早朝快晴だが遠く雲あり、weathernews.jpによると日光は昼頃曇の予報なので見送り。事実雲だらけになった。
覆い焼きツールをつくるべく針金を探す。巻いてあるのはまっすぐに伸ばすのが難しいので直線上で売られているもので、なおかつ硬くてさびないステンレスなどが望ましい。でも百均にあったのは園芸用のやわそうな全長36cmの鉄製。0.35mmと0.55mmで迷う。紙ケースに110本も入っていて様子がわからず、見た目細いほうは頼りなさそうだったが、投映像への影響が軽微な気がする。投映面に近づけなければ実際にはほとんど変わらないだろうけど、気分で細いほうにする。帰って見ると封が開けてあるじゃないか。中身をとりだした形跡もある。これだからダイソーはなあ。これをやらかした奴も太いほうとで迷ったんだろうな。サンプルを置いてないダイソーが悪いのだ。で、実際ふにゃふにゃで頼りない。しかし0.55mmも大差なさそうだし、いずれハンズか島忠で硬い鋼線を調達することにして、これで当座の間に合わせとする。
光学的引き伸ばしでは、引き伸ばしレンズによる周辺光量低下を補正しなければならない。どんなレンズでも周辺光量低下は不可避的に発生するので、これは必須の過程なのだが、やっていない人が多いらしい。あえて周辺が白くなった効果を狙うのならともかく、基本として平坦な描画を実現するためには、必ず周囲を焼き込まなければならない。撮影レンズにも周辺光量低下はあるので、ある程度は相殺される。ただし一般のネガプリントであれば引き伸ばし時の低下のほうが影響は大きい。人間の視覚特性との類比で考えても、撮影時の周辺光量低下、すなわち画面中心が明るくて周囲が暗いのはさして支障がない。われわれの視野も周囲がフェイドアウトしているようにとらえられる。しかし引き伸ばし時の周辺光量低下で周囲が白っぱけているのは、通常の感覚からすれば不自然に映る。モノクロプリントで周囲を極端に濃く焼き込む様式はクリシェとして確立しているし、最近では、映りすぎる現代のレンズへの反動なのか、周辺光量落ちの激しい古典的レンズを逆にその演出効果から好むという傾向もあるらしい。それらは様式としてあってもよかろう。一方、周辺が薄いのは散漫な印象を与えてしまいいただけない。単に技術的に稚拙なだけと見られてしまう可能性が大である。均一な露光を1回だけ与えてことたれりとするのには疑問がある。
追加露光の量としては、ネガサイズに対するレンズの焦点距離の割合にもよるが、30%程度が目安となる。通常の絵柄であれば、30%程度の周辺光量低下はさほど目立たない。だからこそ補正の必要に気づかれず見過ごされることが多いのだ。しかしながら、2003年の個展以降すべて黒フチつきで焼いており、黒フチの濃度差ははっきり出る。特にモノクロの小型ネガでは、なるべく薄いネガをつくって、ネガ上のベースかぶり濃度部分がプリントで最大濃度になるような切りつめた露光を与えるのが粒状の点では望ましいわけだが、その条件では黒フチ部分に現れる周辺光量低下の影響は無視できない。2004年以降のネガはまともな露光条件ではなく、露光時の周辺光量低下が極端であり、おもに焼き込みによるその補正に手一杯で引き伸ばし周辺露光補正はそっちに吸収されてしまったが、エボニー期のネガは引き伸ばし周辺露光補正をきっちり行う必要がある。これまではボール紙の中心に穴を開ける焼き込みツールだけで間に合っていたので、この間品川埠頭のネガでカーヴミラーのひさし部分の覆い焼きのために臨時でつくったのを除けば、10年ぶりくらいで、針金の先に円板をとりつける覆い焼きツールを作成する。
円形に切った中厚の白の上質紙に黒製本テープで先を曲げた針金を固定。しかし針金の根元を持つと先の重みでぐんにゃりたわむ。こんなもんだろう。円板から10cmくらいで持たないと使えない。それでもゆらゆら振動する。どのみち震わせて使うのでそれはいいのだが、レンズから離しては使えない。
残っている発色現像液原液は補充液として投入。1.6l程度。漂白定着液はB液が白濁して沈殿している。2カ月程度、それも涼しいのにこれか。劣化しやすいはずの希釈使用液が、バットに張って浮きぶたを乗せた程度なのにまだ充分使えるのだから、空気を遮断さえすれば溶解後でもかなり保存がきく。とにかく空気を抜くこと。
当初液温が20℃だったが、室温現像とはいえさすがに低すぎるだろう。時間を延ばせば濃度は出るだろうが、カブリの量も増えて軟調化が予想されるし、カラーバランスが崩れるかもしれない。軟調になれば補色成分が増えるので彩度は落ちる。低温での現像も可能とはいえある程度の温度は保ったほうがいい。暖房で室温を上げて24℃に持っていく。つもりが待っても液温がなかなか上昇しない。部屋はとっくに暑いくらいなのに。10lの液が自然に気温と平衡するには時間を要する。8年前ここに越してきて暗室を組み上げる過程で検討しながらそのまま流れた、熱帯魚水槽用のヒーターを導入するべきだろうか。使うバットより一回り大きなバットに水を入れてその中にヒーターを入れ、薬品のバットをそこに浮かべるという方法が、熱がむらなく伝わる点と印画紙に干渉しない点でいいらしいのだが、大全紙プリントでそれをやるのはかなり困難。30℃以上の恒温槽を用意するよりは楽とはいえ。最初の加温はヒーター、目的温度に達したら室内暖房、というのが現実的だろうか。でも冬場も27℃くらいにできればいちばんいいのだけれど。
東福寺のもみじはだいぶ散って3割程度とのこと。