朝は一面雲。昼過ぎ晴れ間がさしてくるも依然雲多く、様子見てたら15時頃から雲が減ってきたので急遽ビッグ*サイトへ出動。のはずが時計と帽子を忘れて戻って財布を忘れてまた戻って乗り換えで失敗したりしてのろのろしてたら、一番いいコンディションに間にあわねーよ! りんかい線東京湾に入ると潜ってしまい天候が見えないので着いてから降りるかどうか判断するというのができない。どうする。しかしここで行かなければ必ず後悔するに決まっているのでとにかく行くだけ行ってみることにする。
国際*展示*場駅着が16時半過ぎ。下車してみたらまだ雲が残っている。手前の斜面に光があたるためには極力北に近い方角からの日没直前の時間帯が最良の条件なのだが、もう秋分を過ぎていて、前に撮影した4月より冬至に近いので今回のほうが条件は悪い。ビッグ*サイトに着いて日没前のいい光線状態だと思っていたら、あろうことか日が沈むにつれ建設中の高層住宅の影になっているではないか。まさかそんな。こないだ日没に立ちあった時点ではそんなことはなかったのだが。まったく読み切れなかった。なんたる不覚。下向きに傾いている斜面に光があたるには日没寸前が最良の条件で、その時に斜面の凹凸が鮮明になるのだが、そこで遮られるとなるとそれ以前のより高角度からの照射となり、斜面部分の陰翳描写が弱まる。今日はどのみち無理だが、明日行っても最高の状態ではない。それでいいのか。ビッグ*サイトは今回の趣旨における目玉物件。また次の展示の機会が見込めるというのであれば、今回はやむなく妥協して次回に最善を期すことができるのだけれど、現実にはもう次に社会に向けて提示できる機会はないかもしれない。今回限りかもしれないのだ。そこで納得のいかない状態で出してしまってそれっきり、それでほんとにいいのか。しかしもうDMに入れてしまったし、画廊のウェブサイトにも載ってるしプレス各社にも送ってしまった。まあそれはそれとして諸般の事情で今回は出せないけれど次回に、ということにして、次回納得のいく最高の条件で撮影したのを提示したほうがいいのではないか。でもね、一番テンションが高まってる時が出しどきなんだな。それを逸してしまうと、結局敗戦処理みたいになってしまう。5、6年前の4x5がそんなものだ。興が乗ってるうちにさらしておくべき、というのはさんざん学習してきたはず。考えうる最高の条件ではないにしろ、現在可能な範囲内で何とかしようじゃないか。とにかく明日。
ともあれ、日が沈む時に、眼前の巨大な建造物に投影された、やはり大きな建造物の影を追うというかたちで光の移ろいをしげしげ眺めていると、太陽が移動している、実際には地球が回転しているのだが、そのことを如実に実感できる。刻一刻と光線状態が変化し、色味が変わっていく。もっとも映える条件は束の間でしかない。あたりまえのことなのだが、動かないものですらそうなのだ。しかも好機を逃すと周囲に余計なものがこしらえられたりして二度と同じ条件はめぐってこない。4月のネガはフレーミングも絶妙だった。あれをしっかり保存していれば。悔いはつきない。
横須賀線車内で写真家Y氏が写真家S氏に向けて戯れてしきりに撮影していたら、駅に着いたところで離れて座っていた30代半ばくらいの女性が突然激昂し、乗務員を呼びつけて騒ぎ立てはじめた。あわてて「まったく問題ありません」と擁護したらその女性はわめきちらしながら下車していき事なきをえたが、彼ひとりだったらもっとおおごとになっていたことだろう。難儀な世の中になってきたものだ。