPTOに出願した場合にも苦労することだろう。
というわけで、日本の特許庁が情報提供と事務手続き、いわばお膳立てをやってくれて、国際事務局がさらにチェックしてくれる国際出願制度は、それらを介することでハードルがあがる部分があることを加味しても、やはり利用価値が高いと思われる。
でも、米国に出願する次の機会がもしあったら、今回を足がかりにして、USPTOへの直接出願に挑むかもしれない。国際出願でも最終的には各国知財管理当局とのやりとりになるので、そこである程度までは把握できるだろうからである。