8時。各地とも巻層雲と巻雲。西空は雲がない傾向。透明度は昨日にくらべると低い。巻き返せるか。とにかく出かけるしかない。
綾瀬。東京*武道*館。受付に敷地内で撮影したいと申し出ると書面を書かされ待たされたのち中間管理職が出てきて偉そうに「写真は何」と。何とは何? 何ってカメラのこと?「写真とは何か」つう講釈垂れろってんですかい旦那。やれってんならやってやるぜ。「雑誌とかに載せるんじゃないですね」と。趣味って書いてるだろうが。「見学」なるバッジを渡され胸のポケットにつけて撮影開始。
覗くだけなのも含めればもう4回目なので場所は大方決まってる。前回より寄り気味の右側から。
覆い露光した部分のコントラストが低下していて、使った紙の反射のためにカブリが生じているのだと思っていた。ものによってコントラストの低下の度合が違うのは、太陽の角度で反射の具合が違っているのではないかと。やっと気づいたのだが、これは覆い露光の紙のエッジで発生する回折による現象らしい。エッジの回折によって光路が曲がった成分がフィルムに到達し、本来あるべき場所とは違った位置に結像される。エッジ部分が固定されていれば位置がずれたまま撮影されるはずだが、エッジを移動させるのでその一帯全体に回折成分が広がり、穴から直進してきた本来の光成分とはずれた成分となって本来の結像と重なりシャープネスを悪化させてかぶったようになる。同じ現象は引き伸ばしでの焼き込み・覆い焼きでも起きているはずなのだが、引き伸ばしではレンズを使っていて、露光面から離しているため、遮光体のエッジ部分ではピントが合っておらず回折成分も分散してしまうのでほとんど問題にならない。しかし回折によるシャープネスの低下は発生している。ピンホールカメラでは、ピントが合わないということがないので、回折による画像の攪乱が明確になってしまう。
またまた問題発生である。せっかく覆い露光で撮影し直しているというのに、それも間違いだったということだ。覆い露光しているのは画面下部なので絵柄上はあまり重要ではないのだが、穴に近い部分でもあり、全体の中では一番分解能が高く細かい部分まで描写されている。ここが眠くなってしまうのは好ましくない。しかし、撮影時に覆い露光しなければ、ネガのその部分が濃くなりすぎて、画面上部にプリントの露出を合わせるとほとんど飛んでしまうので、細部が出ていたところで意味がない。プリント時に焼き込むしかなさそうだ。しかし焼き込んでプリントしたことがないので、それでうまくいくのかどうかわからない。色シフトが怒る可能性もある。ネガが薄くて黒フチで最大濃度が出ていなかったりフィルムのエッジが出ている場合には不具合が生じるかもしれない。一度コンタクトプリントしただけでその後まともにプリントしていないからこんなことになるのだ。ということで今後は覆い露光しない方向で、一部覆い露光も念のため入れていくという方針とする。しかしフレーミングのブラケットもしなけりゃならんし、一体何枚撮ればいいのだ。安くないのに。再撮影してある程度うまくいっているものを、覆い露光のみを理由として再々撮影はしない。そんな余裕はありゃしない。
大競技場は休み。11時前からEV15.7、同じ位置から軽く覆い露光50s遠い露光なしで40s。撮影前に喫煙男が出てきてしばし待たされる。「公衆便所」だかの看板を隠すため撮影位置が縛られる。警備員がちらちら見ている。左に動き軽く覆い露光で50s。冠布かぶっているところで警備員が寄ってきて「すいません」だと。なんのための撮影許可だよ。バッジだってつけてんのに。受付のすぐそばなんだから連絡くらいしときゃいいだろうに。漫然と時間を売って金銭にする以外には人を疑ってかかるしか能のない憐れな連中。しかしやりあうのもばからしいので「許可とってます」と追っ払う。遠ざかってもう一枚と思った矢先にさっきの喫煙男がまたのこのこ出てきて、今度はこれ見よがしに吸い殻入れから離れたところに座って灰をそこらに落としてやがる。正面から対峙して「とっとと失せやがれ肺ガン罹患予定者」とばかりガン見。2本燃やして去ったところで50s。12時40分頃終了。受付にバッジを返却する時によっぽど警備員の件で嫌味のひとつも言ってやろうかと思ったが、また撮影する可能性もなしとはしないのであっさり退却。
