薬液類発注。使用期限があるので準備が整ってからと思っていたのだが、いつまで供給されるか不安になり、つい注文してしまった。
これは今までの薬品とは違う。これまで使ってきたのはモノクロにせよカラーにせよメーカーが調合した一般的なもので、カラーネガ処理液なんて個人で使うのは珍しいというだけで、業務用としてはまったくありふれた製品だった。単薬でも同様。
今度のは特殊そのもの。しかも畑違い。とうとう来るところまで来てしまった。
 
またレンズの話。あんまり興味もないのだが、電車の中で暇だからついつらつら書きつけて、せっかく書いたんだからとアップしてしまう。
前回、某社製のEFマウントレンズは法定部品保有期間が終わると修理を受け付けてもらえず、AFモーターが寿命を迎えると使いものにならなくなると書いたが、マニュアルフォーカスもできなくなるのは昔の型で、フルタイムマニュアルフォーカス可能になってからは、超音波モーターがいかれてAFが使えなくなってもマニュアルフォーカスでのピント合わせは可能なので、まったくのガラクタになるわけではないらしい。とはいえメーカーの修理が受けられず、本来の性能が失われるのは同じである。
ところが、こんなページを見つけた。
EFカメラサービス メーカー修理不能レンズの修理ブログ
EFレンズの修理を請け負っている個人業者。メーカーのサポートが終了した製品のみ受けるとのこと。
EFレンズに対するかなりの修理実績を持っているようで、新品の部品も保有しているとのことなので、はじめは公式の修理工程に従事していた専門職が独立したのかと思った。かつてプラウベルマキナの生産終了後、カメラのドイのメンテ担当従業員が補修部品を引き取って修理屋を開業した、というようなことがあった。もう修理は廃業したらしいが。Mamiyaでもそんなことがあったかもしれない。ToyoやSinarの東京での公式のサービスセンターも外部委託のようなものだろう。
ところが、よく読むとそうではない様子。自力でEFレンズの分解法を習得し、構造を把握し、修理法を編み出したらしいのだ。そして商売にまでしてしまった。たいしたものだ。
成績は優秀で、直せなかったのは1、2回程度とのこと。古いEFレンズの故障の大半が経年劣化によるもので、つまり製品の構造的欠陥であり、そのため故障状態が画一的なので修理内容がほとんど似通っているせいもあろう。ただ、ズームレンズの内部構造はかなり複雑で、ものによって仕組みが違っていて、しかもあれだけの種類があるので、原因がほぼ同じとはいえ、レンズごとに多様かつ高度な技術を要するのではあろう。
元関係者ではないにしても、どこかで同等の修理経験を経てきているであろうし、われわれがたやすくまねできるものではない。
メーカーのアフターケア体制が劣悪であるがゆえに成立している商売なのだが、ブログを読む限りではメーカーの社員よりよほどこのメーカーのレンズへの愛着が伝わってくる。
それなりの修理代金がかかるので、もともとが高額なレンズでないとまったく引き合わない。Lレンズ、それも明るいズームか超望遠の、数10万、安くても10数万するレンズなら、ここで修理する意味があろう。数万円の非LタイプレンズやEF-Sレンズはやはり期間限定の使い捨てなのである。中古でも使われていればその分損耗しているので、USM搭載EFレンズの中古には注意したほうがいい。どの個体でもいずれ特定の弱点が発症するらしく、故障したからといって中古で買い換えては遠からず同じ箇所が故障することとなる。それよりはここでその部分を補修してもらったほうが長く使えそうだ。
ソニータイマーというのは都市伝説だろうが、こちらは都市伝説ではない。寿命がプログラムされ、所定回数動作させればレプリカントのように停止スイッチが発動する。シャッターならば複雑な機構で動作の都度衝撃も加わるだろうから、カメラがいずれ壊れるのはわかる。でも、レンズはたかだかヘリコイドを回転してレンズ群を前後させ、絞りを開閉するだけの、カメラよりはずっと単純な機構であって、カビとか剥離が発生しないよう管理さえしておけば、資産として末永く使えるものだったはずなのだけれど。われわれはパソコンなりデジタルガジェットでそんな製品サイクルに慣れてしまったのだろうか。
奇妙なのは、新品部品の調達先が米国であること。あちらのサービスが放出しているのだろうか。修理期間を過ぎたら国内保有の部品をあちらで処分しているのだろうか。お膝元で売りさばくと何かと不都合があるからか。それくらいはやりかねない。