快晴。午後からやや雲が出てきて日没時には半分雲。
検見川浜に行くつもりが、京葉線にはずいぶん乗っているのに新浦安や舞浜で降りていないのに気づき新浦安へ。まずは北から。ホテルがなぜ団地集積地にあるのかわからない。隣駅からあぶれた客を呼び込むにしても年に2日だけだろう。大人口から婚礼関連の宿泊をあてこむのだろうか。でもここに入居するのはすでにそのへんの儀式はすませた世帯のような気もするが。ともあれオリエンタルホテルを抜け、美浜西エステート全滅、エルシティ12階、ここで18枚程度、f13+1、1/250、2m以上。午前中のほうが光線条件はいいが再撮するまでもない。美浜東エステート12階?で4枚ほど。非常口がじゃま。南東の棟は見そびれたがもうよかろう。市川に渡りur?都市公団?のハイタウン塩浜。北の棟11階?で4枚。巨大な14階建は駄目。塩浜市営住宅は古い。でも6階程度ならそんなにびくつかない。落下すれば助からないのは14階と同じなんだが。屋上の手前まで上がれる。ひとしきり見て南側に出る頃には15時半。入船東エステート最北棟は鉄骨四角だったか。あとは登らず外から見ただけ。先には長谷工が建設中の高層マンションやら密集している。海岸まで出て埋立地の先を一周し日没後入船中央エステート。望海の街、だそうだ。中層棟はほぼ公団共通の設計。昨日の武蔵野緑町もおおむね同じだが天井に蛍光灯がなく手すりもなく、結果としていい選択だった。手すりはあったほうがいいのかもしれないが。しかし蛍光灯がなく手すりがあった物件がどれかはもはや思い出しようがない。右足に軽いマメ。
別々の階層に応じたさまざまなランクの集合住宅が集積する地帯。所得水準や資産内容や就業形態や交通手段や家族構成や年齢条件や生活様式や将来設計、つまりは「階級」次第で住むべき場所が決定される。いまや年齢も家族構成も階級の構成要素である。しばらく前までは余命が資産として算定され若年層ほど上位階級に位置づけられていたが、近ごろは将来不安と負担の少ない高年齢層のほうが消費意欲もあり階級が高いと見なされるようだ。この社会が描く標準形態に沿う世帯のみが適切な階級として入居を許される。公社物件より長谷工のエルシティが上、海側の新築マンションはさらに上なのだろう。生活水準が同等であることが保証された集団どうしなのであるから、階級の条件を満たす人物には暮らしやすいのかもしれない。しかし帰属意識が持てない人物だと逃げ場がないだろう。かつて新興住宅地と呼ばれたらしいこういった団地の集積地の例に漏れず、ここも商店街がなく飲食店にも遊興施設にも乏しい。
こういう場所としての閉塞感が、新しい物件の嘘くささと古い物件の陰鬱さ、いつ咎められるかわからない不安、日に当たらないこと、等々とあいまって、踏査中の高揚感をそぐのだろう。もう充分じゃないかという気がする。ではその先は……わからない。
透視図法の拡張を現実の空間に投げ返す、このシリーズの趣旨をよそゆきの、そしてまたちょっと古ぼけたジャーゴンで述べるならそんな調子だろうが、空間再現の構造が問題になっている限り対象のディテールはどうでもよくなる。写っている内容に訴えることのできる多くの写真と違って、数がこなせず、同じ趣旨で続けるのが難しくなる。