印画紙が

新宿ヨドバシフィルム館で富士のCG大全紙の在庫を確認したところ、店員が調べたのち、生産終了と宣告される。ええっそんな。2年前の個展以降そんなことになっちゃっていたのか。でも目の前には同じCGの全紙、18x22が。いったい何を考えているのか富士フイルムよ。売れ行きが悪くてラインナップを縮小するのはやむをえないと思う。でもなぜ最大サイズを削るのか。全紙がなくなっても大全紙があれば切り出せるが、逆は対応不能。しかも20x24インチは写真印画紙のサイズとしては国際標準規格で、どこの印画紙メーカーでも出している。同系列のOrientalも10数年前に20x24、16x20、11x14、8x10、5x7に絞り込んでいる。今どき18x22などという日本ローカルのサイズを出しているのはあんたんとこだけだ。きっと耄碌した上層部が「大伸ばし写真ってのは昔から全紙と決まっておるのじゃ」などと半世紀前の思いこみを振りかざして押し通したに決まってる。5x7の大キャビネと別の、ごちゃごちゃ端数がつくサイズのキャビネを出してるのも富士くらいだろう。そっちのほうがよっぽど無駄だっつーの。 だいたいこのへんのちょっと小さいサイズというのは日本オリジナル規格で、アメリカ規格みたいなふりをしながら安く上げるために広まったとどっかで読んだ記憶がある。マンションサイズの1畳とかいうのと同じしみったれた発想。ウサギ小屋にすむ国民らしい貧乏根性だ。誰もが使っているSaundersの大全紙イーゼルにも18x22に対応したスロットはない。20x24の下は16x20。Saundersのイーゼルでまともに使えないのだ。そんな引き伸ばし用印画紙は存在しないも同然。バカじゃないの富士フイルムレンブラントVの大全紙はまだあるらしいから箱のコスト削減ということでもなさそうだが、レンブラントVがOEMだから残っているのかも。モノクロRCも全紙まで。そのわりにはライカアスペクト比の2:3に合わせた特四切などというこれもまたびんぼったらしいサイズは残っている。完全にずれまくり。ヨドバシ店員のいうことが信じきれず、ネットで探すが富士フイルムからの正式の発表は見つからない。だいたいカラー印画紙に関する情報が公式webに一切記載されていない。ナショナル・フォートが銀塩終了製品の情報を集めていたと思い出して見てみたら、2006年7月に終了のアナウンスがあったらしい。その年の10月に個展のためのプリントを焼いて、ビックで相当数注文したが、そんなこと教えてもらえなかった。あの時点で在庫の残りだったのか。ためしにビックに注文してみるとほどなくして生産終了の知らせ。
どうする。CGを維持して全紙に縮小するか、Kodakに切り替えるか。Kodakのカラー感材の最大の問題は画像耐久性に難があったことだが、SupraEnduraはその名前の通り耐久性を向上させているらしい。撤退するコニカから技術の譲渡でもあったのだろうか。それでも国産にくらべやや不安はある。目下の用途に対しては、富士のほうが高コントラストで向いてはいるが、その分シャドウ部のコントロールが難しかった。富士はベースが純白だが、Supraはやや色がついていて、富士のほうが好ましい。それに小サイズを富士の印画紙でやってきているので、Supraに替えるとデータをとりなおさなければならなくなる。階調とデータが流用できることを考えるなら、サイズを縮小してCGの全紙にするのが無難ではある。しかし、大伸ばしに富士を使ったところで、銘柄や乳剤が変わればどのみち同じ数値では焼けず、補正は必要なのだからKodakに切り替えても大差はない。
一方のサイズを小さくするという選択肢だが、ここでの妥協はあとあと後悔につながると思う。だいたい富士がパッケージ印画紙を整理するのは、売れてないからだ。レンタル暗室でもたいていの人はKodakを使っている。それには理由があるはずだ。一般的に入手しやすいとか、他人も使っているからというだけで、性能の問題ではないのかもしれない。Supraのほうが低コントラストで、人物には向いているし、穏やかな描写で幅広く使えるということもあるだろう。品質が理由で多くの人が使っているのかどうかはよくわからない。しかし、多くの人が使っているなら、それだけ存続する可能性が高いのは確かだろう。富士には見切りつけてKodakに鞍替えするか。元コニカ小田原工場であるところのDNPにするという選択肢もあるけれど、こちらも先行き不透明。
ところが、海外ネットショップでは富士カラー印画紙の各種面質の大全紙が当然のように販売されている。30x40とかもあるし、ロール紙もある。まったくもってこのメーカーの意図がわからない。日本市場軽視ということか。これを逆輸入するという手はある。かえって安くもなる。しかし型番が違うので国内製品と同等品質なのかがよくわからない。デジタルに最適化と謳われてもいるが、レーザ露光式デジタル機用の系列はまた別にある。よくわからん。時間もない。これからとりよせてはたして間に合うのか。もっと早く動いておくんだった。とにかく要調査。