桜木町へ移動。都内は透明度が下がり、雲もちらほらあるが、桜木町は多少ヌケがいい。パシ*フィコ*横浜で14時半セッティングし、雲が去るのをひたすら待つが、あとからあとから湧いてくる。東京湾上の遠方の雲は画面に入らないので問題ないが、南からやってくる雲はホールの裏手から昇ってくるので、雲がないと思って安心しているといつの間にか出ている。そうして延々と待つうち、影が最もいい時間帯を逸し、太陽反射のグレアも入ってしまう。そうこうするうちまたも警備員からの攻撃。このへんはいろいろ規制があって、というのだが、誰でも入れる公園だろうがよ。ゴミを散らかしていくバ家族を先に規制しろよ。「測定です」「個人です」「趣味です」で押し通す。「測定」は投入2回目だが、これはめんどくさくなくていい。追及してきたら「太陽光分散波形の地域偏差の計測」とか適当に御託を並べればただちに退散してくれる。まああんまりカメラに見えないから使える技であり、ビューカメラでもジナーやエボニーでレンズがついてたら厳しいかもしれない。5月にここで撮影していた時には、何回も警備員がそばを通ったが何も言われなかった。あのときより三脚がごつくなったから不審がられているのか。それともこの半年間で写真撮影に対する世間の警戒レベルを上げさせるような何ごとかが起こりでもしたのだろうか。このところ急に風当たりが強くなっていると思えるのは気のせいばかりではないだろう。
そしたらグレアが斜面と垂直壁面の2カ所にできてしまい、雲も消えないしもう今日はダメだとあきらめて重しの水を捨てたところで雲が切れたので、せっかくだし押さえで1枚だけと思い1m覆い露光なし。15時半。これから川崎三頭ビルに向かえば日没ギリギリ。どうする。ここで見届けるか、間に合うか微妙だが一勝負賭けてみるか。雲も少なくなってきたし、しばらくするとグレアが下に隠れそうなので待ってみることにする。そういえばここは5、6回来ているが日没まで見届けたことはなかった。そして16時過ぎ、予想通りグレアが一カ所のみになり、もうちょっとで展示ホールの影に隠れそうになってくる。ふたたびタンクに水を充填しセッティング。直射日光はかなり黄に転び、大ホール壁面が白いのでそのまま反映される。これをプリント時にニュートラルに補正すると空が真っ青になる。それはそれでよろしい。影の出方は不満があるがこれはこれで悪くないかもしれない。16時38分、EV13.8グレアがほとんど消えたのであわてて撮影。Groove Lineがはじまっているのにそっちのけで撮影するという通常では考えられないテンション。光が刻一刻と変わっていくのでもう非常事態。と思ったが、ゴダールが日没寸前に撮影中に職*質されてこの光は非常事態だと言ったとかいうのが昔あったのでやっぱり撤回。ある場所において太陽がある位置にあり特定の光線状態になる条件というのは一年のうちでも限られるが、地球はじまって以来の年数を考えればその程度のことは何千万回と繰り返されてきたわけで、非常事態と呼ぶには無理がある。そんなことはともかく3m覆い露光なし。どのみち展示ホールの影で画面下部が暗いので覆い露光の必要なし。同じ条件でもう一枚。光が急速に衰える中、別の警備員がたかってくる。何回同じこと言わすんだいい加減にしやがれハエどもめ。さっきより暗いがもう光があたっていないのに露出してても意味がないので3mで打ちきり。そしたらまた明るくなる。日没ではなく雲で隠れていたのだった。ともあれ、まあうまくいったのではないか。フレームで絵柄が切れてなければだが。ここに残るのを選んだのは正しかった。
