朝から特快晴。前日はやや雲があったがまったくなし。透明度も高い。しまった今日やっておくんだった。しかしフィルムはあとたった3枚。クイックロードあと1箱とカットフィルムホルダ3枚、カットフィルム2箱も持ってきたのだが、バーゼルに置いてきた。いりそうな気がしたんだが、バッグが一杯でやめたのだった。失敗した。でもどっかで売ってるんじゃないか。ここはベルリン。ここにない写真用品が他のどこにあるっていうんだ。とにかく出かける。
気になってまたブランデンブルク門。この日なら6時の正中時でも可能だった。でもフィルムもないし、ここはもう終わり。ヴェステント駅からシャルロッテンブルク宮殿。ここも広い。宮殿やベルヴェデーレなどの建物はまあ向かないが、正面にあるおそらくフリードリヒI世のブロンズ像へ。9時前。1枚だけで一発必中。なんとかなるでしょ。準備中制服の職員にこれはカメラかと尋ねられる。プライヴェートかとさらに問われ、うなずくとそれっきり。嘘偽りはまったくない。パブリックであることからはおよそ遠いのは間違いない。残念ながら。文化財の敷地内での商業撮影についてはここドイツでもうるさいようだ。正面前のベルクグリューン美術館はまだ早すぎで開館してないのであとで来ることにする。
駅に戻ったらアメリカ人ぽい数人連れにシャルロッテンブルク宮への道を聞かれる。こんな東洋人の旅行者に道を聞くのもどうかと思うのだが、よく尋ねられるのだ。こちらは、道がわからなきゃとにかくそこらへんの誰にでも遠慮なく聞くという習慣があるのだろうか。でも、日本でも、これほどではないが道を聞かれる。地理に詳しそうな顔でもしてるのか。万国共通の。とにかくこんなベルリン4日目の日本人がつたない英語ではあれ名所への道を他の旅行者に教えられちゃうのである。妙に自信がつく。
南北線に乗ったりうろうろ。航空博物館とかかすめてリベスキントのユダヤ博物館。わかりやすいというか図式的というか安直というか。この程度の建築をありがたがるって何? 中は見てないけど。3ユーロのピザは値段なり。もう一回ウンター・デン・リンデンへ。ベルリンの歴史的建造物の大半がここにある。みな大戦で廃墟と化したけれど再建されている。ここをもっとよく見ないと。ノイエ・ヴァッヘ国立歌劇場。その裏の聖ヘドウィグ教会を仔細に見てまわるが、上部のドームが入らずどうにもうまくいかない。ここはカトリック。ベルリンにもカトリックの教会はある。東京にだってある。そしてベルリン大聖堂。ここは初日に見て、あの忌々しいテレビ塔が、増上寺の背後の東京タワーのように入り込むし、西側の公園はひとだらけだしで無理だと思っていた。ところが、寄ってみたら西の塔でちょうどテレビ塔が隠れる。うまい具合。しかしはじめたのが16時頃で、もう正中時を過ぎている。準備で時が過ぎるほどにドーム上の金の十字架の輝きが失われていく。でも明日曇ったら悲しいので念のため1枚だけ。遠くから見てみたら十字がまばゆく燦めいている。こうでなくちゃ。明日正中時に再訪。明日こそ一発必中。近くのレンガ造りの教会を見るがうまくない。今回石造りばかりで、赤いレンガの建物がないのでいいかと思ったのだがそう簡単にはいかない。シュパンダウはレンガだけれど、あとフィルムが1枚しかない中で撮影するほどの玉ではない。
たしかこのあとポツダム広場からマルティン・グロピウス・バウに行ってハンス・キリアン展を見る。ここはベルリン・ウェルカム・カードの対象外だった。でも学生で通す。パースの派手な見上げ角度の建築物の写真がポスターになっており、バウハウス風のを期待して行ったのだが、そういうのはほんの数枚で、ほとんどはグラフ雑誌向けの報道カメラマンとしての仕事写真。写真としてはどうこういうほどのものではないが、さっき撮影してきたばかりのベルリン大聖堂やブランデンブルク門やカイザー・ヴィルヘルム教会が戦禍で瓦解した姿や、その後の再建の過程が写されており、撮影対象への興味からおもしろく見る。20時の閉館まできっちり粘るが、ベルンもそうだったがこちらでは閉館前のアナウンスなどはない。ただ、最後の客が出た部屋のドアを監視員が閉めていき、無言で追い出しにかかる。落ち着いて見られない。閉館時刻になったらすぐに出るから、開館時間中はゆっくり見せてほしいものだが。あと他も含めて監視員がみんな図体のでかいおっさんで妙に威圧的なんだが気にしすぎだろうか。
ポツダム広場に写真の大型店があるというのだが探しようがない。どうしろっていうんだ。ドイツ語での検索のしかたもわからないし、ラージフォーマットフィルムを扱っているのが大型店なのか、小さな専門店なのかさえわからない。困った。
動物園駅で1ユーロの焼きソーセージを買って路上でかぶりつきながらビール。宿は男2人女3人になっている。こっちはいいけどあちらはよくあんなところに泊まるもんだ。さばけたもの。でも強烈に魚臭いパンチの効いた食品をその部屋で食べるのははばかられ、結局夜空の下パンをかじる。