このかんえらい目にあった。FlexTightはきわめてシャープで階調域もゆったりひろびろ。PowerLookIIIではGBチャンネルに大きなへこみカーブをかけてやる必要があったが、これは高濃度域でのCCDの受光性能に余裕がないために最高濃度部にかけてリニアリティがなく、いわばてっぺんがどんづまりになっていたためであったと判明。FlexTightではそんなこともなく、各チャンネルでの天地を決めれば、リニアのままでもほぼ自然な色調になる。これがほんとだったのだ。今まで莫大な時間をつぎこんで何をやっていたのだろうとの思いがよぎる。あの時間を撮影とかもっと有効な営為にあてていれば、と。ただ99年のカーブが一回で決める特殊なものだったので、再現に難儀する。チャンネルごとにS字だったり逆S字だったり、今考えるとずいぶん妙なことをやっていた。それを今のニュートラル基本のトーンの考え方からは変に映るが、出たものを見ると決して悪くない。むしろ今回のテストの色が気に食わず、それに近づけられずに焦る。いやいやどうして、あの当時もなかなかよくやっていたものだ。結局カーブを思いきって動かし、どうにかなったのもあるが、2_16などは結局元のトーンがどうしても出せなかった。たぶん不満が残ると思う。全体に彩度高めにする。
粒状もはっきり出ているし、ものによるが99年当時より格段にシャープ。しかし、シャープすぎるのだ。シャープネスの設定ははずしたにもかかわらず、だ。大日本スクリーンG797だったか、97年頃には最高のドラム機の結果はこんなにシャープではなかった。むしろエッジがゆったりにじんでいた。最高レヴェルでもこんなもんかと思ったものだ。光電管タイプの機種は今もそうは変わらないはず。FlexTightは補間時にシャープネスが組みこまれているように思える。むろん基本性能の高さあってこそ拾えるディテールはあるのだが、エッジが不自然に立ちすぎているし、もっと問題なのは、シャープネス付与でアラが出ることだ。軽くかけただけでもアンシャープマスクフィルタを二度かけたときに特有のシマが現れる。みんな見せかけのシャープさでだまされているんじゃないか。PowerLookIIIはシャープネスをはずすと甘いけれど、素性はいい。当時のこのクラスの製品にしてはよくやっている。それでもギチギチにかけると破綻しはじめるのだが。
それに、FlexTightではせっかくホルダ上で細心の注意を払って位置決めしても、ローディング時に傾いてしまう。押さえが片方だけ浮いているので嫌な予感はしたのだった。ほぼみんな傾いている。しかしそうでもないものもあるので、一律に補正して置けばいいというものでもない。PowerLookIIIならシートで固めれば動かないのだが。肝心のもので帯状に重なって反復されている領域があったり。値段ほどの信頼性はない。FlexTight、そんなにありがたがるほどの機種でもない。ホコリがほとんど乗らないし、楽にセッティングできてどんどん進められるので、こんな楽でいいものなのかとは思ったが、それが一番の長所。
そうこうしつつ30日。夜タンカレを飲んでいたら、コップを倒して脇にあったPBG4にもろぶっかける。ほどなくして液晶が消え、本体のキーボードも動かなくなる。あわてて電源プラグをひっこぬくが、なぜかスリープランプが点灯したまま。バッテリーはもともと入れてないので電源は供給されていないのに。ひっくり返し、裏のパネルを開けてタンカレをふきとるが、すでにキーボードの裏にまわりこみ、コンボドライブにまで達している。星形ドライバがないのでマザーボードははずせず。茫然。しばらく待って電源プラグをつけ、起動してみる。起動音がなり、HDも回り出すが液晶はつかない。光を当てると液晶は動作しているのだが、バックライトがいかれている。キーボードも死んでいる。でもとにかくマザーは生きていて、マウスは使えるのでL997に主画面を移し、しばらく操作していたらなにやらジジジと音がする。電源プラグを抜くと消える。怖くなって終了。
OS9起動可能な最終期の製品の中古は法外に高いし、QXP3.3Jが賃労働の中心である間はこれで乗り切ろうと思っていたのに。まさかこんなことになろうとは。内蔵のJISキーボードが特にQXPでは使いづらいので、拡張JISキーボードを買ってきてつなごうと考えていた矢先だった。後悔先に立たず。悄然。
しょうがなく台湾製G3機にFWHDをもっていき作業。HDが速いので昔にくらべればだいぶよくなっている。それでも600MBになると重い。
純水でマザーを清浄するなどあれこれ思案しながら、とにかく内蔵HDのデータだけでも救出しておこうと思い立ち、バッテリーに残量があったので、ACにはつながずバッテリーだけをいれ、先ほどえいやっと起動してみたら盛大に起動音。液晶バックライトは駄目だが、キーボードも復活。コピーを終えてOSXで再起動したらバッテリーの残量が尽きたので、思いきってACにつなぐ。使える。液晶が駄目なだけ。L997はなるべく節約して使おうと思っていたのだが、トリニトロン機の経験からモニタをけちけち使ってもあんまり意味がないと思うようにもなったし、目の健康と利便性を考えたらむしろ積極的にこっちで作業するべき。キーボードとモニタが離れるので姿勢もよくなる。ツインモニタができないのは痛いが、ツインモニタも視線の移動量が大きくなるので必ずしも便利とはいいきれない部分がある。まあ、バックライトは接触不良だろうから洗えば復活しそうだが、現状どうにか使えているのに水洗浄なんてバクチは打てない。ひとまずほっとする。
そんなこんなでボロボロになりながら格闘していた。恵比寿での作業中、部屋の冷房が効きすぎで震えていたのだが、これがまずかったのか、睡眠不足もあってか、タンカレの翌日に二日酔いと妙なだるさで起きあがれなくなる。夏風邪。どうにか作業して見本3回。高田馬場へ日に二回通う日々。お疲れさまでした。