朝から雨。撮影は終日無理と判断。しっかり食事して、Associatedにあるリサイクル容器の回収機に水のボトルを入れて85セント回収。今まではみなゴミ漁りのひとに献上していた。でなきゃ燃やされるか。ビール瓶は他店で買ったためか受けつけてもらえず。
Lexington AveからMetへ。メトってのはメトロポリタン歌劇場のことだと中学時分から思っていたし、どうやらこちらでもそうらしいんだが、美術館もそう自称している模様。混乱しないんだろうか。ジャンルが違うからそうかちあわないか。
入り口前から並んでる。雨の日は美術館、と考えることはみな同じか。バッグを開けて荷物チェック。食べ物は持ち込み不可でマフィンが入っていたのでまずいと思ったが、係はレジ袋ごと持ち上げてOK。ゆるい。なんてゆるいんだ。LIVERTYにくらべてARTの自由なこと。
入ってすぐにギリシア美術。似たようなものが延々と続く。これはもう美術史的展開とかいうよりお宝の誇示に見える。でも、真ん中の通路のの中央に展示されているMarble statue of a wounded warriorの振りあげた腕の先から頭に蜘蛛の糸が光っているのはどんなもんか。
ギリシア美術はとにかく人体再現。あとは装飾。ネコ科大型獣や牛や羊もたまにいるけど、風景なんてのはない。でもそれは絵画が残っておらず彫刻と壷などだけだからであって、ローマの壁画には建築物が描かれている。Three wall paintings with illusionistic architecture50-40B.C.線遠近法法的でない奥行き再現様式がおもしろい。でも飽きてくる。ギリシアもローマも、ここにはあんまりいいものはないのではないか。数だけ。ローマはイタリアからの巡回展を日本で見たほうがおもしろかった。ギリシアも、パリとロンドンのおこぼれじゃなかろうか。ほんとにいいものを手放すわけがないし。
エトルリアオセアニア、アジアは素通り。写真の常設は少ない。現代とは別扱い。写真はアートと別の版画みたいなものという棲み分けは世界的に定着したのだろうか。スティーグリッツ、スタイケン、ストランドの特集展示は10日から。展示はできてるらしくて、キュレーターっぽいひとが顔見知り客にちら見させていたり。早すぎたか。でもそのためにまた来るほどでもない。
Here and there」とかいう、今さらですかってタイトルの写真の集合展もあり。つまらん。日本人は河原温「I Got Up, 1970」のみ。あちらで活動していないと土俵にも上がれないのだろう。NYやSFの観光絵葉書を日付時刻入りのスタンプ押して画廊あてに送ったって奴だが、写真ねえ。まあ写真の印刷ではあるんだが。これ写真の枠に入れるんなら、じゃあなんで写真は現代美術とは別枠なんですかって疑問が当然出るわけなんだが。
いきなり印象派。ここはさすがに。めぼしい画家1人に1室かそれ以上。ゴッホは世界的に人気があるらしい。展示には結界なんてものはなく、近寄って見てても注意などなし。しかもガラスが入ってないものも多い。こんなにお宝がうなってるのに。別に汚したっていいよって調子。巨額の保険金が下りるから平気、むしろどんどん持ってってくれくらいな。まさか。監視員もふらふらしていて放し飼い状態。口笛吹いたりヘッドフォンの音漏れがうるさい奴もいる。監視員がいちいち口うるさいどこぞとはえらい違いだ。
そして現代。こっちには低い柵があって、身を乗り出して見ていると注意される。さっきは監視員がさぼってただけなのか。いや、評価が確立した19世紀フランス絵画より、大半はゴミになる現代のほうが保護すべき対象のようなのだ。何かそういう契約内容だったりするのではないか。
20世紀。Berggruen財団のクレーの部屋があるんだが、アメリカの金持ちコレクターの寄贈ならわかるけど、なんでドイツの財団が寄贈してるんだ? アメリカでの経済活動に対する免税のためだろうか。クレーとしては並っぽい。このあたりから疲労困憊してきて、だんだん集中力が低下してくる。しまったこっちを先に見とくんだった。
アメリカ美術を見終わって残り1時間弱。日本美術へ。ここで迷ってかなりのロス。屏風絵は展示ケースに収められているが、だいたいはガラスが入っていない。しかしつまらない。狩野派など近世のものが多い。金箔の輝きも鈍い。仏像も弱い。素人目からすればLACMAのほうがずっとおもしろかった。エジプト美術の途中で、あと20分近くあるはずなのに追い出される。釈然としない。エジプトはパネルばかりで棺がたまにある程度、ほとんどろくなものがない様子だったが、奥は空間を広く使った展示のようで見たかった。残念。特別展もあまり見られず。でも、今回の滞在中にまた行きたいかというと、うーん。