今年も確定申告の時期がやってきた。
春といえば春一番でも桜でもなく、確定申告である。
在社中から社外の収入があったので確定申告していて、もう18回目くらいにはなるだろうか。
e-taxに必要な電子証明書ICカードリーダライタを、特許庁への電子出願のために用意済なので、今回はe-taxでやってみる予定。税務署の事務手続き軽減のために、慣れた手続きを捨てて、ユーザーアンフレンドリーな国税庁webととっくみあってまで協力してやるのはシャクではある。でも、申告書面づくりもこれだけやっていると飽きてくるし、e-taxやってみたいとも思うので、まあよかろう。
何しろ字を書くのは苦手。字が下手だし面倒。だから親からの手紙にもほとんど返事を書かなかったが、Eメールのやりとりになってから、親には頻繁に連絡を送るようになった。
4枚綴りの申告書類の一番下まで感圧されるよう筆圧をかけてボールペンで書いていくのは面倒な作業なので、それから解放されるだけでe-tax化の労力には見合う。でも、こうやって肉筆の文字を書く機会を減らしていくのは、はたしていいことなのだろうか。と考えて、自分が苦手なのは手書きで字を書くことなのではなく、まちがえて書き直すことだったのだ、と気づく。今なら消せるボールペンもあるし、手書きとよりを戻せるのではないか。でも、気づいた頃には、もう戻れないほどに手書きとは縁遠くなっている。日頃文字を書くのは、荷物などの宛名書きと、銀行などでの書類提出時だけ。もうずいぶん前からペンだこも消えて、今やあとかたもない。
ところが、去年まではやっていなかった申告方式に変更しようとしたところ、ちょっと特殊でe-taxでは対応できないと発覚。手書きにするため税務署から書類をもらってきたのが提出期限日であるこの日の夕刻。夜まで作業して不明の点を関係先に確認しようとしたがとっくに終業。まにあわず。
以前にも書いた気がするが、毎年、前年の経費を集計していると、あのころこんなものを買ったのか、去年はこんなことをしてたっけ、と振り返ることとなる。開業当初は、いずれはこの出費も回収できると、投資の見返りを先送りできたけれど、やがて稼業がいきづまり、鑑賞対象としての写真に軸足を移していくにつれ、収支が帳尻あわないのを突きつけられるばかりの作業と化し、こんなことに無駄金使ったのか、あれも報われなかった、と切ない思いを味わう恒例行事とあいなった。
だが、今年はちがう。届く先がある、と思えるからだ。たとえ個別の届け先が現状では未定でも、それを探すための確たる手段とたどりつく見通しさえあるなら、漠然とした成功や報酬をあてにしながらも内心ではあらかじめ損失計上しているのとはちがって、遠からず実るとの手応えはある。
30の開業時とはまったくちがう。あのころは、先人がさんざんたどってきたルートを自分も後追いできると思いこんでいるだけだった。昇り調子の業界ならともかく、とうにピークを過ぎたと行政に認められている特定不況業種で、しかもこの低成長経済下をそんな了見でしのげるわけがない。今回は未踏の曠野を切り開いていくのだ。開拓可能なのかどうかすら未知だが、覚悟と用意はある。