H-5.0F-5.5
この数値を見る限りでは今年もっとも最低気温が下がっている。でも現地ではまったくどうにもならない。西のほうでまた工事。でも直接の影響はなさそう。4x5が2台で腰にはこたえるがEbony用の三脚を忘れては箱だけ持ってってもまったくの無駄。
高尾山へ。今度はリフト。小学生時分にスキーに連れられていったとき乗ったかどうか。乗ってなければたぶんはじめて。バックパックを背負った状態で乗ってしまい、イス部分のかけしろが浅いためずり落ちそう。途中で肩から降ろすのもこわい。やむなく斜めに座ったままゆらゆら。そのため進行方向右から後方にかけてはよく見えるが、斜面になっている左がまったく見えない。どちらかというとそっちのほうが絶景ぽかったが。三脚をとなりに寝かせて置ける幅もなく、大荷物持参で乗るものではない。新宿ビル群などよく見える。登山客はそこそこいるが、リフトなんて使う軟弱者はこの寒い時期のしかも平日にはこんなとこまで来ないようで貸し切り状態。でもうしろのカゴには上に届けるらしい弁当の束が鎮座している。下が深い箇所には網が張ってあって危険はないが、数年に一回くらい転落するやつがいても不思議じゃない。滑車部分を通過するたびにガタゴト音がするし「スリル感を味わえる」との能書きは嘘ではない。
山門は通行可。前回通れなかったのは積雪のためか。権現堂に着いた10時45分頃にはもう太陽が正面に。もっと早く来ればよかったといつもの後悔。いつもの寺男氏にへこへこしながら「すみませんまた撮影させてください」と言うとまたも腰が低くてかえって恐縮しきり。雪はない。ポラ何枚切ったかもう覚えていないがずいぶんやって撮影しまくる。たぶん45sとか1mとかそんなもん。途中飛行機が撮影範囲内を横切るが、画面上にほぼ出ないのは確認済。でもシャクにさわる。ここはなぜか多い。立川か福生からの軍用機か。結局いろいろいじって1時間はかかってしまい、日が傾きすぎて打ち切り。横位置ホルダも使い切って8枚。ポラの横位置で画面左の上下に白飛びが頻繁に出て、ネガを見るとやはり飛んでおり、これはかぶっているのかもしれない。期限切れだし箱から出して銀袋のままカメラバッグの下に詰めて持ち歩くうち荷重で破けてしまい、なおもそのまま放り投げまくっていたので漏光があってもまったく不思議じゃない。
現像済ネガを見ると8枚中4枚は上が完全に切れていて話にならない。残り4枚のうち1枚はやや厳しいがまあ使えるかというところで3枚は切れてはいないもののすべて左肩上がりに傾いている。まいったなあ。角度はというと、うーんざっと見たところ1°かもう少しか。言っとくが水平に対して1°の傾きってのは大きいのだよ業務としてフォトレタッチやってると実感する。1°も画像の水平線が傾いてたら即おかしいと気づく。まあわれわれこの方面の従事者だけなのかもしれんがな。とにかく傾いていると感じられてしまう傾斜角度。でもね、もう疲れたよ。高尾山のケーブルカー駅から機材背負って登るだけでもゼイゼイだ。4度目はつらすぎます。ここ色は派手だけどそんな執着するほどの物件でもないと思うよ実際。悪いけど所詮権現様だしそんなに格式が高いお寺でもないでしょ正味な話。幸いにしてネガのホコリも少ない。なくもないけど致命的ではない。これでよしとしましょう。年とるとこうやって妥協してくわけなのかな。あーあ。でも京都に行くこと考えたらはるかに近いっちゃ近いんだが。傾きがショックすぎて、撮影の時間帯が遅かったために光線の入射が完全順光でないことなどどうでもよくなってしまった。でもこの問題は今後も出てくるはず。水平が問題になる伽藍の正面からの撮影では特に。よく見たらポラも斜めっていた。なんのためのポラなんだよ。右肩上がりのもあったりするから信用ならないのはそうなんだが。
