朝から巻層雲。ちょうどいい。まさしく天の配剤か。
11時にFrick Collection。日曜13時までは任意料金。混んでる。
これぞまさしくコレクションだ。特別展に頼らずコレクションと建物だけで客を呼べる。
特別展示らしいスペインの素描もやっていたが、地味だしこれを見に来るひともあまりいないだろう。と思ったらゴヤの素描が意外におもしろい。スナップ写真でも撮るように、市井のひとびとの印象的な一瞬をさらっと、しかし的確に捉えている。偉いひとのかしこまった肖像画より本人も楽しんで描いてたに違いない。人間観察のひと、そしてひたすら描くひと。これらはコレクションでなく借り物。
敷地は狭いし大邸宅とはいえないが、金をかけ凝りまくったつくり。しかも格調高く華美に走らない。なんでも鉄鋼王だったというFrick氏の趣味のよさと見識の高さが伺える。趣味がいいというのは今時ではよろしくないこととなっているが、これを見せつけられたら肯定せざるをえない。
モネとマネとルノアールが各1点。展示されている中ではこのあたりがもっとも新しい時代のもの。フェルメールが3点。あとはエル・グレコティツィアーノゲインズボロー、ファン・ダイクなど。ブロンズ彫刻は小さくてお飾り。大理石の彫刻は少ない。ヨーロッパ以外は、ジョージ・ワシントン像とフリック氏の肖像、奥さんの肖像、中国の次期の人形が2点、それだけ。まあ調度品には他にもあったかもしれないが。基本的には私邸なので照明は絵画の上に張り出したハロゲンランプ。有害光線カット用らしいガラスが入っている。これが絵画に反射して見やすくはない。照明条件はあまりよくはない。ただ、大きい部屋は天井から採光しており明るくて見やすい。
国宝級の名品はないのかもしれないけれど、たいへん見ごたえのあるコレクション。3度まわって、15時まで4時間たっぷり堪能した。考えてみれば、こちらの美術館でもういいと思うまでじっくり見られたのははじめて。今まではほとんど、閉館時刻で追い出されるか、でなければ連れに遠慮して帰るかだった。他に1人で見て閉館前に出たのはLAMOCAと別館くらいじゃないか。1ドルでこれだけ贅沢できるとはすばらしい。
そのあとQueensのP.S.1へ。元学校だった建物をMoMAの立て替え中の仮住まいとし、完成後は現代美術専門の別館とした施設。こちらは入場無料だったけどむしろ時間がもったいない。見る価値あったのは地下のボイラー室だけ。