朝から特快晴。透明度も高い。さすが特異日。暗室作業をするつもりだったのだが、これじゃできない。まあできるけどやっても天気が気になって作業が手につかないのは目に見えている。しかしふらっと行けるところで行くあてがもうあまりない。そんなこんなでうだうだしながらようやく起き出し、27日の撮影済ネガが器に入ったままだったのをようやくとりだす。外に向けた15mのはたぶん長すぎるだろうと現像の上がりを見てから出すかどうか決めるつもりが、光のある中でうっかりあけてしまった。おじゃん。15分もかけたのに。光が不用意にあたるだけで駄目になるのが、PS版や古典印画などを除く一般の写真感材。同じ空気を吸うと感染してしまうとかいった設定の映画をふと思い浮かべる。新しいフィルムを装填しようとするが、160NSの箱には1枚しか残っていない。4x5のカットフィルムのカラーネガは150枚以上あるが、すべて冷凍室に入っていた。即使えるものはなし。50枚入りのひと箱を冷蔵室に移し、新規の装填は1枚であきらめる。内面反射対策なしの新規格器を対策ありにおきかえる。そうこうするうち正午を回ってしまいようやく出発。
気分は千葉なのだが、東には遠く雲。北にも積雲。そうすると神奈川か都内。湘南新宿ラインに乗ってしばらくしてから、川崎に行くのが正しい解だったと気づくも、特別快速で大崎の次は横浜。戻るのも癪なので関内へ。馬車道でパレードをやっている。イセザキモールで見つけた中華の食材屋は狭いがかなり本格的。香辛料のにおいが漂い、麻辣火鍋の素が20種類ほどもある。横浜中華街にも中華食材店はたくさんあるが、たいして詳しいわけでもないけど知る限りではあんまり本格的な一般向けの店はない。だいたいは観光客相手の商売で、通り一遍のものしか置いておらず、火鍋の素なんてせいぜい2種類。日本語も通じる。一方伊勢佐木町の店は池袋や新宿あたりの業者相手の店と同様日本語は通じない。どこもやたら無愛想だが、日本人は警戒されるのかもしれない。でも火鍋の素をこんなに見たのははじめて。あんなに広い国なんだから2種類しかないはずがないのである。欣喜雀躍して3種購入。100円からある。100円のは安い駄菓子のゼリーみたいなプラ容器に入っているが、容器が薄くてひしゃげていて、賞味期限はまだ先だがほこりが積もって脂っぽい。相当やばそうな雰囲気。当然買う。高いほうは瓶入りで650円だが台北産。こっちはまともそう。ほかにもいろいろあって、輸入者のシールが貼ってないのもあり、何が入ってるのか得体が知れない。そういえば昔いた会社をやめる直前くらいの頃に酒の安売り屋でやたら安かったピータンを買って帰って籾殻をとってみたら、アヒルではなく鶏の卵が出てきて、それはいいのだが、食べたら口じゅうがびりびりし、吐き出したのだったか、それでも舌の先が4、5日痺れて満足に呂律が回らないくらいだった。買った店に文句つけたら輸入元から電話が来て、ピータンを食べ慣れないひとにはわからないだろうがそういうものだ、としつこく繰り返し、ピータンを食べたことは何度もある、あれは尋常じゃない、と何度も主張したが頑として非を認めなかった。別に補償を要求したわけでもないんだが。何が入っていたのかは知らないが、今のところ生きている。と思うよたぶん。そういえばピータンっていいまわしがあったな。卵なのに腐ってる。駆け出しをだいぶ過ぎた人間が使うわけだ。10年くらい前によく使っていた。でも腐っても卵。40過ぎてピータンもないだろう。で帰ってさっそく150円のをそのまま豆腐に乗っけて食べてみた。「産地:中国貴州省貴阳市」とある。合成調味料がふんだんに使われてそう。特に美味というほどでもないが、今のところとりたてて異状もない。とにかくあれだけあれば当分飽きない。
そんなことばかりしているわけにもいかないので海沿いへ。博覧会の跡地がフェンスで囲われているのを横目に最近できた公園。市松模様のタイル。フェルメールの床。コントラストが低く見送るが、柄がはっきりして光源が高い条件ならありうる。大桟橋は10年前には建設中だった。屋根は最近よくある波のようにうねった複雑曲面で、芝生が敷いてあったりする。ホールがあるが天井は低い。奥に入るにはパスポートが必要らしい。このへんにはデジタル一眼レフカメラを首からさげたおっさんやお嬢さんが大勢。彼らと同じ場所で似たような装備を持っているのが恥ずかしく思えて、自分はあんたらとは違うんだ、などとひそかに見下しているのがわれながらおかしい。自分は特別だという意識はなかなか抜けないというわけか。自称孤高のひとも難儀なことである。倉庫街には入れず。神奈川県民ホールはどうでもいい。山下公園を抜けて首都高横羽線を見るがぱっとしない。16時頃切り上げ。暗室を棒に振るまでの収穫はなかったがまあいつものこと。新宿でネガを出し帰投。