舗道を駆け下りて横浜線から京浜急行金沢文庫へ。京浜急行でこんなに先に来たのは、MTB輪行して今よりさらにへろへろになりながら三崎口とかを走っていた15年くらい前以来だろう。あの頃はおなじTamrac777のカメラバッグでContax2台にSlikPro2三脚なので今の4x5の2台体制よりも総重量は軽いはずだが、腰に全荷重がかかる姿勢で自転車をこぎ続けて、それも真夏でしかも坂道ばかりだったので行き倒れそうになるくらいつらかった。でもそのときは三浦半島の先と横浜市西区か南区か中区だけで、金沢文庫に来たのは今回が初。うろうろ迷ってやっと称名寺に着く。仁王門は古く立派だが京都の有名どころにはとても及ばない。仁王像にはネットがあったような。池は広い。だがつくりこまれた庭園というほどではない。公園がいいところか。もっとも、つくりこまれた庭園を見る機会を先般ことごとく拒否してきたので、庭園のなんたるかは皆目知らないけれど。池に架かる橋を架け替えているらしく工事中で金堂の正面からの引きがとりづらいが、これはわざわざ撮影するほどのものでもない。むしろそのとなりの釈迦堂が茅葺きで風情がある。今予定中の撮影候補はどれも瓦葺きの大伽藍で、茅葺きや檜皮葺きのこぢんまりした古刹がないことに気づかされた。嵯峨あたりにたくさんあったはずだが有料なので見ていなかった。見たってたいてい庭園型寺院で三脚不可だし、使えたところで引きもとれず余計な写り込みばかりなのが見え見えなのだが。ここは最近葺き替えられた様子で、荒く研磨されたレンズのように茅が平面で刈られたままきれいに揃っている。いい風情なのだが、木が屋根にかかるのと背後のスチール家具みたいな箱が興ざめではある。あと屋根のてっぺんには茅葺きにそぐわない金属の切っ先。避雷針だろうか。必要があれば行くかもしれない。でも全体に、事前に与えられた情報ほどのものではない。横浜には歴史のある寺が他にはないから、観光名所にここを仕立て上げて売り出してみましたという印象。塔頭も2寺残ってはいるが申し訳程度のわびしいもの。横浜では残念だがこの程度だろう。
ついでなので八景島まで歩いてみる。ほとんど期待していなかったのだが、ここはおもしろい。遠近法的空間再現とは異質な空間再現を提示するというのがここ数年のお題目なわけだが、コースターを使えば、マッスに頼らずに、骨格によって、それもワイヤーフレームではなく光を浴びる現実の建造物によって、それが内包する空間そのものを現出できるのではないか。これはずっと探していた対象だった。他にも気になる骨組物件。こんなところにあったとは。しかも入場無料。おまけに撮影制限なし、三脚自由。ここは天国じゃあないか。その名も横浜八景島シーパラダイス。まさしく看板に偽りなし。
そういえばこの日はその方面の特異日だったのにずいぶん閑散としていた。入り口すぐのメリーゴーラウンドもオルガンが空しく響くばかりで誰も乗っていなかった。大丈夫なのか地上の楽園ならぬ海の楽園。
山から海。海とはいっても所詮東京湾。入江みたいなもんだ。波も低いし船がそこらじゅうひしめいていて、都心の渋滞してる道と大差ない。おもちゃのような海。
新宿クリエイトで深大寺のネガ引き取り。まずまずか。と思ったらこの日撮影したネガを出し忘れる。東口アルプス堂にSinarのジャンク部品がたくさん出ている。Pのフロント1万、Pのフレームのないスタンダード5,000円、fのフロント3,000円、そしてジャンクf1が5,250円。と思ったらフロント2つをfの銀色のレールと最近の型のレールクランプ上に組み合わせた寄せ集め。バックもないしフォーカシングもできない。蛇腹は角を補強した黒パーマセルがべとついているが前後の金具は充分使える。つい買ってしまったがフロントではあまり使い途ないのだった。蛇腹とってフロント1つは多目的フレームとして残してあとは売っぱらえば充分モトはとれる。そろそろ金具を発掘してf初期型を調達し、Sinarとレンズの改造を再開しよう。