■[撮影記]
朝遠く雲あるも快晴。11時前に笠寺、レインボーホール。UVフィルタは問題なく運用できるかどうかまだ確信が持てないので、今回は安定した結果が期待できるフィルタなしで行くことにする。引きがとれずフレームどりが難しい。ポラ2枚切っているうちに雲が出てきて、ドームの背後からもくもく湧いてくる方角。切れたかと思って露光を始めると30秒くらいたったところで雲が顔を出してきてたいへん始末が悪い。そんなこんなで同位置で2枚無駄に。しかも横なのに縦位置用だった。さらに一枚もやはりうっすら雲が。雲だらけになってきたので断念しレインボープールへ。雲あるがまあいいかと思ったが、空腹に耐えかね店を探すがろくな店がなくやっと入ったうどん屋でどろのようにのびきった特盛のうどんを出されよそ者にはこんなものでも食わせておけということかと仰天しつつ食べきり戻って13時過ぎにはもう雲だらけ。余裕があったらまた。

***宮。まだ人出が多い。日曜だからだろう。本*宮は4重に取り囲まれ、一番外側からしか拝ませてもらえない。門の先に鳥居とさらに3つの門がある。そこまで厳重に守っても今じゃGoogleEarthなりで誰にでも筒抜けなわけで、そんなに隠したいんなら天井も覆っちゃえばいいのに。千*木が突き出ていて背後には鬱蒼と木が茂り、無理して撮影するほどでもなさそう。

14時半。北の空は雲が減ってきて、名古屋城で勝負かけるか電車乗って遠出かさんざん迷う。ギネス入りだとかいう駅ビルの15階に登って雲を観察したあげく、名古屋城は明日に持ち越すことにして西へ。四日市サイバーパンクだと聞いていたが、電車から見た限りでは千葉の海沿いほどではない。煙突は多数立っているが、出しているのは水蒸気ばかりで、姉崎とか袖ヶ浦あたりのようにいまどき炎を吹き上げている化学系の工場はない。帰りに夜通っても明るい煙突はなかった。鈴鹿と津の間で検*札。しかし寝てればOK。東北線でもそうだったが、寝てると起こさないのが最近の傾向なのだろうか。そりゃ気持ちよく寝てるときにつつき起こされたら誰だって怒りたくなるし、トラブルの元。

そして伊*****宮。17時過ぎで閉門間際。ここも熱***宮と同じく門の遠く奥。内宮もだいたい同様らしい。しかも門の内側では撮影禁止の看板。ご丁寧にいかつい制服を着た警備つき。こいつらが星入りの階級章やらエンブレムつきの警帽やら着用していて、明らかに警官と思わせておさえつけようという意図が見てとれる。門の外で三脚もってうろついているだけで、撮影なんぞはじめたらただじゃおかんとばかりにガン飛ばしてくる。非常に気分が悪い。門の中では烏帽子かぶった神官が座っている。まあなんとも奇妙な宗教施設。門の内側に入るのは「正式」参拝だそうで許可が必要。下々の者には信仰さえ許されないということか。体系的教義らしきものはなく、儀式と型のみでなりたっている宗教なのであれば、一般大衆の「正式」な参拝が禁じられている、すなわちまともな信仰表明ができない以上そういうことになる。さすが長いこと政治権力と結びついてきた場所だ。石元泰博クラスでないと撮影なんぞもってのほかなのだろう。あれは20年ごとの建て替えのおりに新築の状態を撮影したのではなかったか。いつも新しい正宮に神さんがいられるように東と西に用意された敷地で交互に建て替えては移ってもらっているとかで、建て替えの直後の神さんが引っ越しする儀式の前に撮影したとかいう話だったような気がする。神さんが入居前だから撮影してもいいのであるぞよと。だとしたら次の建て替えの時にはチャンスがなくもない。しかしながら、撮影に数千万だか数億だかかかったといううわさだが、8x10とはいえモノクロの感材代なんて知れたもので、現像処理を外注したとして、アシスタント料や滞在費を含めてもそこまで行くとは考えにくい。長期とはいったってそう何年も撮影させてもらえないだろう。その金額にはある種の上納金も含まれているのかもしれない。いずれにせよ無理、不可能。それに熱***宮と同じつくりで、そこまでして撮影したいとも思わない。石元泰博には予想される障害を乗り越えるだけの意欲があったのだろう。それは、みずからのかつての『桂**宮』を超えるものをなおもやりたい、ということだったのだろうか。それは建築物に対する執着があってはじめて生じる動機。ことば悪くいえば、ある種の「元ネタ」程度にしか考えているような人間にそこまでの情熱が湧くわけもない。それにこんな仰々しく閉ざされたところで窮屈に撮影なんてしたくない。靖***社のほうがわかりやすいぶんよっぽどいい。
しかし、権威でいえばここが駄目ならあとは日****宮の他には出***社ぐらいしかないのではないか。造形主体とはいえそうした格も無視できないような気もする。
名古屋に戻って土手煮や手羽先揚げや味噌カツといったご当地ものを食すが、味噌が濃くて甘すぎ。文化圏が違うと実感する。そしてはじめてのネットカフェ。9時間1,800円。有料の宿泊施設に泊まることさえ久しく絶えてなかった。法制上はともかく、事実上は立派な宿泊施設。シャワーも無料で使えるし、朝食までついてくる。野郎ばっかりかと思いきや、隣のブースの客の顔は見なかったが前にヒールの高い靴が置いてあった。リクライニングシートがぎしぎしいうし寝心地悪く安眠できず。それ以上に0時前は周囲の物音がうるさくて寝つけない。夏場だったら野宿のほうが隣近所に煩わされなくていい。蚊さえ防げれば。でも、殺伐としててあれはあれでたまに泊まるならおもしろい。