朝起きたら雨だれの音。雨かと思ったら雪解けの水が屋根の上から落ちる音だった。頑強な雲。奈良にも貪欲な低層雲。そのうち雪が舞いだす。今日も1日つぶすのか。岡崎神社やら平安神宮やら去年見たところを確認し、府立図書館に行ったら閉まっている。月曜日だけど祝日は開館じゃないのか。当然ながら隣の国立近美も向かいの京都市美も開いている。自治体の図書館のやる気のなさは全国共通か。しょうがないので未踏の山科にでも行ってみるか、あるいはこの際日本海側に出てみるかと考えていたら、雪はなおも降っているのだが、西に青い空が覗いている。これは晴れると判断し、とどまることに。
12時過ぎには晴れ間が見え、すかさず吉田寮に戻って機材を回収し、黒谷に向かう。雲はまだあって、無理かなとは思ったが、東が晴れはじめ、アフロ石仏前に構える。ずるずる居つづけた甲斐があったか。雲は南東へ流れていく。仏像の右下へ。動きが速い。上のほうで渦巻いているのが見える。そうだ空は渦なんだ。インスタントフィルム3枚切ってとりあえずこれで1枚というところで、右下に雲が出ていたり太陽に雲がかかったりでなかなか露光できない。次第に雲が西から流れてくる。しまったあの時ちょっとの雲は気にせず露光していれば。石仏の顔に影がかかっているのにくらべれば画面下の雲のほうがなんぼかまし。やや雲が途切れたところで、雲が入るのは覚悟で45s1枚。そのあとは雲が消えない。12月29日にくらべると日が高くなってきたので、石仏に柱の影がかかるのが遅くなっている。しかし絶え間なく流れてくる雲に半ばあきらめ、これまで撮影後にインスタントフィルム何枚も切って構図を確定させたのに、結局雲で撮影できず無駄になった、というのが何度もあったので、修正もせずただ雲行きを眺めていたら、急に晴れだし、あわててインスタントフィルム2枚切るも間に合わず、また雲が広がる。せっかくのタイミングだったのに。タイミングをみすみす逃すのはこれに限ったことではなく、この生活全体の因業みたいなもの。ずっと待ったが雲は去らず、14時40分に石仏のあごに柱の影がかかって、なおも何とかならんかとしばらく待つがまもなく断念。これはまったくの不手際。1枚とにかく露光できただけでもよしとする。
まだ雲はあるがとにかく黄檗山へ。実のところ、去年一度見たっきりで、ほんとにこれだけのことをやって撮影するほどのものなのか、疑問に感じてもいたのだった。雲は消えなくてもその確認のためにとにかく行ってみる。宇治線は何回も乗ったが、毎回雲が晴れず、下車せずにそのまま戻ってきたのだった。そして萬福寺総門。こんなもんだったか。がっかり。webの画像で見てしょぼいなあと思っていたのだが、やっぱりさえなかった。小さいのはまあいいとしても、朱塗りが剥げ、造作も粗い。そして造型がよろしくない。上の魚の尾っぽが伸びすぎ。うまくまとまらない。なんでこんなものを撮影しようと思ったのだろう。しかも、西向きのため夕方でないと日があたらないが、16時でも光の角度が悪く、木の影が大きく重なる。雲も消えてきたので数稼ぎに抑えておこうかとも考えたが、見て惹かれないものを撮影する気が起きない。これは、却下。16時半過ぎまで見届けて帰投。もっと早めに見限っておけばこの夕方の晴れで清水寺仁王門の再撮影ができたのにとか、なんのためにこれまで待ったのか、とは考えるまい。
これで、とにかく一通りは揃ったことになる。あとなすべきは、目玉の朱雀門が南中時に間に合わず、ホルダも削ってなくてケラレが大きいので再撮影するのと、アフロ石仏に影も雲もかからない条件での再撮影。どうしてもやらねばというものでもない。もう帰ってもいい。ただ、予報では明日も曇やら雪なのだが、ここ数日の経緯からすると午後は晴れそう。まあ様子を見てみよう。