ヤフオクで競り落としたSuper-SymmarXL110mm届く。このシリーズは、大判用レンズとしてはじめて非球面レンズを投入した設計ということなのだが、おそらく最後に開発された大判用レンズということにもなるであろう製品。アオリ撮影の用途は、建築撮影ではいずれなくなるかもしれない。おとといも会場撮影中に水準器とにらめっこしつつ三脚のパーン棒をこつこつたたいて水平出しをしながら、こんなこともデジタル化が進めば誰もやらなくなるだろうと考えていた。現場では最低限のライティングをしてモニタリングしながら適当に撮影し、微調整は後工程でいかようにでも、という流れになるだろう。それでも、商品撮影でのアオリ撮影は、商品撮影というジャンル、サブジャンル、が存続する限りはなくならない。ピンホールによるパンフォーカス結像現象を用いた結像方式の革命的なブレイクスルーでも起こらない限り、ピント面のコントロールは近接撮影において必須の技術でありつづける。結像系全体を微細化して被写界深度を稼ぎ、被写界深度を浅くしたい場合にはソフト上で、という流れも考えられるが現実味は乏しい。ジナーp3のようなデジタルバック前提のビューカメラはなくならず、それに対応したビューカメラ用レンズは供給され続ける。しかしそこで用いられる6x6判程度のサイズのCCDに対しては、もはや「ラージフォーマット」なる呼称が似つかわしいとは言いがたい。写真技術の黎明期以降、「大判」の内実がどんどん小型化していった経緯は確かにある。ブレット・ウェストンは初期には4X5を「ミニカム」と呼んでいた。しかしながら、6x6判4000万画素のCCDもカメラ付き携帯端末に内蔵されている米粒のようなC-MOSと並べれば相対的には大型であるにしても、大判とは呼んでほしくない。大判を名乗るからには、やはり大判焼き程度の実質的サイズがないと、看板に偽りありというものだろう。小判(こばん)より小さいものに大判なる称号はふさわしくない。とはいいながら、フィルムという実体がなくなってしまえば、もはやそんなリアルサイズの比較は無意味になってしまうのだろうか。
そんなことはどうでもいいのだが、直径288mmという世の中での今後の需要はほとんど見こめない結像範囲をもつこのレンズ。14万弱で落札したレンズ。届いてみたらキズがある。拭きキズが目一杯ある。拭けば落ちる拭きムラと思われる部分もあるが、ガラスにキズが行っているとおぼしき部分もある。売り文句は「キズなし」だったのだが。どうするか。
ともかく、さっそくテスト撮影。6x6でRDPIII。都庁を西側から、1sから1/125までだいたい全速、f5.6近くからf45まで。露出計の出た目通り。最後2コマで植え込み、1.5:1程度、+2.5段。物理的包括角度はかなり広い。と思うのだが、よくわからない。NikonSW150mmよりも広い。たぶん。近接してもピントの山は掴める。それ以上は謎。とにかくEBONYでは扱いきれない。