朝晴れ。と期待させておいてたちまち雲が広がるこのところの日課。だったような。いつもこんなではっきり思い出せない。
10時頃上天は晴れるが遥か南の奈良方面には積雲。これは無理だろうと判断し、もう去るので京都のおさらいをしておこうと箱だけ持って歩きだす。堀内カラーでネガ3枚引き取り。でも昨日撮影したネガは出さない。いつ帰るかわかないから。
市の中心部の寺を見ていなかったのでいくつか。六角堂は本堂の斜め前に六角形の礎石があり、京都のへそとされている。まさしく中心なのだ。本堂も裏に回れば確かに六角形なのだが、正面の辺が長くて、前や斜め横からだと通常の方形に見えてしまう。聖徳太子がらみやらで由緒のある寺というふれこみだが、あんなビルの谷間にあってはぶち壊し。裏の、元は本坊ということらしい池坊のほうがずっと偉そう。仏光寺浄土真宗仏光寺派の本山ということだが、創建が近世らしく、東西本願寺派よりはだいぶ見劣りする。境内も狭く、堂宇もこれといったものがない。
そして東本願寺。ほぼ1年前、京都に降り立った朝に最初にここの山門を見て、そのでかさにびっくりしたのだった。街中にいきなり現れると大きいとは思うが、今となってはさほど仰天しない。開門を待ち最初に入ったのもここだった。御影堂はまだ工事中。それより小さい阿弥陀堂でも充分大きい。境内の東側を西本願寺に向かう道を通りながら、前に通った道だ、と初日のことを思い出した。他にも1年ぶりで通る道や店や眺めに見覚えがあった。いつかまたここを訪れることがあったら、かつて来た場所だと思い出すのだろうか。
やはり、いちいち写真なんて撮らなくていい。みな覚えている。
本願寺の御影堂も工事中。巨大。京都を代表する寺といったらやっぱりここなのだろう。唐門は萬福寺総門よりは撮影に値する。派手な彩色だがだいぶ褪色していて、彩色部分は下のほうだけで上は地味な檜皮葺、しかも張り出し部分が上に伸びてしまうのでだいぶ縮む。無理するほどでもない。南向き。晴れ間が覗く。
それから五条坂茶碗坂を登って清水寺。このルートはたいへん空いている。なのに土産物屋や食べ物屋があって暇そう。仁王門脇の工事の囲いはまだ残っていた。当分続くのだろう。再撮影には及ばない。
高台寺あたりを通って北へ。このへんはあいかわらず混んでいるが、たぶんこれでも少ないほうなんだろう。そして知恩院。御影堂隣に大型観光バス。忘れ傘の下には大勢の中高年男女。反対側にも乗用車が駐車している。ここも今あるネガでよかろうて。
ここ数日の雲行きからこのまま晴れるのかと思っていたら、15時過ぎに雪が降ってくる。ほとんどの高速バス便で、17時が当日乗車の申込期限。吉田寮に戻って箱を置き、X31とACアダプターを持ち出して学食で充電し、某所無線LANに便乗して天気予報を見ると、5社中4社は日中晴れかほぼ晴れの予想。weathernewsだけが基本曇でたまに晴れ。これは帰るわけにもいかないだろう。晴れたと思ったらまたも雪が降り出しコンビニに逃げ込んで、高速バスの当日残席を見てみる。結構残っている。大阪発東京行の4列シートの最安値が4,200円だったか。
このまま吉田寮に泊まるつもりだが、あまり目立ちすぎると長くいすぎだとつまみだされかねないので、京大中央食堂でこれを書く。そういえばカツ丼は関東と関西でつくりかたが違うようだ。姫路でカツ丼を食べたとき、卵が妙にスクランブルエッグ化していて違和感があったのだが、今日京大中央食堂で調理しているのを見ていてわかった。丼ごはんの上に切ったカツをのっけてるのだ。えっ。鍋にはだし汁を煮立たせている。ここからカツを鍋に入れるという動作は考えにくいと思っていたら、案の定、だし汁に溶き卵を入れてかきまぜ、丼にぶっかける。それから、カツ丼ではないが、釜ヶ崎で玉子丼を食べたときも、関東のようにプレーンな玉子とじではなくかきまぜた状態で供された。以上3例しか確認していないので、これがこのあたり一帯で標準化された調理法だとまではいいきれないが、京都と姫路という、関西あるいは近畿でもわりあい離れた場所で観測されたことは、この近辺で広く行われていると考える一つの理由にはなるだろう。東日本ないし関東のように、だし汁で薄切り玉ねぎを煮て溶き卵を入れカツをとじこむ、カツの玉子とじとは違う。ぶっかけ式がいいのは、カツが煮込まれないのでカリッとしていること。ただ、学食の揚げ置きのカツでも卵とじにすれば温かくなるだろうと期待していたのにその効果はなかった。それに、カツと玉子とじとが、味のなじみの上でも物体としてもバラバラで、油断するとだし煮卵が落っこちてしまう。ただぶっかけているだけだもの。手抜きみたいな気もする。そういえば四条丸太町交差点の豚カツ屋のメニューには「カツの玉子とじ丼」だったか「カツの玉子煮丼」などと記されていた。丼ととじ鍋が別になっていて自分でかけるか別々に食べる寸法。現地の一般的なカツ丼と同じという誤解を招かないよう詳しく書いてあるのだろうか。カツ丼という食べ物はあまり食べないのだが、関東風のほうがおいしいと思う。あと、姫路もここも味つけが濃かった。東北は塩分摂取量が多いというのは昔の話だと思う。関東とほとんど変わらない。そして関東より関西のほうが味つけが濃い局面は多々ある。赤だしは京都でも地元の人がいくような安い店ではなかなか食する機会がないが、あれは味が濃すぎると思う。うどんも讃岐うどんのように薄味だとは思わない。味覚がおかしいのだろうか。おばんざいは店によってはたいへんおいしい。もともと盆地なんだから漬物とかああいう野菜を多用した食べ物が本領なのだろう。京野菜は高いと思うけど、国内で標準化された野菜より特徴的でありがたみがある。われわれがいうニンジンが西洋ニンジンとして売られていたりする。その後私設図書館で23時過ぎまでまで粘る。