見解を特許庁へFAX。昼頃に送るとだいたい当日中に返事が来る。国内出願も担当者との直接のやりとりだとかなり迅速だが、それは質問程度の話であって、公式の回答ではもっとかかる。
その返事。完敗。口調は柔らかだがこちらの主張は認められられようがない。そもそもまちがっていた。これを受け入れるしかない。
類似群コードの理解が不充分だった。類似群を満たしていないと認められないとは。国際出願でそんな問題が出来するとはつゆ知らず、適当にそれらしい商品群で出願していた自分に落ち度があるんだが、のちのちの帰趨がそこで決まるとは誰も教えてくれなかった。
基礎出願に商品を追加することはできないので、この範囲内で出願するしかない。認められないといわれたら、従うしかない。
1つでも類似群コードが入っていればそれで類似と認められると思っていた、というより類似群コードということを理解していなかった。完全にこちらの落ち度である。引き下がるしかない。
国際出願をべたぼめしてきたのに結局役人仕事じゃないか、とも思ったが、考えてみれば、類似群コードを満たすかどうかというきわめて明瞭かつ客観的な判断基準であって、審査官によって判断がわかれるような曖昧さはない。この審査官は職務を忠実に果たしているだけだ。特許庁がここで甘くしてくれればWIPOにそのまま受理されて誰にも迷惑がかからないのだが、妙な例外ができてしまい、あとから問題になるかもしれない。対応の一貫性という点でも、また国際的なとりきめを遵守するという意味でも、ここで甘くするわけにはいかないのだろう。
しまった。2つのジャンルで認められない。いや、もっと重大かもしれない。この不認可が波及する範囲をまだはかりきれない。
とはいえ、この問題は商品の方で、肝心要の役務には及ばない。商品の方も、具体的な商品は適用外となったが、基本的な部分は押さえてあるので、最低限のところでは保護されるのではないか。
 
マドプロ経由で国際出願を行うなら、国内出願の時点で、ニース条約準拠の「商品・サービス国際分類表」によく目を通して、入れておきたい商品・役務については、該当する日本語をそのまま指定商品・役務に入れておいた方がいい。そうすれば類似群コードが与えられて、国際出願でもその英語の商品・役務を含めることができる。分類基準に含まれていない商品・役務には類似群コードが割り振られるとは限らず、与えられた類似群コートの範囲内でしか国際出願の商品・役務を認められないので、前もってそこに用意しておかないと、国際出願で望む範囲を指定できないことになってしまう。
日本国内の類似商品・役務審査基準は、登録されている商品・役務が少なく、へんてこな商品名に類似群コードが割り振られているので、これに縛られないほうがいい。用途に即した商品か、「商品・サービス国際分類表」に登録されている商品・役務名で出願すべきである。
 
マドリッドプロトコル経由での国際出願は、外国への出願を現地代理人を仲介せずに行える点でメリットがあるが、国内出願の縛りが足かせになる局面がありうる。日本ではすでに登録されている商標にはばまれて使用できない商品の範囲がある場合、国際商標でもそれが引き継がれるが、外国への直接出願の場合は、その国で登録されていなければ使える可能性があるので、直接出願の方が有利なこともあろう。国際出願は近年できた制度だが、新しいことで使い勝手がよくなっているかというと必ずしもそうとはいえない。
特に米国の場合は現地代理人なしで直接出願が可能なので、米国だけであればそのほうが国際出願より費用も抑えられるかもしれない。順調に進めば、だが。