カラーネガ水没

昨日の雷雨で、開け放っていた窓から雨が吹き込み、机の上にあったFAX電話機が息絶えており、広げてあったネガ数枚が水浸しになった。茫然。風でネガが飛ばされるのが気にかかっていたのだが、ついそのまま出かけてしまった。なんてこった。今年の4x5が5枚、6x12の船橋3セット目と桜木町すべて、柏2シート分。柏はネガを折ったりしていて、使えるネガがなくなってしまった。再水洗してもらえば救済できるかもしれない。写真弘社と堀内は再水洗してくれるらしい。乾燥すると乾燥ムラがでるので、乾かないよう水につけておく。しかし悄然。
しかも数年前にもまったく同じ理由でFAX電話を一台潰していて、どうして繰り返すかと自己嫌悪ループに陥りかかるが、ナナオのディスプレイやパソコンがどうやら無事らしいので軽くすんでよかったと前向きに考えることにし、ナナオはやや濡れているので大事をとって一晩乾かし、サブのマシンとCRTからヤフオクでFAX電話機の出品を探す。感熱紙タイプの最近の製品で子機つきは6,000円台。もうSANYOしかB4の感熱紙タイプを作ってないらしい。まだときどき賃労働でFAXを使う機会があり、B4は必須。普通紙の家庭用はたいていA4どまり。B4だとかなり値が張る。しかも普通紙タイプはインクリボンであれレーザであれだいたいは一回メモリに画像データをバッファしてプリントするのだが、家庭用はメモリが今時信じられないほど貧弱なため枚数が多いと途中で通信エラーを起こしてくれる。精細モードで黒みが多い原稿だと1、2枚でメモリがあふれて止まってしまう。仕事用としてはまったく使いものにならない。もともと業務用ではないからそんな要求は酷かもしれないが、感熱紙タイプであれば信号を受けたそばから即印字してくれるのでバッファメモリいらず、家庭機でも大量受信に充分耐える。しかしFAXの能書きをたれているどころではなく、意気阻喪のあまり寝てしまう。そして今日、開腹して立てかけておいたFAX電話の内側の水は乾燥しており、内部の基盤まわりも乾いただろうから駄目もとでに通電してみたら、液晶、ランプとも点灯し、問題なく動作する。生きているではないか。FAX機能も使えるようだ。ありがたい。昨日液晶表示がいかれ点灯も応答もしなかったのは落雷のためか一時的ショックだったかもしれない。SANYOの電話はかつてNT*TにOEMしてたとかで殿様商売くさくて使いづらい、前の製品のほうが操作系が筋が通っていて子機もすぐ反応するしずっとよかった、などと悪態ついていたのだが、でかした、よくぞ生き返ったとにかわに株が上がる。内部で腐食が進行していずれ突然昇天するかもしれないし、だいじに使うこととしよう。
問題はネガ。もう一晩水につけておいて月曜にどこかのラボに持っていくか、仕上げ剤とシートフィルム用のクリップを買ってきて自家処理するか。以前コニカのフィルムにフィルムクリーナと間違って水を少量かけてしまったとき、同時まだ存在した昭和天然色でカラーネガ用の仕上げ材のボトルを見せてもらったような記憶がある。専用の薬品があるということだ。あれは見ただけで結局買わなかったのか。見あたらない。CNK処理の末尾なのでC-41とは違うのかもしれないが。ラボで処理してもらえば、カラー色素の保存効果を高めるような薬品で処理してもらえるような気もする。自家処理ではドライウェルどまり。水切り効果しかない。そもそもカラーに使っていいのかもよくわからない。ドライウェルにはモノクロ用とは表示されていないので使えないことはないのだろうが。ただ、C-41では最後の薬品はドライウェル相当との情報もあるので、これは定かでない。また、イオン交換膜フィルターを通した比較的純度の高い水での処理も期待できる。それに水、乾燥ともほこりが少ない環境が見込まれる。処理の品質を考える限りは、餅は餅屋ということだ。一方、自家処理すれば本日中に乾燥できる。ネガの漬けっぱなしはよくないに決まっている。それに濡れた状態で傷がつかないように持っていくのも厄介だし、ラボの受付から現場までの間にどんな運ばれかたをするかわからないし、すぐに水洗してもらえるとも限らない。また、画面にかかる場所にクリップ跡をつけてほしくないのだが、それも自分でやったほうが確実。ネガに対するダメージを考えると自前でさっさとやったほうがよい。
