明け方寒かった。曇。3からRに乗り継ぎ、Bay Ridge 95Stへ。Brooklynの南西。途中いろいろ迷う。ここの地下鉄はベルリンと同じでひとつのホームに複数の路線が乗り入れていてこみいっている。方向さえわかりづらい。LAのMetro Lineも、行き先がホームの1カ所にしか表示されておらず、左右どっちに乗ればいいのか迷うことがよくあった。こっちはさらにわかりづらい。東京の地下鉄はいかに案内が行き届いているか痛感する。バスはなおわかりづらい。LAのバスでは新しい車両は電光掲示板に次のバス停が表示され、それがなくても運転手のアナウンスがあるが、こっちでは運転手にもよるが黙って止まるだけのこともある。RのBrooklyn側は、一瞬地上が見えるのを除き全線地下鉄。
Verrazano-Narrows BridgeはBrooklynとその南西のStaten Islandを結ぶ吊り橋。その袂は遊歩道がありちょっとした公園になっている。黒人はほとんどいない。ほとんど白人、あと中国系か。白人がMid-Manhattanにしか住んでないわけがないのであって、郊外に白人の居住地があるにきまっている。海沿いの公園には男2人連れが目立つ。昼間見る限りでは、たいへん平和そう。家もきれいで低層住宅が多く、下にガレージがついていたりする。車がないと不便なのだろう。路駐の車も全体にきれいで高級車がちらほら。HarlemやE110St付近では、テイクアウトの安い中華料理、というよりアメリカナイズされた華僑料理なのだろうが、の店は奥と客の側とが金網で仕切られていて、小さな窓から商品や金をやりとりするようになっている。銀行や両替所のように。でもこちらではそんな厳重な保護はない。比較的安全だということだ。Brooklynは北のBronxの次に治安が悪いと聞いていたが、南のほうはわりあい高所得層の居住地なのか。Fort Hamiltonでもよかったかな。安かったし。でもManhattanからちょっと遠い。
海沿いをしばし歩いてからB8だかのバスに乗り、Dの79Stだったかの駅で降りたらD線は工事中で運休。振替バスが出ていて、街並みがわかるからかえっていい。New Utrecht Aveだが、漢字だらけの中国人街。25Aveには大型スーパーマーケット。あそこは使えそう。でも露店街もあってゲットーっぽくなってくる。終点はConey Island。その名の古い遊園地と、海の家、そして砂浜。日曜だけあって大勢の人出。野球場。Brooklynなんとか球団の本拠地らしい。近くには新築の大規模集合住宅群。白人はいるが比率が下がる。4本の路線が乗り入れているだけあって駅も大きい。
NのFort Hamiltonで降りてみる。郊外の住宅地。漢字の看板多し。黒人少なし。中華屋のカウンターは柵なし。ちょっと寂しげではあるが危険ではなさそう。夜はわからないが。
Empire State Building近くのStのネット屋に行ってみるが日曜は19時閉店。人通りも少ない。さすがにBroadwayはそこそこにぎわってるが。
和食絶ちをしていて、それは和食を食べずに現地の食べ物で過ごせるかという実験の意味合いと、こっちの得体の知れないスシなんか食べてなるものかという理由だったのだが、外国で安く手に入るものを食べていると、別に和食が食べたいというんじゃなくて、とにかくもうちょっとましなものが食べたくなる。それはベルリンでもパリでもそうだったから、単純に食費を抑えているだけのせいなのだが。今食べたいのはタイ料理とかヴェトナム料理。でも高い。どっかに行けばおいしいタイ料理が安く食べられるのだろうか。ヴェトナム料理はないんじゃないか。韓国料理は安い場所があるんだろうけど、LAみたいに広大なコリアタウンにたくさん安い店があるというのではなさそう。中華はしょっちゅう食べてるのでもういい。中華についてはいずれ。中華料理ももはや日本の食事の一部なので、中華食を食べてるようでは日本の食事を絶っているとはいえないのかもしれない。でもこちらでは和食よりは遥かに普及していて、現地の食べ物になっていると思う。インド料理は、Hollywoodで毎日カレーを食べていたせいか、特に食べたいとは思わない。いわゆる欧風カレーは数年食べてないので食べなくもなんともない。むしろ食べたくない。
こっちの料理としてはナマズのフライが食べたいのだが、安く食べるにはどこに行けばいいのかわからない。
ところが、インゲンとベーコンと生姜の炒め物をつくっている最中、塩だけじゃものたりないと思って冷蔵庫をふと開けたら、前の入居者が残していったトマトケチャップと醤油があった。ケチャップなんていらないが、醤油をつい入れてしまった。おいしいと思ってしまった。不覚にも。短期の滞在では使いきれっこない調味料を買う気はなかったので、冷蔵庫に醤油があったのはありがたかった。トマトソースとチーズばかりではどうしても飽きる。やはり長く馴染んだ味からは逃れられないということか。でもこのひと月ちょっとで日本の醤油を食べたのは2回目だけどね。明日ニンニク買ってこよう。
22時過ぎにMalcolm X Blvdを歩いてみるが、人通りはあるし、白人や女性の一人歩きもあって、特に危険は感じない。裏通りはわからないが。NYCの治安はよくなったというが、確かにLAの夜のDowntownよりは安全なようだ。
それでも黒人に対しては、白人やヒスパニックより警戒してしまう。もちろん東アジア系より。なぜだろう。文化的刷り込みも大きいだろうが、それ以前に、顔の皮膚が黒いと、表情が見えにくくて怖く見える、ということもあるのではないか。特に暗い夜間は。
Manhattanという世界中でも特別な島の真ん中近くに住めるのはいいことだ、と考えよう。Central Parkにだって歩いて行けるのだ。賃料はちょっと高かったけど。