百均でストップウォッチ購入。腕時計と同じメーカーだが、腕時計のほうと違って分と秒が同時に表示され、0秒時からスタートできるので、何分目なのかわからなくなることはなくなるだろう。
本日も組み立て。3器分完成、の見込。
これまで何度か述べてきたように、カラーネガフィルムの現像処理は標準化されており、わざわざ自家現像でやる利点は薄い。安くはなるが手間がかかるし失敗の可能性も増える。結果の安定を考えたら、餅は餅屋に金払ってまかせたほうがいいに決まっている。現像の作業自体を楽しめるなら話は別だが、正直ウェットプロセスは苦手。
ではなぜあえて自家現像に踏み出すのか。その理由の1つは、大幅なオーバー現像処理の可能性である。カラーネガ現像をラボに出す場合、クリエイトで1段、堀内カラーで2段までの増感しかできない。4x5にISO3200といった高感度カラーネガがあればいいのだが、そんな代物は存在しない。160NSで1時間といった条件で、400NCを使って、仮に4_1/3段増感ができたとしたら、相反則不軌等を無視すれば1分程度の露出ですむ。そんなことが可能なのかどうかわからない。神保町に勤めていた頃、おそらく92、3年だったと思うが、基準ISO800くらいで増感処理を前提とした、たぶんKodakの高感度仕様のカラーポジの135を使って、堀内カラーで4段だか5段だかの極端な増感処理をやってみたことがあるが、さすがに押しがきかずに濃度が上がらなかった。現在堀内カラーでは2段まで。無理があったということだろう。今のカラーネガはもっと融通がきくようにも思うが、2段増感までで止めているのは、やはりそのへんが性能の限界なのかもしれない。だが、性能上はまだ余裕があるのだけれど、管理の煩雑さからそこまでしか受けていない、ということもありうる。また、現在のカラーネガは有効露光域を拡張するために、低照度域に反応する乳剤層とそれより明るい部分に反応する乳剤層のいわば2ウェイ方式、ことによると3ウェイ方式になっている。低照度乳剤層は粒子が粗い。ハイライトほど粒子が荒れる一般のモノクロネガと違って、カラーネガではシャドウ部で粗くなるのはこれが原因である。ところが、低照度下で露光したネガを増感現像すると、もっぱら低照度乳剤を使うことになると予想される。モノクロの増感で粗粒子になる以上に粗くなるだろう。それに現像カブリの増加も懸念される。はたして実用になるのだろうか。
自家処理の基本書、写真工業出版社刊『暗室百科』を見てみる。処理時間延長の場合、C-41で38℃で3m45sでASA400標準のネガが、5m30sで800相当、7m30sで1600相当、10mで3200相当とのこと。3段増感の3200が「どうしても画像がほしいときにのみすすめられる使用限界」だそう。現像主薬を増量する方法も示されている。C-41に近い結果が得られるという簡易処理処方では、30℃5m30sASA400のところ、CD-4を4g/L追加して8g/Lとした場合、同秒時で800相当、8m30sで1200から1600相当。現像主薬増量のほうがコントラストの上昇がなく粒状もよくカラーバランスの劣化も少ない、と。1980年初版の本であり、C-41の標準現像時間が今とは違うが、大筋では今でも使えそうだ。執筆は荒井宏子先生。ネットの情報では、CD-4を既製の調合済薬品に添加してもいいらしい。しかしCD-4が高い。50gで定価7,000円。なお1992年朝日新聞社刊の『[新版]カメラマン手帳』では同じnnc製が定価5,000円となっている。ヨドバシで注文してしまう。当然だが定価よりは安くなるだろうとのこと。でもメーカーが在庫切れで入荷は来年。増感はしばらくおあずけか。この薬品は2、3カ月でだめになるらしいのだが、それは常温保存の場合で、冷蔵保存すれば1年くらいは軽くもつとのこと。これは毒物。単薬調合にだけは手を出すまいと思っていたんだがな。
さらに、CD-4自体は水に溶かすと酸性を示し、これを増やすと発色現像液のpHが下がるが、CD-4が効力を持つためにはpH10.0以上にする必要がある。そのため強アルカリの水酸化カリウムで調整する。これによって黄カブリの発生を抑えられる。とのネット上の情報。近所の調剤薬局で水酸化カリウムが買えるかと聞いてみるが、業者との取引がなく無理だという。劇物だし扱いたくないだろう。何しろ水酸化ナトリウムよりアルカリが強い。化粧品にpH調整剤として入っているらしいけど。そういえば12、3歳の頃に薬局で水酸化ナトリウムを買ったことがある。たぶん500g。理科の実験に使うということで買ったのだが、親の許可が必要だったか、とにかくちょっとやそっとじゃ売らないぞという対応だった記憶がある。でももっぱら使ったのは植物の葉脈見本づくりだった。化学方面というよりも、そういう鑑賞対象製作への応用に当時から興味が向いていたのだろう。あの薬品は結構長いこと実家の机の中にあったが、さすがにもう処分されたようだ。水酸化カリウムはこわいから重曹でなんとかならんだろうか。簡易処理処方には炭酸水素ナトリウムが入っているからいけるんじゃないか。
いずれにしても、加える適正量がわからない。pH計で結果を見るしかない。安物だが精度±0.03pHのが6,000円ほど。CD-4の計量のためにデジタルはかりも必要。これは数が出るので0.1g単位のが3,000円程度からある。さらに温度維持のために、10年以上購入を迷っていた熱帯魚用ヒーターがどうしても必要。ところがネットで探す限り38℃が出せる製品がない。いいとこ35℃。しかも精度は±1.0℃というずぼらさ。おまけに適合水槽が157L以下って多すぎ。投げ込みヒーターを現像液タンクの中に直接入れるとムラの原因になりそうだし、漂白液と定着液にもそれぞれヒーターを入れなければならなくなる。でも大きな器に水を張って各槽を入れ湯煎する方式だと、今使っているKodak Hard Rubber Tank 4x5では熱伝導率が低すぎて温度管理ができないような気がする。そうすると同サイズのステンレスタンクを調達しなくちゃならない。そんなものがなければ、国内メーカー製の塩ビタンクをネットオークションで入手するか。こりゃハードル高いわ。手に余りそう。ほんとにこなせるんだろうか。
とにかく、自分で実際にやってみるしかない、ということだ。