頭がシングルタスク設計なので、一つの課題を処理しようとするとそれにかかりっきりになる仕様である。火曜日にやっとエアコンを仕事場に設置したが、機種・購入店・設置業者を調べあげてようやくここまでこぎ着けた。そのかん2週間。バカか。風邪と腰痛で半下半身不随だったとはいえ。もう少し小型のをあと2台つける必要がある。モデルチェンジの時期で旧製品は値動きが激しく、いつまで在庫があるかもわからず、選択が難しい。気が遠くなる。
さて後回しにしていた法人登記にようやくとりかかる。夏頃調べたのだが、移転先になかなか入居できず、他にも事情があって登記できなかったため、登記が必要な時期になっても後回しにしていた。しかし昨日一気に調べあげて定款をまとめる。
行政書士に頼めば定款くらいつくってくれるし、そういったサイトに行くと、登記手続きは自分でもできるが行政書士に頼んだ方が安い、と必ず書いてある。
株式会社の設立には、定款認証に約5万、登録免許税が15万かかる。これは公定費用であり、最低限必要な出費である。素人が自分で書類を作成し、定款認証を行って法務局に提出すると、さらに印紙税4万がかかる。ところが、行政書士が電子認証を行うとこの印紙税が免除される。電子認証は素人でもできるが、電子証明書やそれを読み出すICカードリーダ等が必要で、それらに5、6万かかり、手間も時間もかかるから、プロに頼んだ方がいいですよ、というわけだ。
特許庁の出願と同じである。士業者たちの既得権益を残すためとしか思えないよくわからない制度。特許庁に提出する書類は、枚数にもよるが電子化手数料2,000円ちょっととられるだけなのに、法人登記なんてそうそうしょっちゅう行うものでもないから、ここぞとばかりふんだくるのだろう。
それだけ、書類作成自体は誰でもできる簡単な作業だということである。それなりに調べる必要はあるが、専門的な訓練が必要というものではない。むろん定款の内容を完全に理解するのは容易ではないが、定款を作成すること自体はたやすい。定型化していて変数部分を変更すればいいだけなので、商標出願より単純である。雛形はそこらじゅうに転がってるし、必要事項を入力すれば無料でPDFを作成してくれるサイトもある。定款等の書類作成で金払って専門家に依頼する必要は、よほど特殊な事業形態でもない限りはなさそう。だからこそ、認証の方でハードルをあげてあるわけだ。
では認証とは何か。公証役場というものが主要駅前などにある。要は書類にお墨付きを与えてくれる公的機関である。ここに行って書類を提出すると、問題ないですよ、と認証してくれる。それだけ。書類作成すらしない。これで、株式会社設立のための定款認証の場合には5万ちょっととるのである。
公証役場で認証を与えるのは、元検察官や元裁判官。要するに彼らの天下りだか天滑りだかの受入先を、法務官公庁の一部として確保してあるわけだ。われわれはこうやってお上からさまざまにむしりとられるようになっている。そのように設立に費用がかかるから、株式会社はそれなりに信用があると見なされている、ということもあるわけだけれど……。
で、その認証を書面でやってもらうと、印紙税として電子認証より4万余計にかかるのである。一方こちらは、電子出願に必要な環境は、商標出願のためにだいたいそろえてあるので、印紙税を負担せずに申請できる。ただ手間はかかるわけで、7,000円くらいでその手間を代行してくれるんだったらやってもらった方がいいかとも考えた。でも定款は会社の法的根幹だし、その内容は把握しておくべきだ、会社設立なんてそうそうしないだろうし、この機会に経験しておいてよかろう、それにこの程度の手続くらいできなくてどうする、と思い、結局自分でやることにした。
ただし、これは電子証明書ICカードリーダなどが一通りそろっているからやれるのであって、すでに準備しているのでないなら、e-taxによる税務申告などそれらの別の使い道がない限りは、このためにわざわざ調達するのは無駄というべきだろう。行政諸氏が懸命に説くとおり、彼らに任せた方が安上がりで時間の節約にもなるのは確かである。
そこでさっそく駅前の公証役場に定款のプリントアウトを届けると、1時間程度で「特に問題ありません」との回答と手続案内等がFAXで送られてくる。
昨日注文した代表印と銀行印と角印も届いた。ところが、個人の印鑑証明をとろうと印鑑登録証を探すが出てこない。引越後、先月中頃に使ったはずで、そこらにあるに決まってるのだが、200円で再発行できるので、探す時間を200円で買う。市役所がほんの2ブロック先にあるのでこういう手続が楽でいい。印鑑証明書も取得して、これで準備万端整った。今日中に認証を終えられる。
で、法務省の登記・供託オンライン申請システムに登録し、いざPDFに電子署名、と思ったら電子証明書のパスワードが弾かれる。おかしいなと何度も行うが駄目。ICカードリーダが認識されていないらしい。そのうちキーボードもきかなくなり、他のUSBデバイスも認識されなくなった。どのポートも同様。でもワイヤレスマウスは生きていて、USB接続のプリンタからはなぜかプリントもできる。ICカードリーダが動作しないとどうにもならないので、OS再インストールを試みるが、キーボードがつながっていないので起動ドライブに新規インストールができず、データドライブにインストール。そのまま放っておいたら、とうとうディスプレイも表示されなくなり、マウスも死んだ。
他2台はMacのため申請用ソフトを使えない。復旧に終日費やす。法務省オンラインは平日日中しか稼働しない三流官庁クオリティなので週明けまで何もできない。特許庁は24時間対応の働き者なのに。
電子証明書はというと、パスワードを一定回数以上まちがえた扱いになっていて失効している。ロック解除にはやはり週明けに市役所に行かなきゃならない。しかも手続きしたはずの住所変更も反映されてない。あっちもこっちも糞役所ぶり全開である。
そんなこんなで、1日で終わらせるはずが、来週、しかも来月にずれ込んでしまった。パソコンの不調なんていう伏兵は思いもよらなかった。見込み通りにはなかなかいかないもの。