絵画の終焉。聞き飽きた話だ。ジャズや西洋楽壇音楽の現状を見れば明らかなとおり、ジャンルというものはいずれ終わる。だがメディウムはそう簡単には終わらない。制度疲労で息も絶え絶えなのは「現代美術」なるジャンルのほうなのであって、「何かを描く」というメディウムが終わる気配はない。現代美術のフレームの中で蕩尽されたにしても、このメディウムはそんなことにはおかまいなしに日々活用し続けられている。
絵画ときてメディウムとなると話はきわめて政治的な局面に陥る。いずれの定義もまだ不分明。逃げ逃げ。
写真の本質、なんていうものはない。それこそ誰しもが群がる格好のネタであるからして、提出された瞬間に破壊されることによってのみ意味を持つ。写真とはかくあらねばならぬ、というようにメディウムの可能性を制限する主張には、このメディウムに対する発言者自身の理解の限界が示されているということ以上の価値はない。