写真に関してあらゆる工程で言えるのは、自分でやればたとえ失敗してもあきらめがつくということ。自分でやったほうが失敗のリスクは増大するかもしれない。しかしモノクロネガ現像などは自家処理のほうがよほどていねいに作業できるし、納得のいく工程で処理できる。たまにしかやらないので腕の衰えはあるしときどきポカもやらかすが、外注したところで自分より習熟度の高いラボマンに任せられるとも限らない。だいたいカラーネガだからといって再水洗くらい自分でできなくてどうする。そうこう考えて自家処理とする。夕方晴れてきたので歩いて新宿へ。外はいいなあ。あたりまえだが広い。ヨドバシにはシート用のベビークリップがなく、ビックで購入。ヨドバシしっかりしてくれ。ポイントぬき実質1980円。こんなのヤフオクで400円も出せば落札できそうだがそうもいっていられない。暗室をはじめた14年くらい前に買ったドライウェルがまだ残っていて、もうずっとAgガードで仕上げていたので使っていなかったのだった。そうそう変質するものでもなさそうだが、216円をけちってしくじるのも情けないし、ついでなので購入。外注してもたぷんそう変わらない金額でやってもらえそうな気もするが、クリップは4x5モノクロフィルムの現像で使えるし、これでいいのだ。と思うことにする。
ひょっとして何か撮れるかも、と思ってポケットにつっこんで出たものの取り出しもしなかったコンパクトデジタルカメラ西友で買った瓶ビールやら保冷用の氷と一緒につっこんでいて、ふと浸水していないかと不安に。水は怖い。ウェットプロセスの感材はむしろ水との親和性を持っている。電子機器のほうが水気に弱いのである。通電中に水が入りこんだら一発だ。
うだうだやってて、深夜になりやっととりかかる。ブローニーはフィルムクリップで留めるとして、4x5はフジでノッチ近辺に小穴が開いているので、これで吊すことにし、クリーニングでついてきた安全ピンを伸ばして洗濯ばさみにはさんでフックとする。ものを捨てないでとっておくと何かしら使い途があるもの。いざというとき出てくるかどうかはなた別の話だが。準備を整えいざネガを引き上げると、ネガを入れてあった水が薄く褐色に変色しているではないか。オレンジマスクの色素が溶出したらしい。それだけならまだしも、画像色素も溶けているかもしれず、色素が出るならゼラチンも無事ではなかろう。そうか、銀画像にくらべて染料は弱いということか。などと納得している場合ではない。4x5はネガ袋から出していたのでまだ救われているが、濡れたままラボに持っていくことも考えてPrintFileの袋に入れたままだった6x12はごわごわになっている。水に浸っているところは伸びてしまい、空気が入って濡れていなかったところとの差ができたのだろう。当然、濡れていたところとそうでないところでは色素の溶出にも差ができていると思われるので、画像にムラができている可能性がある。袋から出して水に入れておけば、そしてネットで情報収集なんぞしてる間にさっさと電車で買いに行ってすぐに処理していれば。4x5はビッグ*サイトが一番いいネガだったほかは初期のどうでもいいネガだったので、むしろ6x12のほうを救いたかったのだが……。2年前の日々が無駄な骨折りだったような感傷にとらわれかけるが、ま、こんなこともあるさ。エボニー4x5の一連のと違って、対象は行けばあるはずのもの。レンズ買ってまた撮影すればいいじゃないか。ホコリの混入を抑えるため浴室に吊し密閉してあとは放置。しばらく風呂には入れそうにない。