昨日来廊いただいた写真家S氏とずいぶん長いこと話して、いろいろヒントをもらった。まず実際の撮影方法について。S氏はかつてピンホールカメラを駆使し、しばらくデジタル一辺倒だったがまた銀塩に回帰するという。ピンホールカメラに関してはずっと経験のある氏は、モノクロでピンホール撮影をすると空がぶっ飛んでしまうので赤フィルターか黄フィルターをつけていたという。それ自体は古典的なモノクロ撮影法ではあるのだが、それはコントラストフィルターというだけでなしに、紫外線をカットするということでもあるらしい。ガラス製のレンズはそれ自体が紫外線に対するフィルターになっていて、紫外線を透過するレンズをつくる方がむしろ難しいくらいなので、特にUVフィルターをつけなくても紫外線の影響はさほどない。しかしピンホールでは紫外線がなんの障壁もなくもろに飛びこんでくるため、その影響大という。目からウロコ。氏はカラーでもゼラチンのUVフィルターを使っていて、入れるとだいぶ違うとのこと。確かに今回焼いたネガではみな日陰部分は青かぶりが顕著だった。天空光による色温度上昇のためと思っていたが、おそらくあれが紫外線の影響なのだろう。気がつかなんだ。まだまだ写真技術を制覇するには程遠い。これまでのネガもフィルターかまして再々撮しようか。いやいや。そういったことも全部込みでそのときどきにしかなしえなかった写真だ、というのが会期なかばを過ぎた今の心境。しばらく経ったらわからんが。