ぼやいてばかりでもなんなので、何か写真にかかわれること、それも実際に手を使ってものをいじって写真と交われることはないか、と考えてみる。そこでひさびさにParallel Alignment Guageの出動。4x5伸ばし機に自作ネガキャリアとネガキャリア受けをセットした状態で平行の確認。ヘッド最上部でズレが8mm程度。完全ではないがそこそこ精度は出ている。と思ったらLPLのユニヴァーサルイーゼルをはずして台板上で測ってみたところほとんどズレがなくなった。2mmくらい。これならかなりいい。ところがゲージを180°回してみると光斑が動く。台板の反りもあるかもしれないがゲージの精度が出ていない。PlaceMに持ってったときに狂ったか。アメリカ製だとこんなもんか。逆方向に動くので、引き伸ばし機の前後方向の狂いはほぼないと思われる。左にやや曲がっているよう。Saundersの20x24イーゼルを、これもずいぶんひさびさに、それこそ2004年の個展以来ようやく引っぱり出してきて載せようとするが、左に壁、右にVR70があって載せられない。縦位置で置いてみる。これはこれでズレているが台板からだいぶはみだしているので正規の条件ではない。荷重で傾いている可能性も充分にある。いずれにせよ、実用上はほぼ問題ない。
Parallel Alignment Guageは所有している計測器類の中では数少ない頼れる機器であると思っていたのだが、あんまりあてにならない模様。前からこんなだったろうか。
写真のプロセスというのは基本的に工学的・化学的技術に依存しており、同一の条件下では同一の結果が得られるはずであるという科学的合理主義に基づいている。一定の結果のためには条件を揃える必要がある。そこで各種の計測器がよりどころとなってくる。光量を計測する露出計、露光時間や現像時間を制御するための時計、液量を測るメスシリンダー、液温計、場合によってははかり、カラーメーターあたりが工程管理の基準となる。それに加えて、機材の精度の確認や観察の補助のための機器がある。所有している計測器類はボロくてどれもろくなものではない。MinoltaのFlashmeterVは10年近く校正に出してないし、水準器は落としたりで気休めにしかならない。定規もメジャーもありあわせ。ガラス製の高精度のメスシリンダーも買ってすぐに割ってしまい今使っているのはプラ製の安物ばかり。わりあい高精度の液温計も撹拌に使ったりでさんざんな扱い。時計なんぞ百均。シャッターテスターなんて持っておらずたくさんあるシャッターも精度を確認したことはない。タイマーももらいもの。PeakのピントルーペI型は比較的しっかりした品物だが、肝心の視度調整に確信が持てないので宝の持ち腐れ。耐久性と器械精度は劣るけどII型のほうが見やすい。
そんななかParallel Alignment Guageはほとんど唯一誇れる機材だと思っていたのだが、この調子では全幅の信頼を置くには程遠い。あくまで目安。値段ほどの価値はなさそう。
しかしながら、こんなぞんざいな環境でこと足れりとしているのには、機材に頼ることに対する疑念が働いているような気がする。NikonやらCanonの最上級機に命預けてます的な預託のしかたではなくて、そこらの手近な機材でどうにでも間に合わせてみせるといった態度。ゴミのような水準器でも180°回転させればだいたいのところはわかる。それにしても参考に過ぎず、ピングラとポラで決める。しょぼい機材も運用次第で充分使い物になるし、どんな機材の計測値もそのまま使えるものではなく、なんらかのさじ加減が必要になるわけで、つまりは判断のための材料にすぎない。結局のところはみずからを測定の最終的な基準に置いているということだろう。その精度が低いからこのありさまなのかもしれないが。