あいもかわらず曇。大阪。市営地下鉄の一日乗車券は850円。高い。国内最高値なのではないか。大阪のはバスなども含む市営全路線だということを考えれば京都より安いのだが、地下鉄だけ使いたいという向きには高い。知る限りの他都市の地下鉄では700円どまり。やむなく買おうとしたら、ノーマイカーデーフリーパスが使える日なのだという。いつ使えるのかよくわからないのだが、とにかくこれだと市営線全線で600円。運転免許はとっくに失効させたけれど、特に掲示の必要もないらしい。誰でも使えるのだ。これはありがたい。京橋から大阪港まで310円、往復するだけでモトがとれる。こんないいものどんどん使わないと。地下鉄のベンチにはクッションが張ってあって、これはよそでは見られない利用者サーヴィスだと感心していたのだが、更新はしないことになったとか。朽ち果てるままにまかせるということらしい。せちがらいのう。ベンチといえば中之島の川沿いのベンチには寝袋にくるまった人がずらっと並んでいて、高層ビルが立ち並ぶ再開発に無言の抗議をしているかのようだった。どっかの都知事みたいに、真ん中に肘掛けを立てて横になれないようにしたベンチに替えさせる、なんていう卑しさ丸出しの嫌がらせはしない。予算がなくてしたくてもできないわけじゃない、と思いたい。
さてニュートラムトレードセンター前駅下車。へんてこなドームが目につき向かう。なにわの海の時空館。まあやるかな。どうかな。やるならなるべく近くから、午前中に。沖には造成中の埋立地。オレンジの土木重機があるから放棄はされていない様子。これだけ空き地だらけだというのにこの先埋め立て面積を増やしてどうするつもりなのだろう。事業主体は府だろうが、まあ市なのもしれないけど、どっちにせよ借金づけ。で民間を誘致できずいらないハコモノを公費でおっ建てるんだろう。でもこれは千葉県も東京都もやっていること。東京はもっとひどい。南港を廻る。南港野鳥園。干潟や浅瀬の生態系をつぶした埋立地に植樹して沼地をこしらえ、野鳥を誘致して自然保護のポーズをとる。贖罪のつもりなのだろうか。森林を伐採して造成した住宅の屋上でガーデニングとかいうのに通じる欺瞞の塊。埋立地にはだいたいこういうものがある。東京湾なら昭和島かどっか、卸売市場の向かいの施設。あるいは千葉の東電あたりのビオトープ。野鳥園は正月休みだが、施錠して年中開放しないことの意味がわからない。管理員を休ませる必要があるから、ということなのだろうけど、管理員が必要な理由がわからない。必要な職務があるのではなく雇用の必要があるというだけではないのか。埠頭も監視員が休みで誰一人おらずお邪魔する。東京と違って管理がゆるい。と思ったら戻ってきたらしっかり守衛がいた。素知らぬ顔で出る。何も言われず。いらないハコモノと思しきアジア太平洋トレードセンターやら、これだけまわりに敷地が余ってるというのに無駄にただただひょろ長いワールドトレードセンターをかすめて、中ふ頭駅からニュートラムに乗る。これは横浜ポートサイドラインだったか、横浜市大とか八景島シーパラダイスとかの海沿いを走るパンタグラフのない車輌と作りが似ている。座席の脇に用途不明の箱があって座席を削られてるあたりとか。海沿いは潮風でパンタグラフが錆びるとかの理由でこうなるのだろうか。
大阪港に戻る。煉瓦倉庫など、境外末社住吉神社は小さくて出店という風情なのにけっこう人がいる。天保山。美術館は華に欠けるデザインの展示と家族向けらしい3Dシアターが水と油の風情。開館しているがわずかな家族連れだけで閑散。海遊館は赤青黄で色は派手。ついでがあれば。あとは物販施設と観覧車。天保山って山じゃなかったのか。案内図を見ると天保山標高4.53mとある。誰か怒ってくれ。
中央線からニュートラムに戻り、高架から埋立地を眺める。でももう日が沈み暗い。上から俯瞰する限り中ふ頭に見るべきは特になさそう。インテックス大阪は見てないけど多目的倉庫か。ポートタウンは都市開発機構が造成したただの複合住居施設。工場が入居しないからやむなく住民を入居させたんだろうか。南港中はここまで。これ以上歩く必要もなさそう。フェリーターミナルはその名の通り。よく見えなかったけれど、南港東もだいたいこんなもの。平林大橋を渡れば木場。南港南は渡ってないが、案内図を見る限りはつり場と遊泳場と精肉市場くらいしかなさそう。このへんはもういいんじゃないか。行くなら福島区か。
玉出駅下車。かの安売りスーパーはここから来ているのだろう。粉浜駅までずっと続く長いアーケード商店街はだいたい閉店中。住吉大社。とっくに日が暮れ18時を回っているのに当然のように開いていて結構な人出。出店も盛ん。池に架けられた、木造で半月状の眼鏡橋の急な階段坂を昇って降りると、第1から第4までの宮がある。木造、檜皮葺。焼け残ったのだろうか。木造で建て直したのだろうか。入り口には、国宝や重要文化財が多数、などと書かれているが、社殿の前にはそのような表示はない。警備員がやたらとたくさんいるが通行人の整理をするほどでもない。賽銭を盗む奴がいないよう見張っているのか。他にも建物がいろいろあるらしいが暗くてよくわからなかった。小さいしここはもういいのではないか。来たときと同じアーケード街を戻り、途中でタコとスルメとエゴマの葉のキムチを買う。1,400円以上になっちゃった。梅のキムチがおいしいらしいんだが見たことがない。ホタテのひもやニラ、それ以外にもあった珍しいキムチは売り切れ。
難波で降り、千日前でお好み焼き屋ともう一件はしご。お好み焼きって、子供のころは喜んで食べたけど、あんまりおいしいもんでもない気がする。今日はほとんど歩かなかった。昨日の数割。歩き足りない。そしてまたも吉田寮。たくさんいる宿泊者は旅行ガイドを見ていて観光目的らしい。ガイドなんて見たことない。それにしてもいつまで続くんだろうか。そろそろけりをつけたい。