困ったら弁理士会の無料相談に電話。年配の弁理士らしく、特許電子図書館の操作に慣れていない様子。同一の審査官名で、しかも同じ役務なのに拒絶されたと言ったら驚いていたが、実際は異動があったというと、担当者によって見解がわかれるというのはさほど異常なことでもないとのこと。
裁判所とかなら全体として意思の統一をはかり判例の整合性をとることが重要だろうが、それは法理体系の内部で完結できるから可能なことだろう。複雑に錯綜した商業活動や、解釈次第で言いくるめてのごまかしなんぞ通用しない現実の技術を相手にしている特許庁ではそうもいかないだろう。無理矢理帳尻合わせたって必ずほころびが生じるにちがいない。だから担当者や案件ごとのぶれとか多少のムラがあったってあたりまえ、ということなのだろう。
拒絶理由を弁理士に伝えても、相手が求めていることがわからないので、審査官とじかに顔つき合わせてやりとりしたほうがいいという。年配の先生らしいご意見だが、それも一理ある。
そこで審査官に電話。意見書で役務の内容を説明するのが難しいので、意見書の前に面談をお願いすると、まず意見書を送ってくれと断られる。審査官は女性。断られるのは慣れっこ。
そこで意見書を書いて、夜半に送信しようとしたが、役務の説明のために技術内容に触れている部分があり、未出願の特許内容に関連するのではないかと気になりだす。特許庁に送付する書類とはいえ、これで先に出しちゃって問題ないんだろうか。送信保留。
結局この拒絶理由通知対応で丸1日使ってしまい、まっとうな職業人なら、時間がもったいないから餅は餅屋にとなるところだろうが、結構おもしろいし苦にはならない。弁理士に意見書作成頼んでもここまで文章を練り込んでくれるわけもないし、自分の意見を通そうとしたら結局自分で作成する羽目になる。それに弁理士だったら、些末な問題だし面倒だからここで折れるよう促してくるんじゃないかという気もする。
こういう本業と関係ない部分は専門家に任せるのが得策、というのが通常の意識だったろう。税務や法務と同じように。でも、知財戦略の重要度が増していくと、当事者がもっと積極的に関わるべき、という風潮になっていくんじゃなかろうか。きたるべきそういう時代のための仕込み、と考えると、決して時間の無駄ではない。