朝から特快晴。しかも透明度が高く日射しが強くて景色のコントラストが高い。こんな完璧な天気はひさびさだ。意気揚々と出発。
日本*武道*館が空手大会とのことで水道橋九段下コース。後楽園のトイレで採水するも、洗面台だと蛇口から底までが短くてタンクの6割くらいしか入らない。動画のなりをしてかき氷みたいな色のヅラをかぶったお子様と、かたや体操音楽集合人々のライヴ目当てらしい「チケット買います」のボードを持った地味な女性、さらには馬券買いに来たとおぼしきおっちゃん連中とが交錯する不思議な時空。体操音楽集合人々もそんなに若くもないし落ち目だと思っていたのだが、チケットがこれほど入手難ならそうでもなかったようだ。しかし彼らビジネスに上納して、駅前で難民のようにチケットをねだっている人たちも、若いうちはいいけどねえ、って他人のことは言えないか。
まずは都立*工芸*高校から。正面はほぼ南南西向きで、交差点斜向かいの角からなのでだいたい西南西からとなる。クロスライトとなる条件は正面に対してのほぼ順光である南中時から正午頃となるのだが、本日の南中時11時28分頃に行ってみると、まあ確かに角のパブリックアートらしき赤い枝状の物体まわりの立体感は出るのだが、角の階段状の壁面の西北西に面した側に光があたらず、合わせ鏡的反射の様相を呈さないのでまったく話にならない。それから延々と待ち、13時前頃からようやく西側にも光があたりだしてくる。交差点を隔ててではやや遠すぎて小さいので交差点の真ん中から撮影したいところだが、どうにもならない現実は受けいれるしかない。先の高層ビルの上に立っている高層クレーンが突き出ていて、紅白なのできわめて邪魔なのだが、これも与えられた条件である。気象は移ろいゆくし視点は移動できるが、対象そのものを改変したり介入することはできない。13時過ぎ、EV15.8、50s。しかしまだまだ。完全逆光に近づいてくると、リフレクションが鮮明になり、もうまったく見違えるようなキレのよさ。そのうち「チケット買います」のひとりがすぐ隣にやってきて作業中にじろじろ見られるし気が散ってしょうがないがめげずに50sで光線状態が変わるごとに追っていく。赤い枝は間歇的に回るので止まっている時を見はからって露光しなければならないのだが、動かないように見えて緩慢に回ってたりして油断できない。しかも白山通りが青信号の時は左折車が歩行者待ちで止まっているため写りこんでしまう。これで一枚失敗。白山通りが赤になっている間に露光をすませなければならない。そして太陽の動きも確認。露光のタイミングの把握はけっこう難しい。50秒の露出だからこそ判断が難しい部分もある。鈍重な草食動物だってのどかなわけじゃなくていろいろたいへんなんだ。マンモスが絶滅したのもわかる気がする。大判写真自体マンモスか。日射しが強いので平面性悪化防止のためなるべくホルダを日に当てないようにしていたのだが、露光後QLシートにさわると熱を持っている。露光中にホルダが暖められてしまうのだ。やむなくQLを包んでいるアルミパックでカメラ後部を遮光する。チケットの女性は商談成立で大喜びのあまりカメラバッグを踏んでしまう。申し訳ながっているので「よかったですね」と声をかけたらほんとにうれしそうな顔をする。それほど幸せになれるんならとやかく言えない。その女性は日傘をさしていたのだが、去ってからその場所に来たもっと若いお嬢さんは帽子もなくまぶしそうなのでQLの箱を日よけにと貸した、つもりだったのだが、商談成立後ひとこともなくそのまま持ち去られた。体操音楽集合人々崇拝者ならでは。
とかいってるうちに光の具合がどんどんよくなり、とうとう太陽周囲の冠光が合わせ鏡に複雑に反射して全体がきらめきはじめる。しかし太陽の動きは速くうかうかしてるうちに逃す。ピークは去ったがフレアのあるうちに一枚。ところが日が下降していきほぼ完全逆光となりガラスに太陽本体のグレアが反射してしまう。これでは無理。もっと夏至に近ければここで太陽が上にあり、冠光だけが映りこんだのだが。最上の条件ではなかったか。と思っていたら階段状の山を越えて谷にさしかかり、階段の中央上部に冠光の反射がかかる。いやむしろこの時期が最上の条件だった。もちろん撮影。14時30分だったか。しかし露光中は箱の前に回り込んで覆い露光と経過時間のチェックで手一杯なのだが、そのうしろで信号待ちをしている自転車がいることがあり、追っ払うにも気づかず映りこませている可能性があるとあとで気づく。こいつらにやられてなければいいのだが。露光後どんどん太陽が動き、10分も経ったかと思ったら露光開始から3分しか経過していない。いつもの弛緩しきった時間の浪費とは対極の密度の高さ。ここがピークで、あと1枚くらい照り返しをおさえて計8カット。4枚目以降のみ現像に出す。その後は太陽が下がってきてしまい正面に反射が入り、もう先は期待できない。日本*武道*館もあることだし15時過ぎ切り上げて移動。水は現地で確保できる保証がないので捨てずにもっていくことにする。むろんこの俺様が2駅ぐらいで地下鉄なんかに乗るわけがない。
15時半過ぎ日本*武道*館につくと巻雲が出ている。遠いしこの際細かいことは気にしない。こっちはもっと楽なはずだ。擬宝珠が入り全体が気に隠れず見通せるギリギリまで引いてセット。しかし運転手つき黒塗りドイツ車が真ん前にいてなかなかどかずさっさと失せろとばかり睨んでいたら自転車に乗ったポリに職質される。測定ですと答えたら「なんの測定か知らないがそういうのは許可が必要なんだ」とかぶつぶつ言いながら去っていったので続行。その外車にあいさつしていたのでK上層部か。こいつが呼びつけたのかもしれん。見るからにガラが悪そうで、Kも暴も中身はまったく一緒。何を待っているのかと思ったら教育程度の低そうな婆がソフトクリームを三つ持って乗り込み、なおも嫌がらせかしばらく止まっていたがようやく去ったところで16時頃1m。しかしたぶん雲がかかっている。
その後雲をやりすごして90s、撮影はうまくいったはずなのだがフィルムがホルダの中に入ったままQLの封筒だけ抜いてしまう。同じことを3度繰り返す。3度目は封筒を戻してフィルムを入れてみるがカブってるだろう。よく考えたら抜く時にフィルムをつまむように持たなければならないのに外側を持っていた。ちょっと慣れるとこれだ。せっかくうまく撮影できていたのに。16時半頃、もうだいぶ日がかげりEV13.8、150s露光中にさっきのポリが戻ってきて強硬に怒っている。前の撮影では咎められなかったので放任かと思っていたのだが。前回と違って西の建物の影が日没前にかかるので打ちきるが、最後のまともに撮影できたものには影がかかっていたかもしれない。また再撮か。そんな余裕あるのか。しかも次は許可も必要。フィルムを3枚無駄にし、しかもせっかくの好天で撮影自体は成功したはずなのにみすみすフイにし、万年***部長にもからまれてひどく後味悪い。
水道橋に戻りクリエイトの時間外ボックスに10枚放り込んで帰宅。