平面的に見える、といった反応をしばしば受ける。イラスト的であるとか、マンガチックで笑えるとか、奥行きがないとか、みな平面的であるというところに集約されるのではないかと思う。否定的な評価ではないようだが、どういうことを意味しているのかがよくわからない。遠近感が瓦解しているのでのっぺりして見える、ということなのだろうか。線遠近法的な消失点への収束が成立していないので、再現的画像から元の空間の遠近関係が再構成できず、結果として平面的に見える、と。でもこちらとしては奥行き感はむしろ極端に強調されているように思っていたのだが、それは撮影時に対象から受けた印象、あるいは対象と結象との比較から得た印象を引きずっているからそう思うのだろうか。撮影時には対象を両眼で立体視することで立体的印象を受けていると思われるが、そういったあらかじめ植えつけられた印象には従属せずにまっさらな目で写真を見ている観客のほうが写真をニュートラルかつ適切に判断している、ということか。
通常の写真からは逸脱した、ぐんにゃりした空間再現をもはや写真に帰すことができなくなり、何が参照されるべきかとふと考えた時に、再現的要素を維持していながら遠近法から離れる自由度が高いイラストが召喚されるということだろうか。
あるいは、単純にネガの黒フチやクリップ跡やホコリなど、写真であることの証左が否応なく目に入ってくるので、対象の三次元的なイリュージョンに浸れずに眼前の平面である写真に引き戻されてしまうということなのだろうか。つまり画像内容によって平面的であると感じさせられているというよりも、周辺の付帯物によって写真の平面であることを意識せざるを得ない、と。だとすればまさに意図したとおりなのだが、話を聞いていると画像内容自体に起因するようなのでその可能性は低い。
うーむ。会期1/4経過。まだ日は浅いので結論を急ぐ必要はない。でも、まだ会期が残っている、とか思ってると、明日が終われば1/3だし、さらに2日で1/2、という具合に、あっという間に終わっちゃうのが個展の常。