新宿で有明*コロシアムと有明*スポーツ*センターと横浜*流通*センターとビッグ*サイトと都立*工芸*高校と日本*武道*館のネガ引き取り。有明の二つは充分だろう。覆い露光の問題はあるが、下がアスファルトや床面なのでコントラストが低下していても大勢に影響はない。有明*スポーツ*センターは垂直が出ている。やっとあのピングラでフレーミングを読めるようになってきた。横浜*流通*センターは一枚だけ、まあ写ってはいるが雲がありそう。色が映えないのでPro*lo*gisを再撮するか検討中。都立*工芸*高校も下は道路で覆い露光の画質低下は気にしなくていいだろう。ただフレーミングがよく太陽のフレアの入り具合もいい7、8枚目で、8月31日の日没後に撮影したのと同様の上部の影の映りこみがあるのが残念。これの正体がわからない。ま、6枚目がそこそこなのでこれでよしとするか。もう一回は……さすがにもういいかという心境。武道都立*館も一枚だけだが、これもまずまずではないか。ちょっと引きすぎなのは擬宝珠の下をなるべく入れるためなのでやむを得ないし、もうちょっと傾けてもよかったが擬宝珠が切れるよりはずっとまし。遅くなったので太陽が低く屋根の下まで充分光が届いている。そのまえの3枚をダメにしたのは、かえって現像代が浮いてよかったか。なんてことはないけど。
しかーし! 肝心のビッグ*サイトが全滅。先が切れてるか傾きが足りず小さすぎるか。まるでなってない。1枚目が未処理だがこの分では同様だろう。ぴったりおさまった4月3日のネガは奇蹟なのだった。水没さえしていなければ。もうだめだ。あきらめた。これじゃ埒があかない。ポ*ラを使うしかない。
ピントグラスで撮影時に写りこむ範囲を確認できないようでは、結果を読むとか以前の問題だ。その場で撮影結果を確認するためのポ**ロイ*ドなどインスタントフィルムは、デジタルカメラと同様に事前に結果を読みきる能力の代替として使われてきた製品だが、そんなことよりもコストが最大の問題。確認して捨てるだけのものに1枚500円つっこむのに抵抗があって使わなかったのだが、この効率の悪さを考えたら使ったほうがよっぽど安上がり。撮影範囲が確認できないビューカメラなんて世界広しといえどもこれくらいだろう。つーかビューカメラじゃないって話か。撮影範囲が確認できるピントガラスを持つというのがビューカメラの定義であれば、「撮影範囲を確認できないピングラ」では……。
こんなことならちょっと高めでもヤフオクに出ていた時落としておけばよかった、と思いながら、ひょっとすると期限**迫品が出ていないかとビックへ。それはなかったが、今年8月という切*迫以前に期限*切れのタイ*プ57を発見。値札がなかったが半*額でいいという。5,000円の10%ポイント還元。ヤフオクの落札価格+送料より安い。ISO3000という高感度だが、4x5カメラ用のインスタントフィルムで低照度を理由として高感度撮影が求められる局面は通常考えられないので、絞りこんで長時間露光になる場合用の製品なんだろう。標準感度のポ*ラで長時間露光すると相反則不軌が面倒で、いわゆるラチチュードも狭いから補正がシビアになるので高感度にしてあるということだろう。1分の露光が必要なピンホール写真にはちょうどいいじゃないか。まあ高感度の期限切れはどんなものか怖いけど絵柄の確認だけなんだからだいたいの形さえわかれば充分。ということで購入。やっぱフィルムは期限切れに限るね。ポ*ラなんて使ったことないのに最初からこれでいいのかという気もするが。
ハンズでHCPのKincsemなる両面テープを購入。10メートルもあって504円なので、ニチバンの超強力タイプよりは単位あたりの値段は安く、その分質は劣ると考えられるが、もういいやと購入。蝶番は島忠のほうがよさそう。