朝、次第に雲が広がってくる。でも姫路とか広島とか行っちゃうと夕方晴れたら臍を噛む。不安定との予報。どうするか考えどころ。
とにかく京阪に乗ってみる。中之島方面も淀屋橋方面もずっと地下で、乗ってるだけでは街並みはわからない。いずれにせよ京都に戻るのが無難だろう。慣れてて気楽。10時過ぎ、出町柳で降りるとすっかり曇。嫌いなM字のハンバーガーチェーン店に入って、苦手なコーヒーを深夜バスでもらったタダ券で飲む。カウンター席にはコンセントがありどうぞパソコンをお使いくださいとばかりにマークもあるが、ノートパソコンのディスプレイがぶつかる高さにガラスの棚が張り出していて、テーブルの奥にパソコンが置くのを阻み、手前にしか置けない。使えないことはないのだけれど、テーブルに肘を置けず、椅子が固定のため画面を正面から見るのも苦しく、微妙に使いづらい。長居するなということか。呼びこんでおいて嫌がらせという仕掛け。さすがだ。
出町柳で前から気になっていた、Freespotが使えるというイスラエル料理屋に入ってみる。高い。「人類初のファーストフード」なる売り文句だが、薄いピタパンに豆の団子とトマトと千切りキャベツをはさんだ程度のものがLで950円。うっすら予想はしていたが、あきれるほど小さくてまったく足りない。しかも冷めてておいしくもない。しかし客は多い。こんな店を甘やかすから増長するのだ。しかし成り立つからには甘やかす客が相応にいるわけだ。店の雰囲気も全体に微温的な甘ったるさが漂っていて、東京なら西荻とか吉祥寺あたりによくあるような能書きが多い有機無農薬の店に、「はんなり」だか「ほっこり」だか知らんがステレオタイプな京都風の演出を加えたといったところ。そういうのを好む多幸症性の客がひきよせられてくると見える。「オゾンのパワーで洗浄し毒物をすべて除去」とかどうなのよ。表面の殺菌はできるのだろうけど、ダイオキシン類のような汚染物質とか食品内部には関係ないんじゃないか。このへんは高くてきどった店が多いのだが、京都は全体に飲食店の相場が高めだと思う。元同僚が京都のある美大に勤めていた時期に、京都はきどっている店が多くてなじめず、わざわざ大阪まで呑みに行っていたという。たいへんよくわかる。昔出張で来たときに京大教授に連れていかれた祇園の店も客を小バカにしていた。むろんそんな店ばっかりじゃないとは思うけど、街ぐるみで観光客中心の商売をやっていると嘘で塗り固めた調子になってしまうのだろうか。異論や批判をやんわりと、しかし有無をいわさず抑えつける善意。鎌倉にもあふれている。でもそういった古都の占有物ではなく、東京にだってそこここに蔓延している。
しかもここはFreespotがつながらない。しまった入店前に確認すべきだった。店の前でパソコン広げるのも何かと思って控えたのだが、電波は9割がた足りている。Freespotでメール送信ができないのはプロバイダの制限らしいのだが、私設図書館ではFreespotがつながるのにここでは使えないとはどういうことなんだろう。食べ物はしょぼくてネットもつながらない。電源が使えるというだけ。木造民家で寒い。こんな店に入っちゃうようではまだまだ。
天気がよくならずやることがない。この荷物があっては自由に動けない。14時、まだ晴れそうもない。15時半、東のほうに晴れ間が覗くが晴れ渡るには至らない。ここ数日お決まりのコース。今出川通の路上に富士B型とラッキー90M-S引き伸ばし機がサビだらけで置いてある。よく見るとスーパーフジフィックスなどの薬品類や富士のモノクロ印画紙の箱など銀塩写真類と什器。年末の大掃除で処分するのだろう。よく今まで持ってたな。もらっていこうかとも思ったが、考えてみたら過重積載でそれどころではなかった。薬品も印画紙も使えるかどうか怪しいし。あとで通ったら産業廃棄物処理業者の車両に積まれていた。京大北部キャンパスの南あたり。近隣数カ所に光楽堂という写真屋の看板がある。京大御用達の画像処理屋なんだろう。でもウェブサイト見ると銀塩ラインは健在の様子。マイクロ撮影機らしいのだが、支柱の上部が手前側に傾斜しているのではなく奥に傾斜しているのははじめて見た。なんだこりゃ。まだまだ知らない写真機材があるものだ。「デジタルを超える保存媒体として、マイクロフィルムをお勧めいたします!」とあるが、紙焼きへの引き伸ばし工程はともかくとして、PETベースのモノクロマイクロフィルムに関しては、有効な反論は難しいと思うよ。どう考えたって現状のいかなるデジタルアーカイヴ媒体より寿命は長い。そういえばこのへんでは営業写真館のことを「写真場」と呼ぶらしい。東京都区内の営業写真館は壊滅状態と聞くが、このへんには写真場があちこちにある。京大吉田南キャンパスの北並び、吉田神社近くにもある。大津にも「写真場」があった。「写真」の「場」。いいじゃないか。16時、まだ雲ありさすがにあきらめる。今日も寝るまで時間つぶさないと。しかしあてにしていた私設図書館は満席。その前の銀閣寺道バス停にはこの時期だというのに各種民族の観光客が並んでいる。[撮影記]といいながら12日も撮影できていない。何をやっているんだ一体。
また来ちまったCybac。吉田寮以外ではここが一番落ち着く。衛生的だしネット環境に不足はないし店員もちゃんとしてる。四条河原町近辺のネカフェは他に5件確認しているが、2件は高すぎ、1件はうさんくさそう。1件はパックが10時間で20時から、それまで時間が開いてしまうが料金はここと同じ。自遊空間はメールができず使いものにならない。結局ここになる。
すさむを通り越してうらぶれてきた。もう帰ろうか。