朝から快晴。南にやや雲あり。昼過ぎ、一式持ってランチ目当てで赤坂へ。知る限りでは都内でもっとも昼食事情が充実しているのがここ。新宿や渋谷なんかの中心部では20年くらい前から個人営業の店なんてほとんどなりたたず、つまらないチェーン店と大資本の店ばかり。新宿3丁目の小規模な店も昼はたいていやってないしやっててもやっつけ。ここ赤坂はもともと飲食業の街だし、乗換駅である赤坂見附駅の周辺には飲食店が密集して飲食街をなしている。低層建築が多く小商いの店が大半で、ここはこれ以上再々開発できないだろう。そのまわりを「ビジネス街」がとりかこんでいて昼時は客出があり、競争が働いて六本木や銀座よりは相場がこなれている。赤坂と並んで地上げ発祥の地とされる神保町御茶ノ水は活気がなくなってしまったけれど、赤坂はたぶんまだ夜の街だろうから、昼は客寄せで営業していて、夜の売り上げで昼を埋め合わせているのかもしれない。とにかく、たくさんの店がしのぎを削っていて、そうそう飽きないだろうと思う。ただ夜のことは知らないしどうでもいい。チゲか火鍋か迷って火鍋。
14時過ぎには雲が出てくる。青山を経て明治通り。雲が広がってきたのでただ歩くだけ。途中現代美術系の画廊に入って、展示を見ようと進むと三脚を摑まれ、会場が入り組んでいるので荷物は置いていけと言われる。三脚だけでなく、バックパックも置いていけと。めんどくさいので「下ろしてまた背負うのがたいへんなんで」と帰る。荷物ならともかく、車椅子のひとにはどう対応するのだろう。まったく考慮してないだろうし、もとから来るあてもないだろうけど。もっと公共性のある展示でも、インスタレーションは今でもこんな調子じゃないのか。カバのひとつ覚えの靴脱がせも、たぶんまだやってるんだろう。このバリアフリー全盛の世の中で、これだけ公然と差別がまかりとおる業種も他にないんじゃないか。もうアンタッチャブルなわけだ。世間としては、なんだかわからんしほっとけってあたりか。もともとハイアートというのは排他的であり、差別主義と選民意識にまみれていて、自分は特別だと思っているひとはときどき見かける。商業画廊の有名どころはブランドショップなみの客あしらい。これじゃねえ。そしてわが身を振り返れば、これまたどうにも差別的で大衆蔑視的なのは否定しようもない。別のところでは様式化した現代美術そのもの。だいたい最近こんなのが多い。でなければひところ主流だった様式をいまだにやっているか。むろん写真の展示もおなじみの様式の花盛り。
新宿クリエイトにネガを出す。明後日と言われ、京都の堀内ではネガでも翌日とか朝なら当日だったので、なんでそんなにかかるんだと違和感。そういえばいまだに朝起きて自分がどこにいるのかしばしわからなくなる。なおも気分は旅行中。